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特集ブログ ~自身の合格体験を吐き出すだけのブログでは不十分~

 東大生や東大卒業生が、自身の合格体験を基にアドバイスをしているブログや書籍は数多くある。もちろん、有益なものも多い。
 ただし、実際に生徒指導をしていると、自身の東大合格体験はあくまでも一例でしかないことに気づく。生徒を東大に受からせるには、学科知識、教材・模試・過去問の活用法、受験戦略、学習方法のすべてを見直し体系化する必要がある。

 情報が氾濫する時代だからこそ、自身の合格体験を吐き出すだけのブログでは不十分。自らが東大合格体験者でもあり、東大受験専門の塾・予備校の講師として毎年、生徒を東大合格に導いているメンバーのみが運営する『東大入試ドットコム』の特集ブログです。

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追加・更新記事リスト

202件中  5件表示  <7680>
2015/09/16

東大数学の難易度と分野を整理しました。


理系

年   第1問  第2問  第3問  第4問  第5問  第6問
2015 領域(普)確率(普)極限(普)数列(普)整数(難)積分(難)
2014 図形(易)確率(普)座標(普)極限(難)整数(難)領域(普)
2013 座標(易)微分(易)確率(難)図形(普)整数(難)積分(難)
2012 座標(易)確率(普)積分(易)整数(難)行列(普)行列(難)
2011 微分(易)整数(難)積分(難)図形(普)確率(普)積分(難)
2010 図形(普)積分(普)確率(普)積分(普)図形(普)図形(難)
2009 整数(難)行列(普)確率(普)積分(普)微分(普)図形(難)
2008 極限(普)確率(普)積分(難)微分(易)整数(難)積分(普)
2007 整数(普)図形(普)領域(普)行列(普)確率(普)積分(難)
2006 図形(易)確率(普)図形(難)整数(普)極限(難)積分(普)
2005 微分(易)複素(難)微分(普)整数(普)確率(普)積分(難)
2004 図形(普)整数(難)積分(難)関数(普)極限(普)確率(普)
2003 積分(普)複素(普)積分(難)整数(普)確率(普)図形(普)
2002 座標(易)整数(易)図形(難)微分(易)極限(易)確率(難)
2001 図形(普)積分(普)微分(易)複素(普)論証(難)確率(難)


文系

年   第1問  第2問  第3問  第4問
2015 整数(普)積分(普)図形(普)確率(難)
2014 微分(易)確率(普)領域(難)整数(難)
2013 微分(普)図形(普)関数(普)確率(難)
2012 関数(易)図形(普)確率(普)積分(普)
2011 積分(易)整数(普)確率(普)軌跡(普)
2010 図形(易)積分(易)確率(難)図形(難)
2009 座標(易)整数(普)確率(普)積分(普)
2008 積分(易)確率(易)軌跡(難)整数(難)
2007 積分(易)図形(普)整数(普)確率(普)
2006 図形(普)確率(普)整数(普)関数(普)
2005 積分(易)整数(普)関数(難)確率(普)
2004 座標(普)領域(易)関数(難)確率(普)
2003 積分(普)領域(普)整数(普)確率(難)
2002 座標(易)整数(易)積分(普)論証(普)
2001 図形(普)微分(易)確率(難)論証(難)


データの補足

・難易度は三段階(易,普,難)で評価しています。様々な資料をもとにできるだけ客観的な評価になるよう意識しましたが,難しさは人によってかなり異なると思います。参考程度にどうぞ。
・東大は複数分野にまたがる問題が非常に多いです。一部強引に分野を決めています。場合の数の問題も「確率」と書いています。「複素」は複素数を表します。


