今回は現役東大生の I 君が2011 年度の入試の時に実際に書いた解答にツッコミを入れていきましょう。
問題文に目を通してみると、イギリスで 16 歳未満の子供へのペットの販売が禁止されたというニュースに対し、
(1)Helen; そんなクレイジーな法律信じられない!!
(2)Kiyoshi; でもこの法律も一理あるんじゃない??
というような会話の流れになるのが一般的でしょうか。HelenとKiyoshiの発言内容を入れ替えることもできそうですが、いずれにせよ(1)と(2)の文が逆接のbutで結ばれていることから、両者の発言は相反するものでなければなりません。
ちなみにこの法律、実際にイギリスに存在するもので、他にも街頭や公の場でのペット販売が全面的に禁止されているようです。イギリスは動物愛護の歴史が最も長いと言われ、これらの法律もペットの衝動買いや、無責任な人のペット購入を防止する目的で制定されているようです。
■I君の答案(1)
ペットを飼うことによって子供の教育に良い影響がある...という内容は理に適って いますし、書きやすそうですね。「ペットの世話を通じて命の大切さを知り、子供が立派な大人に成長する」という内容ですが、“decent”という単語が少し気になります。decentは、<社会的に、服装等が>立派な、見苦しくない、といった意味ですので、ここではresponsibleやkindといった単語の方が適切かと思います。また二つの文を単純にandで結ぶのではなく、so thatを使って因果関係をはっきりさせてもいいかもしれませんね。
「命の大切さ」を“how important lives are”と疑問詞を使って書いているのはウマいですね。“importance of lives”と書くよりも柔らかく、自然な表現です。同様に、
・テレビの仕組み |
the mechanism of TV⇒ how TV works |
・彼の来る時間 |
the time he will come ⇒ when he will come |
・彼の考え |
his idea ⇒ what he thinks |
といった感じで書き換えることで語数を増やしたり、同じ単語の繰り返しを避けたりすることが出来ます。
I君の答案を元に、以下のような形でも英文を作れそうですね。
Children can learn how important lives are by living with them. Also that will have good effects on their education.
・have good effect on A = have good influence on A
・・・「Aに良い影響を与える」
■I君の答案(2)
こちらは内容面で少し問題がありそうです...
「ペットの世話を通じて子供たちが命の大切さを知り、立派な大人に成長する!」
という Helen の意見に対して、
「子供たちに命の大切を教えるために動物を殺すのは残酷だ!!」 というのは論理が飛躍していますし、これではあたかも我々が教育のために動物を殺していることを前提にしているようです。
同じような方針で書くとすれば、「動物の意思に反して教育のためだけに動物を飼うのは人間のエゴだ!!動物がかわいそうだ!!」と動物愛護団体になったつもりで意見することは可能でしょうが、英語で書くのは少し難しそうです。
少し方針転換して、子供がペットを飼うべきではない理由を改めて考えてみましょう。問題文中に“because they may not be able to take proper care of them”と書かれていますので、この理由を支持する具体例なんかが書けると良いでしょう。
例えば以下のような答案が考えられそうです。
Actually, there’re many abandoned(stray) pets around us. The number of these poor pets will decrease by this law.
・the number of A・・・「Aの数」(cf. a number of A・・・「たくさんのA」 )
その他の解答例
(1)It's really ridiculous! Not all children under sixteen can't take good care of their pets!
(2)this law can serve as a protection of animals because it makes people be aware of the responsibility of ownership.
2014/8/29 大澤英輝