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特集ブログ ~自身の合格体験を吐き出すだけのブログでは不十分~

 東大生や東大卒業生が、自身の合格体験を基にアドバイスをしているブログや書籍は数多くある。もちろん、有益なものも多い。
 ただし、実際に生徒指導をしていると、自身の東大合格体験はあくまでも一例でしかないことに気づく。生徒を東大に受からせるには、学科知識、教材・模試・過去問の活用法、受験戦略、学習方法のすべてを見直し体系化する必要がある。

 情報が氾濫する時代だからこそ、自身の合格体験を吐き出すだけのブログでは不十分。自らが東大合格体験者でもあり、東大受験専門の塾・予備校の講師として毎年、生徒を東大合格に導いているメンバーのみが運営する『東大入試ドットコム』の特集ブログです。

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2014/12/22
 東大志望の世界史選択者は世界史を安定した得点源にする必要があります。そのためには、出題傾向や内容をしっかり押さえたうえで、点に結び付くように考えながら勉強しなければなりません。
 まずは出題形式を見てみましょう。


■出題内容■

番号

出題内容

配点(推定)

第1問

510~600字の大論述×1題

25~30点

第2問

60~120字の小論述×4~6題          

20~25点

第3問

1問1答形式の短答問題×10題

10点前後


 各大問における設問数や要求行数は年度により多少変動はありますが、最近の傾向としては上表の形式が強いです。また配点については、第1問と第2問の配点差が小さい(つまり第1問が低め、第2問が高め)と予想されている年度もあるようですので、ある程度幅をもたせた形になります。
 時間配分としては、150分中半分の75分を使うとすれば、第1問に40分、第2問25分、第3問10分が目安でしょうか。個人差はあるでしょうが、第3問をなるべく速く片付けてしまって(僕は5分ほどで解いていました。)、次に第2問、最後に第1問と、残りの2つになるべく多くの時間を割く、というのが基本的な戦略になると思います。
 また出題範囲については、「先史の時代」などを除けば、おおむね全範囲から出題されているため、広く勉強しておくことが大事になります。強いていえば、第1問は16世紀以降の近代についての出題が多く、第2問はバランスを取るように古代や現代史の出題が多いかな、という感触はありますが、直前期でなければ特にヤマをはらずに全範囲を勉強しておくべきでしょう。
 それでは各大問の特徴をみていきましょう。

第1問
 言わずとしれた大論述です。東大世界史の代名詞とも言われるこの問題では、具体的な史実よりも、全世界を俯瞰した横のつながりや、ある出来事の背景や意義をつないだストーリーとしての歴史を書くことが要求されます。リード文と8つの指定されたキーワードをヒントに510~600字の論述を書くことが求められます。
 書いたもののこまごまとした推敲や修正が難しいという特性やボリューム、また出題された範囲を考えると、多くの問題に触れるとともに、同じ問題に対する書き直しなども含めた演習が必要でしょう。
 どれだけ勉強を重ねてもこの大問で満点をとることは容易ではありません。どんな聞かれ方をしても、またどんな範囲が聞かれたとしても苦手な人は5割、得意な人は8割をとることを目標に練習していくべきでしょう。

第2問
 歴史を概観させる第1問とは対照的に、第2問では各出来事や史実について、60~120字程度で詳述することが求められます。問われていることがシンプルなため、書くべきことで迷うことは少ない一方で、ごまかしがきかない設問でもあります。史実の抜けや誤った知識は致命的になるので、用語集などで曖昧な知識をつぶしていくことが重要です。また勉強が進んでいる人にとっては、少ない分量の中に盛り込みたい内容が増えてくるという葛藤が生じてくることもあるので、文章をシンプルにまとめる練習も必要でしょう。
 用語や史実をマスターすることで、この大問での得点率は大幅に上がります。苦手な人は6割、得意な人は9割の出来を目指すとよいでしょう。

第3問
 この大問では論述が課されることは少なく(あったとしても30字程度)、大体が1問1答形式の問題になります。知識としてはセンターレベルのものがほとんどなので、1問1答集や穴埋め式の問題集をマスターすることで満点が目指せる大問です。苦手な人でも8割、得意な人は10割を目指すことができます。

 以上をまとめると参考得点はこのようになります。(第1問:30点、第2問:20点、第3問:10点、を想定して計算しました。)