コメント

・理系は第1問が比較的易しく,第6問が比較的難しい年が多いです。
・文系は第1問が比較的易しく,第3問,第4問が比較的難しい年が多いです。
・理系について,積分は第3問,第6問で出題される年が多いです。第3問,第6問は解答用紙のスペースが広いので,計算量が多い問題も出題しやすいからと考えられます。
・微分がメインの問題は「易」がつきやすく,ここで失点しないことが重要です。
・確率,整数は他の分野とは独立な(複数の分野にはまたがらない)問題が多いです。理系では確率,整数はほぼ確実に一問ずつ出題されます。文系でも確率はほぼ確実に,整数も高確率で出題されます。

2015/09/02

分野別過去問解説の第三弾です。今回は空間図形の問題(積分で体積を求める問題は除く)を二問。最後に東大数学の空間図形の問題の特徴,傾向についても述べます。


問題1

まずは2001年第一問(文理共通)。


問題1:半径$r$の球面上に四点$A,B,C,D$がある。四面体$ABCD$の各辺の長さは,$AB=\sqrt{3}$,$AC=AD=BC=BD=CD=2$を満たしている。このとき$r$の値を求めよ。


問題1の解答

いろいろな方法が考えられるが,ここでは空間座標を用いて計算してみる。細かい計算は省略している。計算よりも座標設定の方法を理解してほしい。
三角形$BCD$が$xy$平面上にあり,重心が原点となるように座標を設定する。 $B(0,\frac{2}{3}\sqrt{3},0),\:C(-1,-\frac{\sqrt{3}}{3},0),\:D(1,-\frac{\sqrt{3}}{3},0)$


次に$A$の座標を求める。$AC=AD$より,$A$の$x$座標は$0$である。$A$の座標を$(0,y,z)$とおくと$AB,AC$の長さについて, $3=(y-\frac{2}{3}\sqrt{3})^2+z^2,\:\:\:2^2=1^2+(y+\frac{\sqrt{3}}{3})^2+z^2$
これを$y,z$について解くことにより$A(0,\frac{\sqrt{3}}{6},\frac{3}{2})$が分かる($z=-\frac{3}{2}$も方程式の解だが,$z$が正になるように$A$を取った)。


四面体$ABCD$が座標空間に埋め込めたので,外接球の半径を計算するのは難しくない。外接球の中心は$B,C,D$から等距離にあるので$x$座標,$y$座標は$0$である。その$z$座標を$z$とおくと,長さの条件から
$1+\frac{1}{3}+z^2=r^2,\:\:\frac{1}{12}+(\frac{3}{2}-z)^2=r^2$
これを解くと$z=\frac{1}{3},r^2=\frac{13}{9}$
よって,$r=\frac{\sqrt{13}}{3}$


問題1のポイント,補足

・座標を設定する場合,計算がわりと大変でミスしやすい。出てきた答え$\frac{\sqrt{13}}{3}$は$1$よりも少し大きいくらいで直感にも会う。このように,出てきた答えの値が直感に矛盾しないか確認することで検算になる。
・なお「$AB$側から四面体を見ると$ACBD$がひし形に見える」ことを用いて解くこともできる。ただ,座標計算に比べて空間把握能力が必要。


問題2

続いて2010年理系第六問。



問題2の解答

(1)典型的な問題でただ計算するだけだが,計算量がわりと多め。 $\vec{OA}=\vec{a},\vec{OB}=\vec{b},\vec{OC}=\vec{c}$とおく。
$|\vec{a}|=BC=3,\:\:|\vec{b}|=CA=\sqrt{7},\:\:|\vec{c}|=AB=2$と長さは分かっているので,次は準備として内積$\vec{a}\cdot\vec{b},\:\:\vec{b}\cdot\vec{c},\:\:\vec{c}\cdot\vec{a}$を求める。 $4=|\vec{b}-\vec{a}|^2=9+7-2\vec{a}\cdot\vec{b}$ より$\vec{a}\cdot\vec{b}=6$
残り2つも同様にして,$\vec{b}\cdot\vec{c}=1,\vec{c}\cdot\vec{a}=3$
次に,$\vec{OH}=p\vec{a}+q\vec{b}$とおくと, $\vec{CH}\cdot\vec{a}=(p\vec{a}+q\vec{b}-\vec{c})\cdot\vec{a}=0$より, $9p+6q-3=0$
$\vec{CH}\cdot\vec{b}=(p\vec{a}+q\vec{b}-\vec{c})\cdot\vec{b}=0$より, $6p+7q-1=0$
以上2つの式を解くと$x=\frac{5}{9},\:y=-\frac{1}{3}$ よって,$\vec{OH}=\frac{5}{9}\vec{OA}-\frac{1}{3}\vec{OB}$


