今回はスピーチの中に出てくる英文を用いて
【仮定法】について確認したいと思います。
"If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?"
「もし今日が人生最後の日であるなら、自分が今日やろうとしていることを自分はやりたがるであろうか?」
この一文に仮定法のエッセンスが詰まっていますね。
そもそも仮定法とは「もし〜なら…」のように事実とは異なることを仮定する際に用います。
仮定法は仮定法過去、仮定法過去完了の二つに大別することができ、それぞれ以下のような特徴があります。
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仮定法過去 |
仮定法過去完了 |
文の形 |
If S1 (過去形), S2(助動詞の過去形) do. |
If S1 (過去完了形), S2(助動詞の過去形) have done. |
訳し方 |
もし〜なら…だろうに。 |
もし〜だったら…だろうに。 |
「仮定法過去」、「仮定法過去完了」という呼び方はあくまでも文の形がそれぞれ過去形、過去完了形であるからであり、訳出するときの時制はそれぞれ現在、過去になるので注意が必要です。
この程度の基本的な知識は東大を目指す受験生であればもちろん持っていなければいけませんね。
では次の英文を見てみましょう。
(1)With a little more care, you would not have made a mistake.
(2)You studied very hard, otherwise you could not have passed the exam.
(3)To hear him speak Japanese, you would think of him as Japanese.
(4)A gentleman would not say such a thing.
仮定法と言えばIfを含む文や、as if…まるで〜であるかのように、I wish…〜であればいいのに、という形の文を連想する人が多いと思いますが、これらの文は全て仮定法を含んでいます。
(1)や(2)の文のように副詞句に仮定の意味を含める場合や、(3)のようにto不定詞に仮定の意味が含まれる場合、(4)のように主語にifの意味が入る場合など多岐に渡ります。(2)To hear him speak Japanese, you would think of him as Japanese.
ではこれらの文が仮定法であるとどのように見抜けば良いのでしょうか?
ポイントは
助動詞の過去形があれば仮定法を意識するということです。
助動詞の過去形が用いられるのは
①単純過去
②婉曲(Would you…?, I would like to…)
③仮定法
の3通りです。(厳密には②の婉曲表現も仮定法に含まれます。)これらの中で仮定法が問題で問われることが圧倒的に多く、特に和訳問題で注意が必要です。
例えば(4)の文は
「紳士はそんなことは言わない。」と訳出してしまうと大幅に減点を受けてしまうでしょう。主語に込められた仮定の意味をふまえ、「紳士であればそんなことは言わないであろう。」ぐらいに訳さなければなりません。
他の英文はそれぞれ以下のような訳になります。
(1)もう少し注意していれば、あなたは間違いをしていなかっただろう。
(2)あなたは一生懸命勉強しました。そうでなければ試験に合格出来ていなかっただろう。
(3)彼が日本語を話すのを聞けば、彼を日本人だと思うでしょう。
東大の英作文でも仮定法は頻繁に問われます。
2010年の入試問題で、「全世界の人々が同じ言語を使用しているとしたら、我々の社会や生活はどうなっていたと思うか。」という題材で、
If there were only one language in the world,…
という書き出しに続ける形で英語で埋めよ、との問題でした。
もちろん全世界の言語が一つに統一されることなど現実的にはあり得ないことですので、仮定法を使わなければなりません。それに気づかず、助動詞の過去形を使わずに英語を書いてしまうと大幅な減点は避けられないでしょう。
2012年には「もし他人の心が読めたらどうなるか」というテーマが出されており、今後も英作文では仮定法を使うべきかどうかはよく吟味しなければならないでしょう。
仮定法については以下の二つがポイントです。
①仮定法過去、過去完了の使い分けはマスター必須!
②助動詞の過去形があれば仮定法を疑う。