■参考得点■
・得意なら目指してみよう……52点
・標準的な目標……42点
・苦手でもここまでは……36点
・本番で大失敗……30点

 実際の合格者の平均としては36~42点ぐらいに落ち着くのではないでしょうか。最低限の目標として6割~7割の点数をとる、とするのが一般的でしょう。


■最後に■
 東大の文系の学生として、大学に入ってみてから僕が感じたことは、世界史選択者で世界史を苦手としていた人は少ないということです。勉強した分だけ点数が伸びるという科目特性の故か、みんなよく勉強してくるようです。世界史を選択する人は、世界史が苦手な科目にならないようまずはしっかり勉強時間を確保すること、そして大論述なども見据えて考えながら勉強すること、この2点を念頭に勉強していってほしいと思います。がんばってください!

2014/12/22 武井靖弥

二次得点の常識

理系国語理系数学物理化学生物
文系国語文系数学日本史世界史地理
英語
総括


2014/12/19


今回は2013年の問題です。二人の人物の写真が提示され、その会話の内容を想像しなさい、という形式です。過去にはイラストの状況を説明させる出題形式がありましたが今回のような形式は初めてです。2014年度も同様の形式になりましたが、今年はどんな問題形式になるのでしょうか、楽しみです。

二人の会話の回数、分量、順番等の制限はありません。会話の内容もあくまでも「自由に想像し」て良いのですから案外サクッと書けてしまうのではないでしょうか。もちろんいくら”自由”といっても常識的に写真の情景と一致するものでなくてはいけませんから、どんな会話の内容にすれば良いか考えていきましょう。

写真を見てみると二人の男女が会話をしているようです。女性は何かを指差し、男性は手を耳に当てているように見えます。この写真から考えられる会話の内容、、、 問題文では「自由に想像し」と書かれていますが、実際には想像の余地はそれほど無く、会話の大枠はほぼ決まってしまうように思えます。

Y: あの木の枝の上にいる鳥を見て!
・・・
X: 鳥の鳴き声が聞こえるよ。
・・・

人の目線よりも上にあるモノで、音を出すモノ。指差しているものが鳥なのか他の動物なのか、あるいは飛行機のようなものなのかはバリエーションがありそうですが、大体の受験生の答案は上のような感じになりそうです。
あとはこれをいかに60~70語まで膨らませられるかでしょう。


Y: ジャック!あの木の枝の上にいる鳥を見て!
X: 一体どこにいるんだい、メアリー?鳴き声は聞こえるんだけど...
Y: あそこよ!あなたの正面にいるじゃない!
X: ああ、やっと見つけたよ!なんて美しい鳥なんだ!こんなに美しい鳥は初めて見たよ!
Y: 本当ね!私もこんなに綺麗な鳴き声の鳥見たことないわ!
・・・

とまぁ中学一年生向けの英語の教科書にでも出てきそうな当たり障りのない会話ですが、実際にはこのくらいのレベルの答案がミス無く書けていれば十分かと思います。

会話の内容を凝ったものにしようとして時間をかけてしまったり、気の利いた言い回しをしようとして文法のミスをしてしまったり… そんなもったいないことをするぐらいだったら無難な答案をサクッと書き上げて他の問題に時間を回した方が得策ではないでしょうか。
実際の東大の英作文の採点方法に関しては、減点法なのかどうか、内容点と文法点で分かれているのか、様々な議論がありますが本当のところは東大の教授にしかわかりません。
が、実際に受験をすると”思ったよりも点数が良かった”という人も多く、あくまでも感覚的にですが、英作文の採点はそれほど厳しくない印象です。いずれにせよ、確実に減点されるであろう文法のミスを減らすために「書ける内容を書ける英文で書く」ことを心がけるのは大切なことです。


では東大生の実際の答案を見てみましょう!今回は2年生のM君に、実際の入試の時に書いた答案を再現してもらいました!