(2)まず,$M$が$C$を通る前後で断面が三角形から四角形に変化するので場合分けが必要であることに気づきたい。変化する際の$t$を(1)を使って求める。
$\vec{OH}=\frac{2}{9}(\frac{5}{2}\vec{a}-\frac{3}{2}\vec{b})$で$\frac{5}{2}\vec{a}-\frac{3}{2}\vec{b}$は直線$AB$上にあるので,変化点は$t=\frac{2}{9}$である。


・$0 < t \leq \frac{2}{9}$のとき,断面は三角形。底辺の長さは$P_tQ_t=t AB=2t$,高さは$\frac{9}{2}t|\vec{CH}|$である。よって,$S(t)=\frac{9}{2}t^2|\vec{CH}|$。あとは$|CH|=\sqrt{|\frac{5}{9}\vec{a}-\frac{1}{3}\vec{b}-\vec{c}|^2}$ を頑張って計算すればよい。計算すると,$|\vec{CH}|=\frac{2}{3}\sqrt{6}$となるので$S(t)=3\sqrt{6}t^2$


・$\frac{2}{9} < t < 1$のとき,断面は台形。下底の長さは$P_tQ_t=t AB=2t$。上底の高さは$\frac{9}{7}(t-\frac{2}{9}) AB=\frac{18}{7}t-\frac{4}{7}$,高さは$\frac{9}{7}(1-t)|\vec{CH}|=\frac{6\sqrt{6}}{7}(1-t)$ より,$S(t)=(2t+\frac{18}{7}t-\frac{4}{7})\cdot \frac{6\sqrt{6}}{7}(1-t)\cdot\frac{1}{2}=\frac{12}{49}\sqrt{6}(8t-1)(1-t)$


(3)これはおまけ。$0 < t \leq \frac{2}{9}$では$S(t)$は単調増加なので,$\frac{9}{2}\leq t < 1$ における$S(t)$の最大値を求めればよい。
$(8t-1)(1-t)$はただの二次関数であり,平方完成すると $-8t^2+9t-1=-8(t-\frac{9}{16})^2+\frac{49}{32}$ となる。よって,$t=\frac{9}{16}$のとき,$S(t)$は最大値$\frac{49}{32}\cdot\frac{12}{49}\sqrt{6}=\frac{3}{8}\sqrt{6}$を取る。


問題2のポイント,補足

・(1)は基本的な問題。絶対に正解する必要がある。(2)が山場,(3)は(2)ができればサービス問題。
・考え方はそこまで難しくないが,相当な計算量。普段から「考え方が分かったからできた」と終わらせるのではなく,短時間で計算をやりきって正しい答えを出すところまで訓練をしておく必要がある。
・特に$CH$の長さを計算するあたりで心が折れる。きつい場合は一回他の問題に移って気分転換するのもオススメ。


まとめ〜東大空間図形の傾向〜

・空間把握能力(どこの面で切るとよいか,どこが垂直でどこが平行か,など)ももちろん必要だが,険しい計算を強引に突破する力も重要(例えば今回の問題1はほぼ計算のみで解けた)。基本的な座標計算,ベクトル計算,三角関数の計算(余弦定理など)を素早く正確にできるように繰り返し練習しておこう。
・場合分けや厳しい計算を要求される問題が多いので,検算は必須。自分の計算を再確認するだけでなく,出てきた答えが直感的にそれなりに正しそうな値かどうか必ず確認しよう。

