特集ブログ

英作文(2009-A)

 今回は2009年度の問題を扱います!それ以前までは大問2では (A), (B) の二つの英作文が課されていましたが、2009年度の問題では (A) では従来通り自由英作文、(B) では短い英文が与えられ、それと同じ意味の英文を作れ、という新傾向の問題でした。従来の問題形式に比べて、...


 今回は2009年度の問題を扱います!それ以前までは大問2では (A), (B) の二つの英作文が課されていましたが、2009年度の問題では (A) では従来通り自由英作文、(B) では短い英文が与えられ、それと同じ意味の英文を作れ、という新傾向の問題でした。従来の問題形式に比べて、内容面を練る必要がなく、英文量も少ないため、受験生にとっては負担が減ったように感じます。

 では実際に問題に目を通していきましょう。「今日の世の中で知識を得るために本を読むことは助けになるか」という命題に対して賛成と反対の両方の立場から意見を述べれば良さそうです。抽象的な問いですが、制限字数がそれぞれ20~30字と少ないので理由を簡潔にまとめなければいけません。逆に言えば内容的に掘り下げることができないので、無難にまとめた答案を目指せば良さそうです。

 “No” の立場からの意見の方が考えやすいでしょうか。一般的にも言われていることですが、本を用いた学習には「情報の遅さ」という欠点があるように個人的には思えます。「急速に変化する現代社会の中で本に書かれていることは時代遅れである」という方針が第一に思い浮かぶ人が多いのではないでしょうか。実際に iPad のような情報端末を教育現場に導入している例をニュースもよく耳にします。

 反対に “Yes” の立場からはどんな意見が考えられるでしょうか。抽象的でなかなか答えを考えにくい問題ではありますが、さっき考えた「情報の遅さ」を逆にメリットとして考えられないでしょうか。古いということはそれまでに多くの人読んできたということであり、それだけその本の内容は信頼と実績があると言えるかもしれません。実際、大学の講義で使う教科書が数十年も前に出版されていたものであることは少なくありません。こんなことを30字以内でまとめれば無難な答案ができそうですね!

 それでは実際に現在東大理系4年生のH君に書いてもらった答案を見てみましょう。


■ H君の答案


 Yes の立場からは自分が本を使って勉強してきた経験を根拠にしています。「本で勉強してきたおかげで東大に入れた!」といった趣旨であり、内容的には十分だと思います。
「〜のおかげで」という表現は owe を使って、owe A to B 「AはBのおかげだ」という形で書くこともできます。例えば「今の自分があるのは母のおかげです。」なんて文は

I owe what I am to my mother.

のようにシンプルに書くことができますね。同様の文を逆の発想で

Without my mother, I wouldn’t be what I am now.

と仮定法を使って書き換えることもできそうです。

 No の立場は先述したものと近い内容ですね。こちらも大きな問題点は見つかりません。あえてツッコミを入れるならば situation 「状況」という単語は things で言い換えられ、turn things around 「状況を好転させる」のように使うことができます。他にも It is not true. を the case 「事実」を使って It is not the case. なんて表現ができると繰り返しを避ける時に便利かもしれません。

 以上を踏まえてH君の答案をブラッシュアップしてみました!

(1) Yes, because I've studied with textbook since I entered elementary school. I owe what I am today to what I learned with textbooks.

(2) No, because things today are changing quickly. What written in some book can be not the case in today’s world. I think we should acquire the knowledge through the Internet.

・owe A to B … AはBのおかげだ。
・what S is … 今のSの姿、Sの人となり
・things… 状況
・the case…事実

その他の解答例

(1)Yes, because I think I can understand and experience what the author thinks or feels through reading his book. To touch great authors’ books and their wisdom will surely enrich our life.

(2)No, because I think I can’t fully understand something just by reading books. There’re more effective ways to learn something, such as to discuss with your friends or to use Internet.


2014/10/24 大澤英輝

list page 

ソーシャルボタン

公式Twitterアカウント