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特集ブログ ~自身の合格体験を吐き出すだけのブログでは不十分~

 東大生や東大卒業生が、自身の合格体験を基にアドバイスをしているブログや書籍は数多くある。もちろん、有益なものも多い。
 ただし、実際に生徒指導をしていると、自身の東大合格体験はあくまでも一例でしかないことに気づく。生徒を東大に受からせるには、学科知識、教材・模試・過去問の活用法、受験戦略、学習方法のすべてを見直し体系化する必要がある。

 情報が氾濫する時代だからこそ、自身の合格体験を吐き出すだけのブログでは不十分。自らが東大合格体験者でもあり、東大受験専門の塾・予備校の講師として毎年、生徒を東大合格に導いているメンバーのみが運営する『東大入試ドットコム』の特集ブログです。

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2014/11/28


今回扱うのは2012年の問題。2011年ような語句の使用制限もなく、問題文も全て日本語で指示される問題形式となりました。
与えられたテーマは「他人の心が読めたらどうなるか」。「昔そんな内容のドラマがあったな〜」と筆者は思い出しましたが、今受験生の皆さんはきっとそのドラマを見たことは無いはず。なかなか抽象度が高いテーマですので、どんな内容を書くのか、方針をしっかりと定めた上で取り組んだ方が良さそうです。

が、内容を考える前に大事な点が一つ。
前回の記事を読んでくださった方はお気づきかと思いますが、「仮定法」です。"他人の心を読む” なんてことは現実にはあり得ないことですから、解答は仮定法過去の形で書かなければいけません。ここをハズしてしまうと大幅な減点は免れませんのでご注意を。

では、どんな内容の答案が考えられるでしょうか? ひとつ気になるのは、果たしてこの「他人の心が読める」能力は自分一人だけが持つ能力なのか、それとも世界中のあらゆる人がそうなるのか、問題文からはどちらとも取れそうです。どちらの立場で答案を書くのかを答案中で明確にしておいた方が良いでしょう。
前者であれば、
If I had ability to see other’s thoughts, …
後者であれば、
If we could read each other’s minds, …
といった書き出しにすればどちらの前提に則っているのかを明らかに出来ますね。

「他人の心が読める」訳ですから、そもそも言語によるコミュニケーションが必要なくなりそうです。ではその結果として何が起こるか。これまたどちらの前提に立つのかによって変わりそうですが、メリットとしては、
・コミュニケーション上での誤解がなくなる
・友人と真の信頼関係を築ける
・面倒なお世辞やらゴマスリなんかが要らなくなる...

デメリットとしては、
・相手の本音がわかることによるストレス
・友人関係のトラブルの増加…
といった感じでしょうか。どうしても抽象度が高くなってしまって難しいですね。

では東大生はこの問題にどんな答案を書いたのでしょうか?今回は現在経済学部の学生のT君に答案を作ってもらいました!


■ T君の答案


心が読めるようになった結果、個人間の誤解が少なくなってトラブルも減る、といった内容ですね。文法のミスも少なく、無難にまとめている印象があります。
「もし他人の心が読めたら」という仮定の部分を省略し、帰結節から書き始めるのはバツにはなりませんが、先述したような仮定の立場を明らかにするためにも、また文字数を稼ぐためにも If 節から書き出すのが無難でしょう。

2文目の We guess what other’s think … が仮定法の形になっていないじゃないか!と思う人もいるかもしれませんが、ここはこのままでOKです。仮定法はあくまでも「もし他人の心が読めたら...」という仮定が掛かっている部分にだけ使えば良いのであって、ここは「私たちは他人がどのように考えているかを想像する」という一般論を述べているだけですから現在形で書くのが正解です。

改善できる点があるとすれば、繰り返しの表現を減らすことでしょうか。
what other people think や trouble というフレーズが何度か使われており、少しくどい印象を受けます。
If we could know what other people think
というフレーズも、例えば
If we could read other’s minds,
If we could read other people’s thoughts,
のように言い換えることができます。できるだけ同じ表現の繰り返しを避けた方が洗練された英文の印象を受けます。

内容的には、ひとつのメリットを詳しく書くのではなく、デメリットを対比させるのもひとつの手です。
「心を読めることによってトラブルが減る一方、プライバシーがなくなってストレスに」ぐらいにまとめるのが良いでしょうか。

以上を踏まえてT君の答案をブラッシュアップしてみました!