■ M君の答案


やはりM君の答案でも ”指差しているモノ” は鳥でしたね。その鳥がワシで動物園から逃げてきたに違いない!といった内容です。
内容的にも一捻り加えてあり、目立った文法のミスも無く、レベルの高い答案だと思います。

「落ち着いて。」という意味で使っている Calm down. この場面にピッタリの表現です。他には Are you kidding? 「冗談でしょ?」なんてフレーズも使えそうです。

気になる点を挙げるとすれば、X の最初の発言の “Which one? I can’t find it.” の箇所。「(鳥がたくさんいる中で)どの鳥だい?」という意味になりますが、Where? で聞いた方が今回は後の文脈への繋がりも良くなるように思います。

あとは ”音” の要素に触れていないのは内容的に減点されてしまうかもしれません。先に述べた通り東大の採点基準は分かりませんが、もし内容点があるのであれば ”何かを指差す Y” と ”耳に手をあてて何かを聞く X”、この二つの要素が含まれているかどうかは重要でしょう。

以上を踏まえてM君の答案をブラッシュアップしてみました!

Y: Hey! Look at that big bird!
X: Where? I can’t see but I can certainly hear it.
Y: That black one on the top of the tree. It must be an eagle! I’ve lived in this city for twenty years, but never seen eagles around here. It might have escaped from the zoo.
X: An eagle? Calm down. That’s not an eagle but a big crow. Y: Oh, you’re right.

・might have done … 〜したかもしれない。
・Calm down … 落ち着いて。

その他の解答例

X: Hey Mary, can you hear a bird singing?
Y: Yes, it's on the top of the tree. It sounds really beautiful.
X: I’m wondering what kind of bird it is but I can’t see it well. Can you see it?
Y: Yes I can see it clearly. It’s small blue bird with long black tail.
X: Really? I’ve never seen such bird before. I want to look it closely.

2014/12/19 大澤英輝

2014/12/19
 理科の問題冊子に物理の次に収録されているのは化学。殆どの理系受験生が「物理・化学」か「化学・生物」を選択するので、東大入試の理科の中では最も選択者の多い科目です。


■出題内容■
 試験時間・配点は他の理科科目と同様2科目150分・60点満点。大問3題構成ですが、近年では1つの大問がⅠ・Ⅱと分かれた2つの異なるテーマから構成されるのが常となっており、実質的に6題あるように感じるはずです。

番号

出題内容

配点

第1問

理論化学

20点

第2問

無機化学・理論化学           

20点

第3問

有機化学

20点


第1問
 東大化学では総合的な問題がよく出題されるため、必ずしも大別できる訳ではありませんが、第1問は例年理論化学を主眼に据えた問題が出題されます。とりわけ目立つ分野としては反応速度や熱化学、気体に関する問題などでしょうか。題材には一般的な問題集であまり見ないようなものがよく用いられ、ただの計算問題にしても自分で問題文を読解・咀嚼し、何が起こっているのか思考・解釈しながら立式していく必要があります。そのような問題を出す大学は他にもありますが、問題の作り込みから題材の面白さまで鑑みて、東大化学はその中で傑出していると十二分に言えるでしょう。
 目新しい問題が出るからと言って、何か高度なことに手を出さなければならないかというと勿論そんなことはありません。高校化学の基礎知識をしっかり身に着けている人が読めば、迷いなく正答に辿り着けるような問題文・構成になっています。むしろ“その場で考える”問題だからその場で考えればいいや~と基本事項を疎かにすることの方が危険。その場で考える前に、問題文の読解がおぼつかなくなります。
 また比重は大きくないものの、メインテーマの目新しい題材に関連させて、標準的な知識を問う問題も時に散りばめられています。単に現象名を聞くこともあれば、何か物質の性質についてその理由を論述させるような場合もあります。特に化学反応式を書かせるものは要になると言え、これが書けないと続く計算問題も解けません。

第2問
 続く第2問では無機分野の色が濃くなりますが、これも総合問題ゆえ理論化学と厳密に分けることができません。ここでの主要な出題テーマは、滴定や電池と電気分解、加えて無機物質の性質として元素分析や物質の製法、錯イオンなど。第1問に比べれば純粋に知識のみを問う問題の割合が増えるので、試験終盤の時間が無い中でも必ず、この第2問に関しては特に、さっと一通り目を通しすぐ答えられそうなものを探すべきだと言えます(無論、これは試験一般についていつも言えることです)。あとは基本的に第1問と似たようなもので、一筋縄ではいかない目新しい問題への心構えを整えておきましょう。

