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河合出版『やっておきたい英語長文700』

 東大の過去問に手を伸ばす前に長文読解に慣れるのに最適な一冊です。大学入試で頻出のテーマに関する厳選された15題が掲載されています。

 長文読解と一口に言っても大学ごとに出題傾向、形式は様々です。東大の第1問や第4問では論説文が出題されることが多い一方で、東大の第5問では小説やエッセイ調の英文が出題されています。長文読解の最も効率的な方法はなんといっても過去問を解き、出題形式に慣れることでしょう。特に東大の場合は過去問だけでなく、大手予備校各社が実施しているいわゆる”東大模試”の過去問も市販されているため、過去問演習の回数を重ねることができます。

 しかし英語が不得手な人がいきなり過去問に手を出すのは無理な話。長文読解、特に長めの英文に慣れるためにオススメなのが”やっておきたい英語長文"シリーズです。本書”やっておきたい英語長文700"はMARCHや地方国立大で出題された700語程度の英文が15題セレクトされています。本書以外にも300, 500, 1000と題したものもあり、それぞれの数字が収録されている英文のおおよその長さに相当しています。"300"はセンター試験向けといったところで東大受験生にとっては簡単。"700"が難しいと感じたらまずは"500"に手を伸ばしてみましょう。

 本書に取り組む上で意識してほしいことが二つあります。一つは時間を意識して英文を読むこと。東大英語は時間との戦いです。第5問にかけられる時間は25分程度であり、決して十分な時間とは言えないでしょう。本書はそれぞれの問題に制限時間が設けられています。制限時間以内に英文を読み切る、問題を解き切ることを意識して問題に取り組みましょう。

 二つ目は頻出テーマに慣れること。本書はグローバル化、食糧問題、環境と経済、脳死といった近年よく出題されるようなテーマの英文を意図的にピックアップしています。更に解答冊子ではテーマに関連する背景知識も補足してくれています。東大の第5問でこういったテーマの英文が出題される可能性は低いですが、第1問や第4問で出題されることは十分に考えられます。全く知らないテーマの英文を読むことと、バックグラウンドの知識を多少持って読むことでは理解度、スピードともに全く異なります。本書を通じて頻出テーマの知識を頭に入れておきましょう。

 あくまでも本書の目的は長文読解の基礎的な力を付けることであり、実際に東大の問題を解くためにはそれ専用のトレーニングが必要です。本書の上位版として"やっておきたい英語長文1000"もありますが、東大を目指すのであれば700を一冊仕上げた後はそちらに手を出すよりも、少しでも多くの過去問に触れておくのが一番です。



2016/10/27 大澤英輝

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