If we could read each other’s mind, we could know exactly how others thought. This would make it possible for us to avoid having troubles which arise from misunderstandings with others. On the other hand, we couldn’t have any privacy and would be forced to live under much stress.

・make it possible for A to do … A が do するのを可能にさせる。
・avoid doing … do することを避ける。
・be forced to do … do せざるを得ない。

その他の解答例

If we were able to read other’s mind, we would have much more difficulties in communicating with others. We sometimes conceal our real emotions or feelings to get along with them. If we could know that someone had hostility to us, we wouldn’t talk with him at all, which would possibly bring many troubles.

2014/11/28 大澤英輝

2014/11/07


今回は2010年の問題を扱います。「世界に言語が一つしかなかったらどうなるか」というテーマについて、与えられてた英文の書き出しに続けて英文を書く形式ですね。

書き出しの
If there were only one language in the world, …
という英文、日本語の問題文が与えられているからといって軽く読み飛ばしてしまってはいけません。何か注意しなければいけない点があるのにみなさんお気づきですよね?そう、仮定法です。そもそも「世界に言語が一つしかなかったら…」の仮定自体が現実的には起こり得ないことであり、この英文は仮定法を使って書くべきですが、東大はわざわざ If there “were” … と、「仮定法を使ってくださいね!」と念押ししてくれている訳です。この東大の優しさに気づかずに、帰結節に would や could といった助動詞の過去形を使わなければ大幅な減点は避けれらないでしょう。

仮定法ってなんだっけ…という人はここで解説しているので読んで思い出してみてくださいね。2012年にも同じように「もし他人の心が読めたらどうなるか」というテーマの英作文が出題されています。仮定法を使うべきかどうか、答案を書く前に一歩立ち止まって考えてみる習慣を付けてもいいかもしれません。

では英文の内容はどういった方向性が考えられるでしょうか。
「言語が一つしかなかったら…」 比較的イメージしやすい仮定のように感じます。まず「外国人とコミュニケーションしやすくなる。」という帰結が大枠でしょう。言語の壁が全くなくなる訳ですから当然です。もちろんそれが結論になってしまってはペラッペラの内容になってしまいますし、50語なんてとても書けません。そこからさらに掘り下げて「外国人と交流しやすくなる」ことがもたらす結果を考えれば良いでしょう。

「言語統一によりEUのように国と国の間の障壁が小さくなって最終的には統一国家ができるはずだ!」だったり「敵対する国家とも同じ言語でとことん議論できて国際紛争の解決!」なんて壮大な夢物語を語ることもできるでしょうし、もう少し現実的に「企業の海外進出が促進されて世界中で自由貿易が行われる」、「海外からの観光客が増えて観光業が盛んになる」といった感じでも書けそうです。

デメリットの方は「言語の多様性の消滅に伴う文化の多様性の消滅」なんてテーマが模範解答になりそうですが、やや抽象的で書きづらいかもしれません。
 
それでは実際に答案を見てみましょう!今回は現在法学部生のN君に答案を作ってもらいました!


■ N君の答案


it would be easier … と 仮定法の would はバッチリ!と思いきや2文目に助動詞の過去形を入れ忘れてしまっているようです。もったいない…
文法的には、2文目の It makes us ... という文が少し気になります。この It は前文の「外国人と意思疎通するのが簡単になる」という内容な訳ですが、It は基本的に特定の名詞、具体的にイメージ出来るモノを指すことが多いです。厳密に誤りと言い切ることは難しいですが、今回は It の代わりに This や That を使った方が良さそうです。