2015/08/16

分野別過去問解説の第二弾です。今回は整数分野から二問。最後に東大数学の整数問題の特徴,傾向についても述べます。


問題1

まずは2009年理系第一問。文系は(2)までです。



問題1の解答

(1)まず,$d_m$は${}_mC_1=m$の約数なので,$1$か$m$である。
よって,あとは$m$が素数のとき${}_mC_i\:(1\leq i\leq m-1)$が$m$の倍数であることを証明すればよい。
実際,${}_mC_i=\frac{m!}{i!(m-i)!}$の分子は$m$の倍数であり,分母は$1$以上$m-1$以下の整数たちの積なので$m$の倍数ではない。つまり${}_mC_i$は$m$の倍数であるので題意は示された。


(2)まず,$k=1$のとき,$k^m-k=0$なので,題意の主張は正しい。

あとは数学的帰納法を完結させるために$k^m-k$が$d_m$の倍数であるとき$(k+1)^m-(k+1)$が$d_m$の倍数であることを証明すればよい。

実際,二項定理より$\{(k+1)^m-(k+1)\}-(k^m-k)=\displaystyle\sum_{i=1}^{m-1}{}_mC_ik^i$であり,この式の右辺は$d_m$の倍数であるので,$k^m-k$が$d_m$の倍数であるとき$(k+1)^m-(k+1)$も$d_m$の倍数となる。


(3) $k=d_m-1$として(2)の結果を使う($d_m=1$のときは$k=0$になってしまうが,(2)の主張は$k=0$でも成立する)と, $(d_m-1)\{(d_m-1)^{m-1}-1\}$が$d_m$の倍数であることが分かる。
ここで,$d_m$と$d_m-1$は互いに素であるので,結局$(d_m-1)^{m-1}-1$が$d_m$の倍数であることが分かる。 ここで,二項定理により$m$が偶数のとき$(d_m-1)^{m-1}-1$は($d_m$の倍数)-2となる。以上より-2は$d_m$の倍数。つまり$d_m$は1または2である。


問題1のポイント,補足

・(3)はかなり難しいですが,(1),(2)は落ち着いて問題文を読めば難しくありません。簡単な小問を確実に完答することが重要です。
・(1)は有名な定理です。覚えておくとよいでしょう。なお,$i{}_mC_i=m{}_{m-1}C_{i-1}$という等式(これも有名なので覚えておくとよい)を使えば$m$が素数のとき${}_mC_i$が$m$の倍数であることがすぐに分かります。
・$m$が素数のとき,(2)の主張はフェルマーの小定理と呼ばれる有名な定理と一致します。
・(3)は(2)の結果に$k=d_m-1$を代入するのが難しいです。(2)の結果をうまく使おうと試行錯誤すれば思いつきやすいでしょう。ちなみに,$k=m-1$を代入してもほぼ同様にできます。
・$n$と$n-1$が互いに素であることは重要です(東大2005年,2012年でも活躍)。


問題2

続いて,2006年理系第四問(文系第二問も似た問題)です。



問題2の解答

(1)整数解を持つためには$z$についての二次方程式 $z^2-xyz+x^2+y^2=0$の判別式$D$が非負であることが必要。計算すると, $D=x^2y^2-4(x^2+ y^2)$となる。 $y\leq 3$という条件のもと,$D$が非負になるのは$x=y=3$のときのみである。このときもとの方程式は$18+ z^2=9z$となり,解は$z=3,6$
よって,答えは$(x,y,z)=(3,3,3),(3,3,6)$


