模試受験の心得【受験後】

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模試は受験したらそれで終わりではありません。むしろ大切なのは模試の受験後,それをどう活かすかです。せっかく受験した模試,返却された成績に一喜一憂して終わり,ではもったいないです。本ページでは模試を受験した当日,成績返却後にすべきことを紹介していきます。キチンと復習して模試を最大限活用していきましょう。

受験当日編

自己採点

 朝から晩まで必死に問題を解いていると,試験終了後は解放感でとても気持ちいいものです。その解放感から「今日は十分やりきった!!遊ぼう!!」なんて気持ちになってしまうかもしれません。でもその気持ちをグッと抑えてやるべきことをやりましょう。そう,自己採点です。

 自己採点と一口に言っても,模試の種類によってその意義は異なります。

 まずはマーク模試。こちらは共通テストの練習と言っても良いかもしれません。マーク模試ではもちろん配点も公表されていますし、採点もマルかバツかの2つしかありません。試験中に自分が書いた解答を問題冊子にメモしておけば,自己採点と実際の得点は一致するはずです。...が,実際に点数を比較してみると一致しないことがしばしばあります。マークミス,解答を修正した時に問題冊子にメモし忘れる,なぜか問題冊子に解答が二つ書いてある...人によって原因は様々でしょうが,実際の共通テストの自分の点数が分からない,なんてことにならないように模試の時から自己採点の練習をしておきましょう。もちろん成績返却後に実際の点数と比べるのを忘れずに。

 次に東大模試。東大模試は自己採点をするのが難しいかもしれません。数学や理科では答えが間違っていても部分点が貰えたり,逆にカンペキだと思っていても思わぬところで減点されていたりします。英語の要約や英作文などは自分が書いた答案を完璧に再現することも難しいでしょう。ですが,だからこそ東大模試は“どの部分で加点・減点されているのか”を知る良い機会になるのです。自己採点の際には「自分としてはここで点数が貰えると思う」というポイントを明確にしておき,答案返却後に見比べてみると“点数が貰える答案”を作るヒントになるでしょう。

解答・解説を熟読

 試験中に分からない問題があった...そんな時は試験終了後に配られる解答冊子を読んでいち早く正答を知りたいと思うでしょう。しかし,合っていた,間違えていたに関わらず解説は熟読すべきです。特に東大模試は,大手予備校の講師たちが腕によりをかけて作ってきた問題ばかりです。当然その解説にも力をかけています。英語の英作文であれば論理の組み立て方から使い易い言い回しまで掲載されており,その模試だけに限らず,東大入試に向けたヒントがたくさん掲載されています。数学であれば自分が解いた方法以外の別解が載っているでしょう。読み物を読むようなつもりでじっくり解答冊子に目を通してみると新たな発見が得られるでしょう。

解き直し

 間違えた問題を解き直す―これは復習の基本であり,もちろん模試でも同じです。定着させるためにも、間違えた問題については当日から遅くとも3日以内には1度解き直しておきたいものです。その後、1週間~1か月後頃にもう一度解き直しを実施すると、更に定着度は増していくでしょう。

 ただ,間違えた問題すべてを解き直す必要は無いかもしれません。そもそもまだ学習を終えていない範囲の問題については,一通り学習を終えてから再度チャレンジする形が良いでしょう。
 

答案返却後編

合格判定をどう見るか

 東大模試の答案と成績が返却された時に一番最初に気になるのはやっぱり偏差値と合格判定でしょう。A判定が出れば嬉しいですし,E判定だとガッカリするものです。ただ,特に現役生にとっては,判定を気にしすぎるのは良いことだとは思えません。模試は現役生だけでなく多くの浪人生も受験しています。夏の模試では現役生は理社の範囲が追いついていない場合もありますし,何と言っても演習量が浪人生と比べ物になりません。その差は秋に向けて埋めていくとして,模試を受ける前に決めていた目標を達成出来ているか,自己採点では想定していなかった加点・減点がないか,といったことをチェックしてその後に繋げていきましょう。
 一方で浪人生はA判定にこだわるのもアリです。一年間の演習量と実際の東大入試を受験した経験は大きな力になるはずです。むしろ「A判定取らないでどうする!」ぐらいの気概を持って東大模試に取り組んでみても良いでしょう。

 では実際に合格判定にはどのくらい信頼が置けるのでしょうか?これはあくまでも私が指導してきた東大に合格した生徒や大学の知り合いの話になりますが,夏,秋とA判定を取って至極順当に合格した人,夏はD,秋はBで段々と伸びてきた人,逆に夏にC,秋にEを取って絶望しながらも結局受かって行った人など様々です。もちろんA判定を取った人の方がE判定の人よりも受かりやすいのでしょうが,結局最後は入試本番で自分の力を出しきれるかが大事です。判定に一喜一憂せず,地に足をつけて学習していきましょう。

講評冊子は保管すべし!?

 東大模試では答案と成績とともに,その模試を採点した予備校講師による講評冊子も送られてきます。これが中々辛口に書かれていることが多く,読んでいて耳が痛い人も多いかもしれませんが,他の受験生の典型的な誤答例なども分かり面白い。
 またこの冊子には“成績優秀者リスト”が書かれています。このリストに載れれば嬉しいのはもちろんですが,実はこのリストを受験終了後まで保管しておくのをオススメします。というのも,模試の活用とは全く無関係ですが,大学入学後に改めて見直してみると知り合いがわんさか載っています(笑)。大学では全然授業に来ないアイツも受験生のころは日本のトップ10に入る人だったのか....といった小さな発見の楽しみのために講評冊子は保管しておくと面白いです。

まとめ

 ここまで模試を受験するうえで大事にしてほしいことをお伝えしてきました。繰り返しになりますが,模試は現在の自分自身の成長しているポイントや課題となっているポイントを把握し,更に成長していくためにとても重要な機会です。一方で,東大合格のために必要なことは,入試当日までに実力を伸ばし,本番でその力を出し切ること。どうしても模試の結果に一喜一憂してしまう人も,そのことを忘れず日々の勉強に取り組んでいってほしいと思います。頑張ってください!

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