内容としては、
・海外旅行が盛んに
・企業間の国際競争が激化
・言語に関わる職の消滅
と3点を盛り込んでくれましたが、一つ一つの要素間の繋がりが薄く、全体的に内容が薄くなってしまっている印象を受けます。多くの要素を含めるのもアリですが、あえて一つの内容に絞って深掘りしても良いでしょう。
たとえば、
「言語が一つしかないと...」
→「外国人との交流が容易になる」
→「企業の海外進出が進む」
→「企業間の国際競争が激化」
→「国際的な企業間の吸収合併」
→「大企業の寡占状態」
→…
といった感じでしょうか。

要素間の繋がり、特に因果関係をしっかりと意識して接続詞(because, thus, as a result)を使って英文を組み合わせることで論理的な英作文を作りやすくなります。50字程度の英作文であれば「Aが原因でBが起こり、Bの影響でCになる。Cの結果、最終的にはDとなる。」といった感じで、原因→結果→原因→結果→原因… という構成でも不自然でない英文が書けるはずです。

他にツッコミを入れるのであれば、2文目と最終文の内容が矛盾していると解釈されてしまうかもしれません。2文目は「we would be willing to work abroad」、最終文は「getting job abroad would be difficult」という趣旨。厳密には矛盾していないのでしょうが、危ない橋は渡らないのが賢明でしょう。それ以前に、語学教師という職が存在しないからと言って海外で仕事に就くことが難しくなるとは言えず、最終文は方向性を変えた方が良さそうです。

以上を踏まえてN君の答案をブラッシュアップしてみました!

( If there were only one language in the world, ) it would be much easier to communicate with foreigners, so that many people would be willing to work abroad. Many companies would embark on overseas markets and governments would adopt free trade systems like TPP, in order to promote international competition. As a result, we could enjoy many overseas products for a low price.

・be willing to do … すすんで do する。
・embark on A … A (新規事業等)に乗り出す

その他の解答例

( If there were only one language in the world, ) the world we live would be monotonous and boring. Off course it would be easy to communicate with foreigners, communicating with people with different language, view and cultural background is interesting. Language is one of the most significant cultural features. Off course cultural difference has brought some conflicts, but it is the cultural diversity that makes world interesting.

2014/11/7 大澤英輝

2014/10/24


 今回は2009年度の問題を扱います!それ以前までは大問2では (A), (B) の二つの英作文が課されていましたが、2009年度の問題では (A) では従来通り自由英作文、(B) では短い英文が与えられ、それと同じ意味の英文を作れ、という新傾向の問題でした。従来の問題形式に比べて、内容面を練る必要がなく、英文量も少ないため、受験生にとっては負担が減ったように感じます。

 では実際に問題に目を通していきましょう。「今日の世の中で知識を得るために本を読むことは助けになるか」という命題に対して賛成と反対の両方の立場から意見を述べれば良さそうです。抽象的な問いですが、制限字数がそれぞれ20~30字と少ないので理由を簡潔にまとめなければいけません。逆に言えば内容的に掘り下げることができないので、無難にまとめた答案を目指せば良さそうです。

 “No” の立場からの意見の方が考えやすいでしょうか。一般的にも言われていることですが、本を用いた学習には「情報の遅さ」という欠点があるように個人的には思えます。「急速に変化する現代社会の中で本に書かれていることは時代遅れである」という方針が第一に思い浮かぶ人が多いのではないでしょうか。実際に iPad のような情報端末を教育現場に導入している例をニュースもよく耳にします。

 反対に “Yes” の立場からはどんな意見が考えられるでしょうか。抽象的でなかなか答えを考えにくい問題ではありますが、さっき考えた「情報の遅さ」を逆にメリットとして考えられないでしょうか。古いということはそれまでに多くの人読んできたということであり、それだけその本の内容は信頼と実績があると言えるかもしれません。実際、大学の講義で使う教科書が数十年も前に出版されていたものであることは少なくありません。こんなことを30字以内でまとめれば無難な答案ができそうですね!

 それでは実際に現在東大理系4年生のH君に書いてもらった答案を見てみましょう。


■ H君の答案


 Yes の立場からは自分が本を使って勉強してきた経験を根拠にしています。「本で勉強してきたおかげで東大に入れた!」といった趣旨であり、内容的には十分だと思います。
「〜のおかげで」という表現は owe を使って、owe A to B 「AはBのおかげだ」という形で書くこともできます。例えば「今の自分があるのは母のおかげです。」なんて文は

I owe what I am to my mother.