第3問
 最後は必ず有機化学。東大化学の有機と言えば長いこと構造決定が定番で、ここの点数が最も安定するがゆえにまず第3問から解き始めるのは東大化学の定石だったのですが、ここ数年急に合成経路やポリマー、高分子化合物といった、学習が手薄になりがちな有機化学の“最後のほう”がよく、というかそればかり出題されるようになりました。古い過去問ばかり解いていて、構造決定の練習しかしていなかった人は注意してください。
 有機化学という分野はもともと思考力を必要とする場面が多いものなので印象が薄くなりがちですが、東大化学第3問も第1問・第2問と肩を並べる程度には読解力・思考力を必要とします。構造決定は勿論ですが、例えば謎の薬品が謎の操作で調整されていく中で、時々垣間見える性質をもとに要求された知識を答えるのは、確かに知識問題と言えるのかもしれませんが相当に頭を使います。基本事項を頭に入れたら、過去問や模試など、東大形式の問題での演習を特に入念に行っておくべきでしょう。


■参考得点■
・得意なら目指してみよう……50点
・標準的な目標……40点
・苦手でもここまでは……30点
・本番で大失敗……20点

 化学は得点が安定する理系科目の代表格ですから、化学だけを考える場合において点数が大きく上下することはないことと思います。中位~上位層には、秋口の過去問演習の時点で30点台をコンスタントに取ってくる人も決して少なくないです。ではそういう人達が本番でどのように大失敗するかというと、例えば理科のもう一つの科目の方に時間を使い過ぎてしまった場合。理科は試験2日目の最初の科目ですし、前日の数学の出来を引きずるなどして緊張してしまうことも十分に考えられるでしょう。人間はいっぱいいっぱいの時ほど柔軟な対応ができなくなりますから、この事態を想定して「物理を始めて80分経ったら途中でも必ず切り上げて化学に入る」といった機械的なルールを設けておくなど、対策を用意しておいて損は無いかもしれません。
 そもそも、多くの人にとって東大理科は時間に余裕の無いものでしょうから、ある程度学科の勉強が落ち着いてきたら、最終的には試験時間を効率よく使いこなすことが何より大きく結果を左右します。試験時間が終わって一通り解き直してみたら、「この問題、どうしてやらなかったんだ!」と頭を抱えてしまうような経験、入試までに何度も経験してください。その一回一回での反省を活かし、自分なりに試験時間を最も有効に活用する術を身に着けることが、本来の自分の実力相応のターゲット得点に指をかけるカギのひとつとなるでしょう。

2014/12/19 石橋雄毅

二次得点の常識

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総括


2014/12/17
東大日本史はその出題形式が非常に独特と言われます。
問題形式はリード文+問題、と国語のような側面を見せつつ高得点を取るためには「日本史のキモ」をきちんと押さえておく必要があります。実際、 第1問なんかは中学校1年生でもある程度目処を立てることはできるのですが、いざ解答しようとなるとかなり大変…
そんな日本史の出題形式を見てみましょう。


■出題内容■
 試験時間は2科目合計で150分、60点満点。

番号

出題形式

配点(推定)

第1問

古代に関する論述 小問1〜3問 全150〜210字程度

15点

第2問

中世に関する論述 小問1〜3問 全150〜210字程度

15点

第3問

近世に関する論述 小問1〜3問 全150〜210字程度

15点

第4問

近代に関する論述 小問1〜3問 全150〜210字程度

15点


基本的に問題のフォーマットは各問とも同じ、大問4問形式での出題がここしばらく続いています。また、大問内の問題形式も大きな差は無く、似た形式・論述量の問題が続きます。
大問ごとに異なるのはその出題内容です。古代・中世・近世・近代から各1問出題されています。


第1問
本問は古代(奈良〜平安時代)に関する問題が出題されます。
2〜3行の文書を4〜5つ読み、それを元に論述します。テーマとしては古代律令国家や古代の外交等、有名テーマが決まっているため大外しすることはあまりないでしょう。
しかし、本問の難しさは「問題で問われていることにきちんと答えられるか」。「あっ、知っている問題だ」と思って自分の知識だけをどんどん書いていってしまうと、「問題に答えていない」ということで減点を食らってしまいます。
暗記科目というよりは、読解をきちんとして適切な回答を書く、国語的要素が強い問題ですので問題文の読み取りに特に時間をかけたい問題です。
とはいえ訓練次第ではいくらても取ることが出来るので、きちんと対策をし、落ちついてある程度の時間をかけて確実に7割程度は得点したいところです。


