【入試情報】#02 東大が何を求めるか?
連載:入試情報
2023.06.14
実はアドミッションポリシーで明確に示されている
「どうやったら東大に入れるか?」という疑問は、東大受験を考える方なら誰でもお持ちだと思います。その答えとして、「頭が良い人」「勉強を頑張った人」という声を良く耳にします。それは確かにその通りだとは思いますが、「自分が、東大が欲しい人材である、ということを証明できた人が受かる」という答えが一番正しいのではないでしょうか。
こんなことを書くと「何も答えていないに等しいじゃないか」いう批判を受けそうですが、実は東大はどのような学生に入学してほしいかをアドミッションポリシーとして明確に示しています。以下に抜粋を掲載しますので、ぜひ一読の上学習の参考にしてみてください。また、全文に目を通すとより理解が深まると思います。東大の公式ページに全文が掲載されていますので、ぜひ一度読んでみることをおすすめします。
期待する学生像
東京大学が求めているのは〜(中略)〜自ら主体的に学び,各分野で創造的役割を果たす人間へと成長していこうとする意志を持った学生です。何よりもまず大切なのは〜(中略)〜学びに対する旺盛な興味や関心,そして,その学びを通じた人間的成長への強い意欲です。そうした意味で,入学試験の得点だけを意識した,視野の狭い受験勉強のみに意を注ぐ人よりも,学校の授業の内外で,自らの興味・関心を生かして幅広く学び,その過程で見出されるに違いない諸問題を関連づける広い視野,あるいは自らの問題意識を掘り下げて追究するための深い洞察力を真剣に獲得しようとする人を東京大学は歓迎します。 |
東京大学公式ページ「東京大学アドミッション・ポリシー」より抜粋
試験で点数をとるだけでなく、様々な分野に興味を持って自分で掘り下げることのできる人物を求めているわけです。2016年度より始まった推薦入試制度の導入といった入試改革もこのような考えに基づいていると考えられます。そのため、東大の入試は、高校の範囲から逸脱したような難しい知識が問われる訳ではありません。むしろ持っている知識を関連づけて考察し、適切に表現する力を見ようとしています。
どのような試験を行うか?
上で挙げたような学生を選抜するために、どのような試験問題を出題するのか?こちらも、東大公式ページに記述があります。教科ごとに、どのような考えに基づいて問題を作成するのか、その問題の方針が示されています。これを読むと東大の入試問題は各教科を「総合的に深く」学習しているかどうかを試すものということができるでしょう。以下に掲載しますので、ぜひ目を通してみてください。
国語 … 読解力と表現力
国語の入試問題は,「自国の歴史や文化に深い理解を示す」人材の育成という東京大学の教育理念に基づいて,高等学校までに培った国語の総合力を測ることを目的とし,文系・理系を問わず,現代文・古文・漢文という三分野すべてから出題されます。本学の教育・研究のすべてにわたって国語の能力が基盤となっていることは言をまちませんが,特に古典を必須としているのは,日本文化の歴史的形成への自覚を促し,真の教養を涵養するには古典が不可欠であると考えるからです。
このような観点から,問題文は論旨明快でありつつ,滋味深い,品格ある文章を厳選しています。学生が高等学校までの学習によって習得したものを基盤にしつつ,それに留まらず,自己の体験総体を媒介に考えることを求めているからです。本学に入学しようとする皆さんは,総合的な国語力を養うよう心掛けてください。 総合的な国語力の中心となるのは 1) 文章を筋道立てて読みとる読解力 の二つであり,出題に当たっては,基本的な知識の習得は要求するものの,それは高等学校までの教育課程の範囲を出るものではなく,むしろ,それ以上に,自らの体験に基づいた主体的な国語の運用能力を重視します。 そのため,設問への解答は原則としてすべて記述式となっています。さらに,ある程度の長文によってまとめる能力を問う問題を必ず設けているのも,選択式の設問では測りがたい,国語による豊かな表現力を備えていることを期待するためです。 |
地理歴史・公民 … 総合的な知識、分析的思考、論理的表現力
過去と現在,世界の各地域など,人間社会で一見バラバラに起こっている事象は相互に関連しています。それらについて一定の知識を身につけることはもちろん必要ですが,東京大学は細部にわたる知識の量ではなく,知識を関連づけて分析,思考する能力を重視します。そうした能動的で創造的な思考力は,暗記を目的とした勉強ではなく,新聞やテレビなどで報じられる現代の事象への関心や,読書によって養われる社会や歴史に対する想像力を通じて形成されます。
