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英作文(2007-A)

2007年の問題形式は少し特殊で、指示された3つのポイントに触れながら2人の会話を要約せよ、というもの。他の年の過去問を見てみるとイラストの場面を想像させたり、とある命題に対する意見を述べさせたりと、”自由” 英作文の色が強いのが東大の英作文ですが、今回の問題はどちらかといえば和文英訳に近いテイストを...


2007年の問題形式は少し特殊で、指示された3つのポイントに触れながら2人の会話を要約せよ、というもの。他の年の過去問を見てみるとイラストの場面を想像させたり、とある命題に対する意見を述べさせたりと、”自由” 英作文の色が強いのが東大の英作文ですが、今回の問題はどちらかといえば和文英訳に近いテイストを感じます。前年の2006年の英作文では(A)で2人の会話を要約する問題、(B)で指示された3つのポイントに触れながら自分の意見を述べる問題が出題されており、本年はそれらをミックスしたような形式と言えます。

先に述べたように答案に盛り込むべきポイントは指示されており、「何を書けばいいか」で迷う人はほとんどいないはず。与えられた日本語を「どうやって書くか」が重要になりますが、東大の自由英作文ばかり練習している人にとって、こういったタイプの問題は意外と慣れていないものなのかもしれません。とはいえ二人の会話に難しいところはなく、文字数も多くないのでそれほど時間がかかる問題では無いはず。むしろ如何に60字以内にポイント3つを盛り込むかがキーになるかもしれません。

盛り込むべき内容は以下の3つ。

・生徒がどのような悩みを持っているか
・生徒の英語学習のどこが間違っていたのか
・教師はどのようなアドバイスをしたか


これに対する答えを見つけるのは簡単です。それぞれ該当する発言を抜き出してみましょう。

・生徒がどのような悩みを持っているか
いくら練習しても英語の聞き取りがうまくできるようにならないんです。

・生徒の英語学習のどこが間違っていたのか
そんなに難しい英語を聴いても分からないでしょう。
ある程度中身が理解できるくらいの教材を選ばないと。

・教師はどのようなアドバイスをしたか
毎日易しい英文の聞き取りをやって、それと同時に内容的に関連する読み物を辞書を引きながら丁寧に読んでごらん。

あとはこれらを英語に直していけば良い訳ですが、全ての要素を完璧に盛り込もうとすると文字数が足りなくなってしまい兼ねません。
例えば2つ目のポイントの「ある程度中身が理解できるくらいの教材」なんてのも丁寧に訳そうとすれば、
materials which he can understand to some extent.
のように書けると思いますが、言ってしまえば
easy materials
でも大まかな意味は通る訳です。和文英訳では、確かに関係詞を使うことで与えられた和文の意味そっくりの英文を作ることはできます。それは決して悪いことではなく、むしろ受験英語という観点からは強力な武器になり得ます。ですが制限字数と相談しながら、 ”シンプルに書けるところはシンプルに書く” ことの練習もしておくと良いかもしれません。同じ制限字数でも一文が短ければ短いほど多くの要素を答案に盛り込むことができますからね。

例えば生徒指導をしていると、何かの命題に対する賛否を問われるタイプの問題に対して、

・私は〜に対して賛成です。
・その理由は…だからです。
・こういう訳で私は〜に賛成です。

ぐらいの構成で答案を作る生徒をよく目にします。2文目の理由に関する文がものすごく長くて文字数を稼いでる感じですね。もちろん論理的・文法的におかしくなければそれで十分点数は入るとは思いますが、もっと一つ一つの要素をシンプルに、コンパクトに書けることができれば、より多くの要素が入った充実した答案が書けるかもしれません。自分の意見の具体例を入れてみたり、反対意見も盛り込んで譲歩構文で書いてみたり…なんてこともできるでしょう。 もしそれで字数が余ってしまえば関係詞を使って丁寧に書き換えてあげれば良い訳ですからね。 ”シンプルに書けるところはシンプルに書く” これが大問1の要約にも通ずるものがあるかもしれません。


さて今回の問題からは少し脱線してしまいましたが、この問題に対する現役東大生の答案を見てみましょう!!今回は工学部4年生のO君に答案を考えてもらいました!



■ O君の答案


含めなければならないポイントにしっかりと触れてあり、内容的にはほぼ問題ない答案であると言えそうです。「上手くできるようにならない」を have difficulty improving… で表現するのもピッタリです。一点指摘するのであれば、3文目の what he is listening という部分は現在進行形にしない方が良さそうです。今まさに英語を聞いている訳ではありませんからね。

先に述べた ”シンプルに書く”という観点から言えば、例えばこの答案に書いてある
read some books which is related to what he listens...

read related books...
ぐらいで書いてしまうこともできるでしょうし、「辞書を引きながら」は “with a dictionary” だけでも大丈夫かと思います。(もちろんこの答案のままでも全く問題ありません。)

以上を踏まえてO君の答案をブラッシュアップしてみました!

The student says he has difficulty improving his ability of listening to English no matter how hard he practices. The teacher tells him that he listens to too difficult English for him. So the teacher advised him to listen to easier one and read related passages with a dictionary.

・have difficulty (in) 〜ing … 〜するのに苦労する
・no matter how 〜 … 〜どんなに〜しても
・consult a dictionary = look up a word in a dictionary … 辞書を引く

その他の解答例

The student can’t get better at listening to English however hard he tries. The teacher points that he is always listening to the English which is too difficult for him. So the teacher recommends him to listen to the one he can understand and read related passages while looking up words in a dictionary.

2015/1/9 大澤英輝

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