のようにシンプルに書くことができますね。同様の文を逆の発想で

Without my mother, I wouldn’t be what I am now.

と仮定法を使って書き換えることもできそうです。

 No の立場は先述したものと近い内容ですね。こちらも大きな問題点は見つかりません。あえてツッコミを入れるならば situation 「状況」という単語は things で言い換えられ、turn things around 「状況を好転させる」のように使うことができます。他にも It is not true. を the case 「事実」を使って It is not the case. なんて表現ができると繰り返しを避ける時に便利かもしれません。

 以上を踏まえてH君の答案をブラッシュアップしてみました!

(1) Yes, because I've studied with textbook since I entered elementary school. I owe what I am today to what I learned with textbooks.

(2) No, because things today are changing quickly. What written in some book can be not the case in today’s world. I think we should acquire the knowledge through the Internet.

・owe A to B … AはBのおかげだ。
・what S is … 今のSの姿、Sの人となり
・things… 状況
・the case…事実

その他の解答例

(1)Yes, because I think I can understand and experience what the author thinks or feels through reading his book. To touch great authors’ books and their wisdom will surely enrich our life.

(2)No, because I think I can’t fully understand something just by reading books. There’re more effective ways to learn something, such as to discuss with your friends or to use Internet.


2014/10/24 大澤英輝

2014/10/17
 システム英単語、速読英単語、ターゲット1900、キクタン、DUO… 世の中には数多くの英単語帳があります。それぞれに特徴があり、受験生の皆さんは自分に合った単語帳を選択し、英単語の暗記に励んでいることでしょう。今回紹介するのは、皆さんが選んだその単語帳をより効率的に使うためのエッセンスが詰まった一冊です。

 東大英語に必要な語彙数は5,000〜6,000語とも言われますが、市販の単語帳に掲載されている2,000語前後の語彙を暗記するのも簡単なことではありません。本書はこの膨大な語彙を習得するための、いわば “英語の基礎体力” として200個程の接辞・語幹の意味を紹介しています。

 "語源で覚える" ことを推している単語帳は他にもありますが、本書の特徴は日本人にとって馴染み深いフレーズを初めに紹介し、イラストで印象付けてくれている点でしょう。例えば ped という接辞のページを開いて見ると、自転車のペダルのイラストが描いてあります。日本人に馴染み深いフレーズである "ペダル" と ped 「足、歩」という接辞を結び付けてくれている訳です。
 イラストの下には一つの接辞につきいくつか単語が紹介されていますが、それぞれに

・pedestrian = ped「歩」+ ian「人」→ 歩く人 → 「歩行者」
・expedition = ex「外に」+ ped「足」+ tion [名詞] → 外に足を向けること → 「探検、遠征」
・pedigree = ped「足」+ gree「鶴」→ 家系図が鶴の足に似ている → 「家計、血統、起源」

といった感じで、それぞれの単語を「パーツ」に分解し、「なぜその意味になるのか?」を解説してくれています。また本書に掲載されている単語には難解なものはほとんど無く、受験生の皆さんにとって馴染み深いものばかりである点も本書の特徴です。他にも各単語に一文ずつ簡単な例文が掲載されていたり、赤シートに対応していたりと、一般的な単語帳と使い勝手が似ているのも嬉しいですね。

 語源で英単語を覚えることのメリットを考えてみましょう。単語の各接辞の意味を覚えることで、共通の接辞を持つ単語を持つ英単語を関連付けて効率的に覚えることが出来ます。expeditionの ex「外に」を pect「見る」と組み合わせることにより、何か良い事がないかと外を見る→ 「期待する、予期する」になりますし、逆に in と spect を組み合わせて inspect → 中を見る → 「点検する、視察する」といった感じで関連付けられますね。効率的に語彙力を増やしていくことが出来るだけでなく、試験中に出会った未知の単語の意味を想像しやすくもなるのも重要です。

