今回は「図形と方程式」の単元から。解法選択も一つの分岐点ですが、いずれの方法にせよ繁雑な計算・議論が待っています。押し負けず、正答に辿り着いてほしい……!
<問題PDF>
座標平面上の 3 点 A$(1, 0)$, B$(-1, 0)$, C$(0, -1)$ に対し,
$\angle APC = \angle BPC$
をみたす点 P の軌跡を求めよ。ただし P≠A, B, C とする。
<略解PDF>
<略解>
P$(x, y)$ とおき,$x$ と $y$ のみたすべき関係式を求める.
まず,P≠A, B, Cより,$(x,y)≠(±1,0),(0,-1)$ ……①
また,$\angle APC=\angle BPC$ のとき,$\cos{\angle APC}=\cos{\angle BPC}$ すなわち
$ \frac{\overrightarrow{PA} \cdot \overrightarrow{PC}}{\vert \overrightarrow{PA} \vert \vert \overrightarrow{PC} \vert}=\frac{\overrightarrow{PB} \cdot \overrightarrow{PC}}{\vert \overrightarrow{PB} \vert \vert \overrightarrow{PC} \vert} $
⇔ $ (\overrightarrow{PA} \cdot \overrightarrow{PC})\vert \overrightarrow{PB} \vert = (\overrightarrow{PB} \cdot \overrightarrow{PC})\vert \overrightarrow{PA} \vert $
となるから,これに $\overrightarrow{PA} = (1-x, -y), \overrightarrow{PB}=(-x-1,-y), \overrightarrow{PC}=(-x, -1-y)$ を代入して整理すれば,
$(x^2-x+y^2+y) \sqrt{(x+1)^2+y^2 }=(x^2+x+y^2+y) \sqrt{(x-1)^2+y^2 }$
⇔「 $x^2-x+y^2+y$ と $x^2+x+y^2+y$ とが異符号でない」かつ $xy(x^2+y^2-1)=0$
⇔ $ \{ \left( x-\frac{1}{2} \right)^2+ \left( y+\frac{1}{2} \right)^2- \frac{1}{2} \} \{ \left(x+\frac{1}{2} \right)^2+ \left( y+\frac{1}{2} \right)^2 - \frac{1}{2} \} \geqq 0$
かつ「 $x=0$ または $y=0$ または $x^2+y^2=1$ 」……②
∴ 点P $(x,y)$ のみたすべき条件は①かつ②であり、図示すると下図の白丸を除く太線部となる.
……(答)
図形問題に取り組む姿勢として、常に「初等幾何・三角比」「座標」「ベクトル」の3つの観点から問題を眺めることが重要です。さらに、座標平面上の角度の条件は、それぞれの観点からは「円周角・有名角、余弦定理」「直線の傾き:tan」「内積」と結びつきやすいことも意識しておきましょう。こういった習慣がついていれば、解法選択も“一か八か”ではなく、安定してきます。
例えば今回ならば、ある程度円周角の定理で答えの想像もつくのですが、少し考えれば記述が大変そうと分かる(見落としも生じそう)。直線の傾きで議論しようとすると角の状況の場合分けが煩雑。じゃあベクトルを使って内積で行くか、といった具合です。
無論、他の方法でも不可能ではないし、最終的には答えが出れば良いのですが、思いついた解法で突っ走るのではなく、解法を自分が好きに選べるレベルを目指しましょう。
2016/09/15 石橋雄毅