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A級紙 ~理学的興味をくすぐる! 入試問題の根底にあるテーマ~

 このコーナーは、皆さんが高校までで学習している内容が大学ではどんな風に現れるのか、また実際の研究でどのように使われているのか、生活にどのように溶け込んでいるのかといった話題を、東京大学の数学・物理・化学の入試問題に(無理矢理)絡めてちょっとだけでも知ってもらい、勉強をより一層楽しんでもらおうという企画です。基本的に理系向けで、中でも特に数学・物理に寄った内容になります。

 塾・学校での授業や、問題集の解説・コラムにも、こういった内容が話題に上ることはしばしばあります。しかし多くの受験生にとって、これは自分も思っていたことですが、そういった話の多くがピンとこないまま終わってしまうんですよね。
 確かにそれらは入試問題の根底に関わるものですから、受験レベルからすればかなり高度なもの、すなわちA級と言っていいものばかりでしょう。受験生の内はそんな難しいことに気を取られず、目の前の受験勉強にだけ力を注いでいた方が良い、という意見には、実は自分も賛成です。

 でも、せっかく興味深い話題の近くにまで辿り着いているのに、そこに触れたら時間の無駄だなんてとても勿体ない話ですよね。このジレンマ、何とかならないかな……と考えた結論として企画されたのがこのコーナーです。
 つまり、このコーナーではそういった、高校までの教科書には載っていないような突っ込んだ話を、大学受験に役立つような形で紹介し楽しんでもらうことを目指します。
 両方のイイトコ取りなんて欲張りな話なのかもしれませんが、この記事を通して少しでも、皆さんの理学的興味をくすぐり受験勉強のお役にも立つことができれば何よりの喜びです。

 「入試」の奥の「A級紙」、どうぞ宜しくお願いします!

石橋雄毅

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2014/06/27
 水がどれだけ汚れているかを表す数値的な基準を“水質指標”と呼びます。用途や状況に応じて使い分けられるいくつかの種類があるのですが、東大入試で2005年に出題された“COD”は水質指標の中でも最も代表的なものでしょう。この辺りの話を深めるに当たり、普段東大入試ドットコムで英語…
2014/05/30
 年に一度の東大入試の楽しみは、ただ解くだけでは終わりません。各予備校から発表される講評・分析を読んで、受験業界で一流とされる人間達が今年の東大入試をどう見たのかを吟味するのも、それぞれに違いがあって毎年とても楽しませてもらっています。…
2014/02/21
 受験生の石橋君は、辺りが真っ暗になる時間まで学校で勉強していました。自分の場合学校が家から近かったものですから、登下校は基本的に自転車でした。自転車を漕ぎながらボンヤリと前を眺めていた石橋君は、ふと自転車のライトが夜道を照らす様子に目を…
2014/02/07
 殆どの理系の東大受験生は、入試当日を迎えるまでに「今年の物理第3問は去年波だったから熱になるんじゃないか」とかいった話を友達とするんじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。当然のことですが、どっちかにヤマを張るなんてことのないように…
2014/01/24
 2015年度入試から始まる新課程では、新たに“曲線の長さ”が数学Ⅲの範囲になります。これまでの課程で次の“曲線の長さ(弧長)を求める公式”を明確に入試の出題範囲としている大学は京都大学くらいのものでしたが、数学が得意だったり進学校に通っていたりする人の中には…
2013/12/06
 さて、第8回で紹介した通り、東京大学の理系の学生は1年の冬学期(2学期)と2年の夏学期(3学期)に必ず「基礎物理実験」「基礎化学実験」という2つの単位を取得することになります。とある一人の東大生・石橋君も例に漏れずそれら数々の実験を制覇してきたわけですが、2012年2月26日、年…
2013/11/22
 憶測でしかない話ゆえ、公の場で唱えられることのあまり無い説ですが、東大入試の作問者はおよそ2年ごとに変わっているのではないかと言われることがあります。絵画を見れば誰が描いたか分かる人もいるし、文章を読んだだけで作家が分かる人もいる――それと同じように、東大入試も…
2013/11/08
 学習指導要領の変更に伴い、2015年度入試から各大学の数学の出題範囲が変わります。つまり今年大学受験を控える皆さんが、「行列」の単元を学習する高校生としては事実上最後の受験生ということになるわけです(無論、この単元が今後復活することも十分に考えられますが)。単元が削除され…
2013/10/25
 物理を勉強していると、沢山の“定数”に出くわします。万有引力定数 G 、ボルツマン定数 k 、気体定数 R 、電気素量 e 、真空誘電率 μ0 、……高校物理の範囲でもかなり多くの定数が出てきますね。東大も含め物理の入学試験で数値計算をさせ…
2013/10/11
 東京大学の理科一類の学生は、1年の冬学期(2学期)と2年の夏学期(3学期)に必ず「基礎物理実験」「基礎化学実験」という2つの単位を取得することになります(理二・三は若干事情が変わります)。とある一人の東大生・石橋君は、昔から手先が不器用だったために実験というものがあまり好きではなく、…
2013/09/27
 今回の題材は1999年東大理系数学第6問。一般的な模範解答のように、直接的に出すのが難しい値を直線で上手く評価する方法を“一次近似”と言いますが、この方法自体は受験物理でもよく使いますよね。例えばヤングの実験などで目にすることの多い次のような近似です。…
2013/09/13
 さて、物理選択の皆さんの中にはもう教学社『東大の物理25ヵ年』で東大入試物理の演習を重ねている人もいるかもしれませんが、第2版以前のものを使っている人は、頭から順に解いていると「何だこれは?」と思う言葉に出くわしたことでしょう。それは1985年第4問(当時は理…
2013/08/30
 科学は日進月歩の進化を遂げていますから、身の回りの大抵のことは既に調べ尽くされてしまっています。この地球全体として見ても、人間が普通に生活しているような空間で新事実や新種の生物が発見されるようなことは相当稀ですよね。では新たな生物は最近ではどこで見…
2013/08/16
 「空間図形の体積を求めよ」というとき、受験生の皆さんが真っ先に思い浮かべる、むしろ真っ先に思い浮かべられるようになっておくべき解法は「適当な断面で切って面積を求め積分する」というものでしょう。東大でも頻出の考え方ですね。難関大の受験業界におい…
2013/08/02
 入試物理の問題集で必ず見る、磁場中の導体レールの運動の問題。2010年度入試は東大でもこんなひねりの無い問題を出すのかと話題になったものですが、確かに導体レールの問題は解くとなると為すべき操作が大体決まってしまっていて、演習を積んで手慣れてしまった皆…
2013/07/12
 「空はどうして青いのか」――身近にある疑問の中でも結構ポピュラーなものだと思いますが、これについて実際に自分で調べてみたことがある人はどのくらいいるのでしょう。実際にはそんなに簡単な話ではありませんが、こういうことに自分から興味を持ち進んで調べてみ…
2013/07/01
 さて初回の内容ですが、受験生にとって苦手意識が一番強いかもしれない、でも解けると一番楽しいかもしれない、そんな“整数”の分野からのトピックスです。
 タイトルにもある「ディオファントス方程式」―― なにやらゴツい名前で身構えてしまうかもしれませんが、その実は結構皆さんにも馴染み深いものだと思い…
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