(2)$b^2+c^2+z^2=bcz$という条件を$z$について解くと, $z=\frac{1}{2}\left(bc\pm\sqrt{b^2c^2-4(b^2+c^2)}\right)$となる。この式の右辺は$a^2+b^2+c^2=abc$のとき,$\frac{1}{2}\left(bc\pm\sqrt{b^2c^2-4(abc-a^2)}\right)=\frac{1}{2}\left(bc\pm(bc-2a)\right)$,つまり$z=a,bc-a$となる。よって,$z=bc-a$とすれば,問題文の方程式を満たす。あとは$b\leq c\leq bc-a$を示せばよい。(1)より$b\geq 3$なので,$bc-a-c\geq 3c-a-c > 0$となりOK。


(3)(3,3,6)からスタートして無数に解を構成する。具体的には, $(x_1,y_1,z_1)=(3,3,6)$
$(x_{n+1},y_{n+1},z_{n+1})=(y_n,z_n,y_nz_n-x_n)\:(n=1,2,\cdots)$ とすれば任意の自然数nに対して$(x_n,y_n,z_n)$は問題文の方程式の解である。 また,(2)の議論により$x_n \leq y_n \leq z_n$という条件も満たし,$z_n$は単調増加なので異なる無限個の解が構成できた。


問題2のポイント,補足

・(1)はいろいろやり方は考えられますが,$(x,y)$は6通りに絞られているので最悪しらみつぶしに調べればよいです。絶対に間違ってはいけない小問です。
・(2)は一番難しい小問ですが「$z$が存在することを示せ」に対して「具体的に$z$を構成してやればよい」と考えることができれば難しくありません。東大の整数問題にしては簡単な問題です。
・(1)で初期解,(2)で解の生成方法について分かったので(3)ではそれを組み合わせればよいだけです。初期解+解の生成方法→無限に解があることを示す,というのはよくある流れです(例えばペル方程式)。



まとめ〜東大整数の傾向〜

・東大の整数は「〜〜を求めよ」という問題よりも「〜〜を証明せよ」というタイプの問題が多いです。そのため,日本語できちんと答案を書き上げる力が重要です。また,背理法,数学的帰納法,対偶法などいろいろな証明方法に慣れておきましょう。
・東大の整数の小問(1)ではただ実験するだけで答えが求まったり,簡単な証明問題であることも多いです。そのためここで失点するとかなり痛いです。早いうちにきっちり解いて(2)以降に臨みましょう。また「後半の小問では前半の小問の結果を使うことも多い」ということも気に留めておきましょう。
・今回の問題1の(3)のように,後半の小問は発見的な要素を含む難問であることも。完答にこだわりすぎて必要以上に時間を費やさないように注意しましょう。

2015/08/02

分野別過去問解説の第一弾です。今回は確率分野から二問。


問題1

まずは2012年理系第二問,文系第三問です。


問題1:図のように,正三角形を9つの部屋に辺で区切り,部屋$P,Q$を定める。1つの球が部屋Pを出発し,1秒ごとに,そのままその部屋にとどまることなく,辺を共有する隣の部屋に等確率で移動する。球がn秒後に部屋$Q$にある確率を求めよ。


問題1の解答

図のように各部屋に番号をつける。$n$秒後に部屋$Q$にいる確率を$p(n)$とおく。 $P$から奇数回の移動後には必ず$1,2,4,5,7,9$のいずれかにいて,偶数回の移動後には必ず$P,6,Q$のいずれかにいることに注意する。

よって$n$が奇数のとき$p(n)=0$である。


以下,$n$が偶数のときを考える。対称性より$n$秒後に部屋$6$にいる確率は$p(n)$となる。また,余事象の考え方から$n$秒後に部屋$P$にいる確率は$1-2p(n)$となる。


