慶應義塾大学
早稲田大学
対戦結果
慶應義塾大学
60分で大問4題、全問マーク式。基本的には空欄に入る用語・数字を選択するもので、正誤問題も出題されます。地図問題が出題されることや、比較的近現代史に重点が置かれている点も特徴的です。
全てマーク形式のため判断の難しいところではありますが、分量としては東大よりもやや少ないと言えるでしょう。サンプル問題を見ていただくとわかるように、欲しい言葉を大量の用語群の中から選んで解答する形式のため、情報処理能力も必要とされています。地図問題も難解です。
出題形式は空欄補充と正誤問題がメインという一般的なものですが、内容は私大最難関とも言われ、受験世界史三種の神器、教科書・用語集・資料集の内容をはるかに超えた知識(年号、文化)を要するレベルです。全学部を通じて教科書レベルを逸脱した知識が求められる出題の多い慶應ですが、法学部はその“らしさ”が顕著に現れていると言ってよいでしょう。この問題で7−8割の高得点を取れる受験生は、センター試験満点レベルから2歩も3歩も踏み込んだ知識を有していると考えられます。
東大の第3問では多かれ少なかれ細かな知識も問われるので、慶法の問題を一度解くことで耐性を付けるのも悪くありませんが、その復習がそのまま東大の対策になるとは考えにくいところです。さらに、東大で高配点の論述問題への対策を考えても疑問が残ります。大量・詳細な知識は武器にはなるものの、それだけでは太刀打ちできないのが東大の論述であるためです。
慶法の問題は初めて解くと「こんな問題あり…?」と思う方も多いと思います。いわば、大学から世界史受験生への挑戦状といった感じでしょうか。東大合格を目指す方にはぜひ1度は解いてみて欲しいものではあります。
サンプル問題 ~2015年 大問Ⅰ~
形式:★☆☆☆☆(空欄補充)
傾向:★★★☆☆(現代史にも十分な対策が必要という意味で近い)
分量:★★☆☆☆(東大よりやや少なめ)
知識:★★★☆☆(東大以上)
慶應義塾大学
早稲田大学
対戦結果
早稲田大学
60分大問5題。例年大問Ⅰ~Ⅳがマーク形式、大問Ⅴが200文字〜250文字の中論述1題となっています。論述を除くほとんどが、正誤問題です。また、中論述は東大の第1問と第2問をミックスさせた形式といったところ。キーワードが与えられ、その使い方が難解である点は第1問と、字数や知識レベル、出題範囲(時代・地域)の限定度合いは第2問と酷似しています。
傾向としては、時代・地域を限定せず万遍なく出題されている印象です。ただし、多くの年度で中国史が大問1題分出題されている点、論述が近現代史に偏りを見せる点が特徴的です。分量は600字論述を有する東大と比較するとやはり少なくなります。
早稲法の正誤問題は、一見超難問であるように感じるでしょう。選択肢に聞いたことの無い用語が多出するためです。しかし、選択肢をよく読むと正誤判断に必要な知識はセンターレベル+α程度であることが多く、いわゆる難問は少なくなっています。解説を読んだ瞬間「なんだ...こんなに簡単なことを聞かれていたのか」と思うような問題です。つまり、知識をいかに正しく覚えているかという精度と、知っている知識をいかに応用できるかという応用力が問われる問題です。
論述については東大の第2問で求められる知識と同じレベルを必要とする印象です。ただし、必要とされる知識の方向性は、東大で求められるような世界史全体を縦にも横にも広く俯瞰したものではなく、ある特定の時代・地域の縦の流れを高い精度で把握するというものです。
様々な観点から述べましたが、早稲法の論述は東大第1問対策の肩ならしにはちょうど良い長さ、レベルです。東大の問題で心が折れた時には、早稲法の論述だけひたすら解き続けるといった学習をするのもありかもしれませんね。
サンプル問題 ~2013年 大問Ⅴ~
形式:★★☆☆☆(中論述含む)
傾向:★★★☆☆(論述は比較的現代史が重視されるが、時代・地域に網羅性あり)
分量:★★☆☆☆(東大より少ない)
知識:★★★★☆(方向性は多少異なるが東大よりも標準的な知識)
慶應義塾大学
早稲田大学
対戦結果
法学部 世界史対決 結果
|
形式 |
傾向 |
分量 |
知識 |
計 |
KEIO |
1 |
3 |
2 |
3 |
9 |
WASEDA |
2 |
3 |
2 |
4 |
11 |
戦評
形式・知識でリードした早稲田がロースコアゲームを制し3勝目
東大の世界史は受験最大字数の600字論述を含む、極めて特殊な形式であることから、今回の戦いは比較的低い点での争いとなりました。
両者は音楽家ならチャイコフスキー(慶應)とブラームス(早稲田)といった感じでしょうか。……分かりづらいですね。つまり高度な技術が重視されるのが慶應、技術の精度を重視するのが早稲田。どちらも魅力的ですが、正確な知識を持って初めて挑める東大論述との親和性が強いのはやはり早稲田でしょう。
2016/12/22 武井杏華
ここまでの対戦結果
|
理工 数 学 |
法 英 語 |
理工 物 理 |
法 世界史 |
理工 化 学 |
法 日本史 |
理工 生 物 |
法 国 語 |
理工 英 語 |
勝 |
敗 |
分 |
KEIO |
● |
● |
○ |
● |
|
|
|
|
|
1 |
3 |
0 |
WASEDA |
○ |
○ |
● |
○ |
|
|
|
|
|
3 |
1 |
0 |
次回予告
12月26日(月) 5回戦 理工学部 化学対決
入試問題早慶戦
<開会式>序
<法学部>英語/
世界史/
日本史/
国語
<理工学部>数学/
物理/
化学/
生物/
英語
<閉会式>総括