第2問
本問は中世(鎌倉〜室町時代)に関する問題が出題されます。
出題形式は第1問と似ていますが、時たま図表(過去には、傘連判状が出されたこともあります)を参照して論述を書く、といったバラエティある出題になることも。
基本的には、予想を裏切る出題がされることは無く、安定して点が見込めるでしょう。
鎌倉時代・室町時代の内政・外交がメインですが、時たま経済・文化史や織豊政権が出題範囲に含まれることも。穴を作らないような学習が求められます。


第3問
江戸時代に関する問題が出題されます。
江戸時代の中でも主に出題されるのは18世紀までですが、その中では年代、分野幅広く出題されます。
第1問、第2問と比べると基本知識の有無が得点を左右します。問題形式は第1問や第2問と大きくは変わりませんが、第1問では問題文の意味を絞り込むのに苦労するのに対して、第3問では問題文を教科書のどの知識と結びつければ良いかを考えるのに時間がかかるでしょう。


第4問
近現代に関する問題が出題されます。
日本史Bの教科書の約半分が近現代に割かれているだけあって、知っているか知らないかが出来に大きく左右されます。
問題形式は他3問と類似していますが、文章というよりは資料が出されること、また資料が何を指すのかの特定がポイントであること(第3問と似ていますね)が特徴でしょうか。


■時間配分について■
東大日本史の特徴をざっくりとまとめると以下のようになります。
第1問 第2問 第3問 第4問

読解力度

知識度

解く際に比重を置く部分

問題文読解

問題文読解

自分の知識との融合

自分の知識の組み立て



ここから見て読み取れることは、第1問〜第2問あたりは焦っている状態ではやらない方が良い、ということ。
いずれも解答にかかる時間はそれほど変わりませんが、解答するにあたり力を割く部分が大きく異なります。(第3問・)第4問は言ってしまえば知っているか知らないかの問題。逆に、第1問第2問は読解を正確にできるかどうかが問題の出来を大きく左右します。
他の科目(英語や世界史?)であれば、解く順番等を吟味する必要が出てきますが、日本史の場合は素直に第1問から順番に解いて行くとよいでしょう。

■参考得点■
・得意なら目指してみよう……45点
・苦手でもここまでは……38点
・本番で大失敗……30点

地歴科目全般(そして、日本史もご多分に漏れず)の目標点としては30点台後半〜40点台前半が目安です。そして後半の追い込みが効く・大崩れすることは少ない、と得点戦略を立てる上では良い科目。ぜひ高得点を狙い計画的に学習を進めてください。

2014/12/17 根本紘志

二次得点の常識

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総括


2014/12/15
 序盤での誤答を大問終盤まで引きずり倒して大量失点する怖さはありますが、高得点の安定しやすさが受験科目として魅力的な物理。東大入試理科4科目の中では化学に次いで多い選択者を誇ります。
 そもそも物理単体の試験時間が規格外の東工大や、長文・穴埋め形式の京大の問題の壮大さに比べ、東大の問題は形式の都合上小粒とならざるを得ないはずなのですが、そこに今までの観点を覆す一捻り二捻りがあるなんてのはザラ。そんな試験で十分に実力を発揮するために、まずは相手をよく見てみましょう。


■出題内容■
 試験時間・配点も他の理科科目と同様2科目150分・60点満点。大問3題構成なので1問当たり20点と見るのが妥当でしょう。構成はここ20年以上変わりなく以下のようになっています。

番号

出題内容

配点(推定)

第1問

力学

20点

第2問

電磁気                  

20点

第3問

波動/熱力学/原子

20点


第1問
 分厚い理科の問題冊子をめくって一番初めに現れるのは、物理の力学の問題です。東大入試の力学と言えば、保存則を駆使して解く二体問題と単振動が頻出中の頻出。究めれば物理力向上間違いナシの良質な二体問題を最も多く収録している物理の問題集は『東大の物理25ヵ年』であると言っても過言ではないでしょうし、単振動の内容を含む問題は2005~2014の10年間になんと6回も出題されています。当然ここの学習には万全を期して本番に臨むべきなのですが、そもそもこれらは“物理”そのものが正しく理解できてはじめてきちんと解ける単元。「二体問題と単振動の対策を厚く」というよりは、高校物理の枠組みを完璧に理解することを心がけてほしいです。
 では「その枠組みとはなんぞや」という話になるでしょうが、自分は“公式の適用範囲を押さえる”ことかなと思っています。物体系にかかる外力に水平成分が無いから運動量及び重心速度の水平成分が保存する、弾性衝突なので初期状態からエネルギーの総和は変わらない、非等速円運動では基本的に運動方程式が解けないからエネルギー保存を使う、振動中心が変化する単振動でのエネルギーの取り扱いについて……などなど。こういった理解を支える土台が磐石でさえあれば、逆に二体問題や単振動の解法なんてのは枝葉でしかありません。