次に$p(n)$と$p(n-2)$の間の関係式を作る。$n$秒後に部屋$Q$にいるのは,以下の三パターンのいずれかに場合分けできる:
・$(n-2)$秒後に部屋$P$にいて,そこから$P→4→Q$と移動する
・$(n-2)$秒後に部屋$6$にいて,そこから$6→7→Q$と移動する
・$(n-2)$秒後に部屋$Q$にいて,そこから$Q→(4$ or $7$ or $9)→Q$と移動する
よって,$p(n)=(1-2p(n-2))\cdot\frac{1}{3}\cdot\frac{1}{2}+p(n-2)\cdot\frac{1}{3}\cdot\frac{1}{2}+p(n-2)\cdot\frac{1}{3}(\frac{1}{2}+\frac{1}{2}+1)$
整理すると,$p(n)=\frac{1}{2}p(n-2)+\frac{1}{6}$


これは単純な二項間漸化式である。特性方程式の解が1/3であることに注意すると,$p(n)-\frac{1}{3}=\frac{1}{2}(p(n-2)-\frac{1}{3})$と変形できる。これと初期条件$p(0)=0$より, $p(n)=\frac{1}{3}(1-2^{-\frac{n}{2}})$を得る。


問題1のポイント,補足

・漸化式を立てて確率を求めるという東大で頻出の問題です。
・偶数,奇数で分けて考える&対称性に注目することで変数の数を減らす(単純な二項間漸化式を導く)というのがポイントです。
・$n$が十分大きいとき部屋$P,6,Q$にいる確率は均等になりそう,つまり$p(n)=1/3$と予想できます。実際答えの極限を考えると1/3になることが分かります。このように極限を考えることで検算になります。



問題2

続いて,1995年理系第五問,文系第三問です。


問題2:サイコロを$n$回投げて,$xy$平面上の点 $P_0,P_1,\cdots,P_n$を次の規則(a),(b)によって定める。
(a)$P_0=(0,0)$
(b)$1\leq k\leq n$のとき,$k$回目に出た目の数が$1,2,3,4$のときには$P_{k-1}$をそれぞれ東,北,西,南に$\frac{1}{2^k}$だけ動かした点を$P_k$とする。また$k$回目に出た目の数が$5,6$のときには$P_k=P_{k-1}$とする。ただし$y$軸の正の向きを北と定める。このとき以下の問に答えよ。
(1)$P_n$が$x$軸上にいれば,$P_0,P_1,\cdots,P_{n-1}$もすべて$x$軸上にあることを示せ。
(2)$P_n$が第一象限$\{(x,y\mid x> 0, y > 0)\}$にある確率を$n$で表わせ。


問題2の解答

(1)一回$x$軸からはみ出ると戻ってこれないことを証明すればよい。$k$回目ではじめて$x$軸からはみ出た場合,$P_k$の$y$座標の絶対値は$\frac{1}{2^k}$である。
また,$k+1$回目から$n$回目までの移動距離は最大で,

$\frac{1}{2^{k+1}}+\frac{1}{2^{k+2}}+\cdots+\frac{1}{2^n}$

であり,$\displaystyle\frac{1}{2^k}\sum_{i=1}^{\infty}\frac{1}{2^i}=\frac{1}{2^k}$未満である。以上により題意は示された。


(2) ・$P_n$が第一象限にある確率を$p$とおく。対称性より他の象限にある確率もそれぞれ$p$となる。
・$P_n$が$x$軸上にある確率は,(1)より$n$回とも2と4が出ない確率であり,$(\frac{4}{6})^n$である。$y$軸上にある確率も同じである。
・また,$P_n$が原点にある確率は,$n$回とも5か6が出る確率であり$(\frac{2}{6})^n$である。
以上により,$4p+2(\frac{2}{3})^n-(\frac{1}{3})^n=1$という式が成り立つ。これを$p$について解くと,$p=\frac{1}{4}\left\{1-2(\frac{2}{3})^n+(\frac{1}{3})^n\right\}$


