初回である今回は現在東大4年生のO君が受験生時代に作った2008年度第2問(B)の答案を引っ張りだし、再現してもらいました。
「これから50年の間に起こるであろう交通手段の変化」とのことで、わりかし身近な話題ですね。書く内容の方針は簡単に定まりそうですが、注意したいのがその変化が人々の生活に与える影響にまで触れておかなければならない点。この要素が欠けてしまうと大きく減点されてしまいそうです。
私が今まで指導してきた中で、この問題への解答は大きく分けて以下のような3パターンでした。
①すごく速い(快適な)交通手段が開発されて生活が便利になる!
②環境に優しい交通手段が開発される!
③自転車や徒歩に人気が出て健康的に!
①の方向性で答案を書いてくる生徒が最も多いです。新幹線の発達やリニアモーターカーの展開といった現実的な話題から瞬間移動装置の発明というロマン溢れる答案まで見受けられました。最近話題のLCC(格安航空会社)の台頭なんてテーマでも書けるかもしれませんね。①のテーマではその変化が与える影響がイメージしやすいのもポイントです。
②は環境問題の観点から燃料電池車や電気自動車の普及について述べる生徒が多い。環境問題は英作文やそれ以外の問題でも度々目にする話題なのでこちらも書きやすそう。③は原始的な交通手段が逆に人気になるという面白い観点です。
■O君の答案
答案の方向性としては前述した②に沿っており、問題無いでしょう。ただ、「人々の生活に与える影響」として、"we’ll be able to live in a better world." とザックリ書かれているだけなのがもったいない。問題文で「具体的に記せ。」と指示されている通り、もっと身近で具体的に影響を書かなければなりません。とは言え、確かに今回のような内容で具体的な影響まで落とし込むのは案外難しいかもしれません。prevent global warming や stop deforestation のように具体的な環境問題を挙げるぐらいが落としどころでしょうか。
細かいところですが、最初の2文だけで ”car” という単語が3回繰り返されているのが気になります。前提として英語は同じ単語の繰り返しを嫌うのはもちろんですが、2011年入試で「understand と pain はそれぞれ一回しか用いてはならない」と但し書きが付けられたこともあるので、普段から極力単語の繰り返しを避ける意識を持つに越したことはないでしょう。今回の car であれば、vehicle, automobile で書き換えられますね。
O君の答案からは少し逸れますが、環境問題を論じるときに便利な単語として sustainable があります。「持続可能な」という日本語訳が充てられているこの単語は、地球環境を保全しつつ経済・産業も発展し続けるような...といった意味を含んでおり、環境問題を扱うときに度々使われます。英作文でも使える表現なので覚えておいて損は無いはずです。
以上よりO君の答案を元に以下のような答案を作ってみました。
In next 50 years, electric vehicles will be developed and today’s gasoline cars will be no longer used. You’ll save a lot of money because you don’t have to pay for fossil fuels.
In addition, as these cars won’t emit any carbon dioxide, the problem of global warming may be solved and you’ll lead a sustainable life.
・no longer・・・「もはや〜ない」
・save money・・・「お金を省く、貯金する」
cf. save time・・・「時間を省く」
・lead a life・・・「生活をおくる」
その他の解答例
I think some engineers will develop a new train which travel much faster than today's Shinkansen. People will be able to commute to Tokyo from remote place by using it. As a result, they will have much more choices where they live. I think a lot of people will be likely to choose to live in countryside and enjoy its nature in holidays.
2014/8/1 大澤英輝