第2問
 お次は決まって電磁気からの出題。ここ最近の東大の傾向としては、ネオンランプや太陽電池といった特殊な性質を示す素子が組み込まれているなどする一捻りある回路の問題や、磁場中のコイル・荷電粒子の挙動を論じる電磁誘導の問題が目立ちます。後者はつまるところ単純な力学と直流回路の話であることもあり、比較的オーソドックスな問題構成となっていることが多いですが、前者は十分な下地を構えた上でなおその場の応用的思考が必要になる、差が開きやすい問題だと言えるでしょう。沢山経験を積めるような問題でもないので対策が難しいですが、近道は無いと思ってまず標準的な問題を確実に解く練習をしてください。過去問演習の中で理解を深められれば十分です。

第3問
 最後の大問は波動、熱力学、そして原子のうちのどれか(もしくはそれらの融合)。一時期は波動と熱とが交互に出題されていたのですが、ここ数年は謎の波動推しが続き、さらに2015年度入試から原子物理が復活するものだからもう大混乱。どれかにヤマを張って本番に臨むようなスタイルは見込めません。
 波動のときは設定の凝った見慣れない問題になることが多く、その傾向も手伝ってか応用しやすい干渉の単元からの出題が目立ちます。受験生には嫌われやすい単元であるものの、苦手なまま放置しておくことの無いように。
 熱力学の問題もかつてはピストン付きシリンダーに閉じ込められた気体の状態について論じるオーソドックスなものが多かったのですが、ここ最近の出題には少々特殊な状況設定が目立ちます。とは言え、熱力学の問題で頭を使う部分は力学にちょっと毛が生えた程度のものであり、そもそも物理自体苦手という人以外、取り立てて厄介な存在にはならないのではないでしょうか。
 原子の問題は、そもそも出題範囲内だった昔ですら10年に1度あるかどうかという程度であり、どんな問題が“東大らしい原子物理”であるかは何とも言えません。最後に出題された2005年の問題ですら、原子物理の知識は“ド・ブロイ波長”についてのみで後は全部波動の問題だったほどです。勉強が間に合わなくなりやすい分野であり、学力を測る試験には相応しくないとの大学側の判断なのでしょうが、受験生としてはだからと言って捨てられるようなものでもないでしょう。まずは“この分野で難しい問題が出たら誰も解けないからむしろ差がつかない”と割り切って、基本的な内容だけ完璧な状態にすることから目指してください。もし本番で原子の問題が出題された時には、それで本当に差がつくことと予想されます。


■参考得点■
・得意なら目指してみよう……54点
・標準的な目標……42点
・苦手でもここまでは……36点
・本番で大失敗……24点

 ネックになるのはやはり試験時間の短さです。使える公式・使うべき公式が何か一回一回詰まってしまうようでは、時間はあっという間に過ぎ去っていくことでしょう。まず標準的な問題集を一通りノンストップで解けるよう実力を付けた上で、過去問や模試の問題など東大形式の問題を1セット、限られた時間の中で解き、スピードの感覚を養っていく――これが入試までにやっておきたい最低限の対策になります(ちなみに、併願する人も多いであろう早稲田や慶應の物理も同じ調子です)。これだけで6割は十分射程圏内に入ってくるものの、大問序盤の設問で間違えると目も当てられなくなりますので、どうか慎重に……。
 東大物理でさらに高みを目指すなら、これに加えて思考力と定性的な直観力が必要になるのですが、ここを重点的に鍛えることができる丁度良い教材は、残念ながら過去問くらいしか見当たりません。上記“最低限の対策”で解くものが粗方消費されてしまうでしょうから、そのようなときには早慶や東工大の過去問も選択肢に入れてみてください。どんな問題にも楽しんで挑めるようになる頃には、東大物理50点台も目前です!

2014/12/15 石橋雄毅

二次得点の常識

理系国語理系数学物理化学生物
文系国語文系数学日本史世界史地理
英語
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