問題2のポイント,補足

・確率を全て足すと1になる,というのが(2)のポイントです。
・某参考書によると比較的難しい問題とされていますが,考え方はそこまで難しくありません。1つずつ丁寧に処理していくのみです。
・東大の問題の多くは本問のように「典型的でない&問題文が長め」なので受験生が面食らって平均点が下がりやすいです。このような問題に直面しても動揺せずにに落ち着いて問題文を読むことが重要です。


まとめ〜東大確率の傾向〜

・東大では漸化式をたてて確率を求める問題が頻出。対称性,余事象に注目するとうまくいくことも多い。より深く勉強したい人は「マルコフ連鎖」を調べてみるとよい。
・確率以外の議論が必要になる問題も多い。見たことがない&問題文が長い問題でもよく読むと実は簡単ということもある。「東大の問題だから難しい」「問題文が長いから難しい」などという先入観は排除すべき。

2015/07/26

東大入試数学攻略のために,試験本番中に意識すべき具体的なポイントを3つご紹介します。なお,この記事に書いてある「マルチラウンド法」が万人に合うとは限りませんが,高得点を出している多くの人(筆者の知人なのでサンプル数は少ないですが)が実践している方法です。


量,時間について

理系:大問6問,150分
文系:大問4問,100分
大問1問は1〜3個の小問で構成されています。


全問解く必要は全くありませんが,簡単な問題を逃さないことがとにかく重要です。一問ずつじっくり取り組むのではなくて早めに全問題に軽く挑戦しましょう。そして,問題の難易度を把握して簡単なものから詰めていく(マルチラウンド法)のがオススメです。
実際に試験にどのように挑むべきか,例を記事末に載せています。


解答について

東大入試の問題と解答用紙に解答用紙のサンプルがあります。


理系の第3問と第6問は他の問題の二倍の大きさで,ゆったり書くことができます。一方他の問題の解答用紙はわりと狭いので,それなりに簡潔に書く&解答用紙をうまく使う必要があります。解答用紙の真ん中に縦線を引っ張って二段に分けて書いていくのがオススメです(解答スペースを効率よく使える&見直しもしやすい)。

※解答用紙二段組の例



検算について

検算は超重要です。特に東大入試では複雑な場合分けや長い計算を要求する問題が多く出題されるので,非常に計算ミスをしやすいです。ちょっともったいないかなあと思うくらい検算に時間を費やしましょう。


検算には大きく分けて二通りあります。
1.自分の計算,論理の流れを「見直す」
2.他の方法で答えの正しさを確認する


2は例えば「確率が自分の感覚と答えの数値がそれなりに近いことを確認する」「数列の一般項にn=1,2などを代入して確認する」などです。
1をやるのはもちろんですが,2の方法も重要です。答えがおかしくないことを確認するいろいろな方法を普段から蓄えておきましょう。


マルチラウンド法の例

解き方,時間配分の例(文系の場合,理系も考え方は同じです):
〜第一ラウンド(30分)〜
大問1を5分くらい考える。おそらく考え方は分かったが計算がめんどくさそう,保留。
大問2を5分くらい考える。確実に考え方も分かったし正解できる自信がある。
→さらに15分かけて清書までして1完
大問3を5分くらい考える。全く分からない,難しそうなので飛ばして次に。
大問4を5分くらい考える。分からない。けど頑張ればできなくもなさそう,保留。


〜第二ラウンド(40分)〜
大問1トライアゲイン。最後の小問が意外と解けない。
解けたとこまで清書して15分費やす,1完半
大問4と3を往復するも,どちらも分からない。
大問3のできたとこまで清書。1完2半


〜第三ラウンド(15分)〜
残った問題が突破できないので気持ちを切り替えるために,
解けた問題を丁寧に検算して自信をつける。


〜第四ラウンド(15分)〜
残った問題を頑張る。刻々と時間が過ぎていき悲しいが,
検算で1完2半は確保しているのでそれなりに落ち着ける。
粘った末大問4が解けた。
清書して終了。2完半


<おまけの一言>
東大形式の模試を何度も受けて本番に慣れるというのも重要です!

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