そのため本学を志望する皆さんには以下の点を期待します。それに留意して学習に励んでください。 1)総合的な知識 2)知識を関連づける分析的思考力 3)論理的表現力 |
数学 … 数学的思考力、数学的表現力、統合的数学力
数学は,自然科学の基底的一分野として,人間文化の様々な領域で活用される学問であり,科学技術の発展に貢献するだけでなく,社会事象を客観的に表現し予測するための手段ともなっています。そのため,東京大学の学部前期課程(1,2年生)では,理科各類の全学生が解析・代数を必修科目として履修し,文科各類の学生も高度な数学の授業科目を履修できるカリキュラムが用意されています。
本学に入学しようとする皆さんは,入学前に,高等学校学習指導要領に基づく基本的な数学の知識と技法を習得しておくことはもちろんのことですが,将来,数学を十分に活用できる能力を身につけるために,次に述べるような総合的な数学力を養うための学習を心掛けてください。 1) 数学的に思考する力 2)数学的に表現する力 3)総合的な数学力 |
理科 … 発見力・洞察力、論理的かつ柔軟な思考力、総合的理解力と表現力
理科は,文系・理系を問わず,社会における自然科学,先端技術が関連する様々な分野において,問題の本質を見つけ,課題解決に導くための考え方の基礎となる教科です。このために,東京大学の学部前期課程(1,2年生)では,理科各類の全学生が物理・化学・生物を必修科目として履修し,文科各類の学生も高度な自然科学の授業科目を履修できるカリキュラムが組まれています。
本学を受験する皆さんには,高等学校で理科の各科目を広く勉強し,理科に関する基礎的な力を身につけることを期待しています。このために,入学試験では以下の能力を判断するための問題が出題されますので,そのような力を養成する学習を目指してください。 1)自然現象の本質を見抜く能力 2)原理に基づいて論理的にかつ柔軟に思考する能力 3)自然現象の総合的理解力と表現力 |
外国語 … 受信力、発信力、批判的思考力
人間は「ことば」なしでは生きていけません。誰もが「ことば」で考え,相手の感情を知り,自分の思考を相手に伝えます。「世界的視野をもった市民的エリート」を育てることを使命とする東京大学は,教養教育(リベラル・アーツ教育)を重視しており,そのため,入試問題においては,多くの外国語による受験に門戸を開いています。具体的には,英語のほか,ドイツ語,フランス語,中国語等による受験が可能です。共通して求める能力をまとめるとすれば,「外国語による理解力と表現力」ということに尽きます。
いずれの外国語についても,本学で学ぼうとする皆さんは,高等学校までの教育課程の範囲内で,それぞれの言語によるコミュニケーションに必要とされる理解力と表現力を備えていることが期待されますので,その言語についての正確な知識に裏打ちされた論理的な思考力の養成に努めてください。外国語文の和訳,和文の外国語訳,文法的知識を問う問題は言うまでもなく,ときにその言語の背景にある社会・文化への理解を要求する問題が出題されるのも,そうした努力の成果を見るためです。 以下,外国語として選択されることの最も多い英語について若干付言します。現代社会において,市民的エリートとしての責任を果たそうとすれば,英語力が重要な要素であることは明らかでしょう。ここで求められる英語力は,具体的には3点にまとめられます。 1)英語による受信力 2)英語による発信力 3)批判的な思考力 こうした英語力を身につけるためには,発音・語彙・文法構造などの細部の把握と,論理構成の理解や文化的背景についての知識に裏打ちされた大局的な把握との両面での訓練が必要であり,教養教育ではそうした英語教育を目指しています。そのため,本学を志望する皆さんには,高等学校学習指導要領の範囲内で,そうした英語カリキュラムに対応できる能力を身につけるように特に意識して,学習を進めてほしいと思います。 |
枠内、いずれも東大公式ページ「高等学校段階までの学習で身につけてほしいこと」より
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2024年06月23日
ユーリ・マニンの論文を一度だけ文献に挙げていたようです。Preflipという論文で、1973年の放物形式の周期とp進ヘッケ級数という論文、そして、1979年の非線形微分方程式の代数的側面、というKdV方程式の代数幾何の論文。それだけでしたね、確認したところ。そんなに甘くないよ、この世界。