 本書の帯に「TOEIC TEST600~730点」と書いてあることから分かるように、あくまでも本書は大学受験用の書籍ではなく、最初に挙げたような単語帳の副読本として使うのが良いでしょう。気分転換にペラペラとページをめくっているだけでも「この単語ってこんな語源だったんだ!なるほど!」といった発見が得られ、何よりも英単語を覚えるのが楽しくなるはずです。



2014/10/17 大澤英輝

 
2014/10/03
 “理系なら、数学は受験で終わりじゃない。”がキャッチコピーの、「大学で学ぶ数学」と「大学入試の数学」とを架橋することを目指した一冊をご紹介。

 コンセプトは当HP特集ブログA級紙と基本的に同じ。「はじめに」から抜粋すると、“学生たちは,入試会場ではパン食い競争のように目の前の問題に喰いつかなければならないので,その問題の背後にある理論に思いを馳せるような余裕は当然ありません.しかし,試験の準備のために机上で学ぶ学生には,各論のアラカルトというよりも,少しでも意味の読み取れるストーリーを提供した方が,受験勉強が知的好奇心に彩られた豊かなものになるのではないかと考えています.”とのことで、かつて様々な大学の入試で出題されてきた、大学で学ぶ数学をモロに背景にした問題をもとに、様々なテーマについて紹介されています。目を引く節のサブタイトルをざっと持ってくれば、

・アステロイドとΒ関数
・多項式近似とテイラー展開
・ロピタルの定理とε-δ論法
・凸関数とイェンセンの不等式
・チェビシェフ展開とフーリエ級数
・3次方程式とカルダノの方法
・フェルマーの小定理と公開鍵暗号
・ペル方程式と二次体
・数列の母関数と二項定理
・マルコフ連鎖
・カオスとフラクタル

とまあこんな調子で、それぞれ突っ込み過ぎない範囲でその分野の面白いところを知ることができるようになっています。贅沢。
 A級紙との違いは出典を東大に限らないところですが、特に問題はありません。また東大を出典とした問題も多数収録されていますが、年度まで明記されているのでセットでの過去問演習がまだの人でも対応可能です。

 もともと本書は、雑誌『理系への数学』(2013年4月号より『現代数学』に改名)において連載された記事を再録したものとなっています。この雑誌のターゲットは現在、高校生というよりはそれより一段上の、もっと一般的な数学好きとなっているため、本書の作りは普通の受験参考書的なそれとは少々勝手が違うのですが、『大学への数学』とはまた別の方向性の本書の空気感がむしろ肌に合うという人も結構いるのではないかと思います。掲載されている記事自体の幅は広く、高校生でも十分読めるであろうものはそれなりにあるはずなので、余裕のある人は一度手に取ってみても良いかもしれませんね。

 改めて大学受験の中での位置づけを確認すると、本書は“受験数学のテクニック”的なものに飽き飽きしてしまった数学好きに贈る本です。これを読んで入試の点数をアップさせるというよりは、高校数学が十分できるようになってきた中で数学へのモチベーションを上げていこうだとか、息抜きのためだとかいった使い方がメインになるでしょう。無論、こういった背景知識が入試で功を奏する場合もありますし、そういうことを授業で扱うところもあるのを考えれば、本書はそれらを網羅的に扱った受験参考書であると見なすこともできるでしょう。
 ちなみに大学数学的な記法にさえ耐えられれば、数学的な難しさはそれほどでもないので、“数学は好きだけど苦手……”といった人でも読めると思います。『最高峰の数学へチャレンジ』とは対極的といったところでしょうか。

 さらに俯瞰したところから言うなら、受験前はともかく入試を終えて東大入学を控えた理系の皆さんには、本書は万人に薦められる一冊です。キャッチコピーの通り、“理系なら、数学は受験で終わりじゃない。”受験だけの数学で終らせないために、入学前の大切な期間で是非大学数学と向き合う心構えを作っておいて欲しいですね。

 だからまず、受験以前の数学で終らないように頑張ってください!笑



2014/10/3 石橋雄毅

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