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特集ブログ ~自身の合格体験を吐き出すだけのブログでは不十分~

 東大生や東大卒業生が、自身の合格体験を基にアドバイスをしているブログや書籍は数多くある。もちろん、有益なものも多い。
 ただし、実際に生徒指導をしていると、自身の東大合格体験はあくまでも一例でしかないことに気づく。生徒を東大に受からせるには、学科知識、教材・模試・過去問の活用法、受験戦略、学習方法のすべてを見直し体系化する必要がある。

 情報が氾濫する時代だからこそ、自身の合格体験を吐き出すだけのブログでは不十分。自らが東大合格体験者でもあり、東大受験専門の塾・予備校の講師として毎年、生徒を東大合格に導いているメンバーのみが運営する『東大入試ドットコム』の特集ブログです。

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2014/09/26


 今回は現役東大生の I 君が入試の時に書いた答案を再現してもらったものを見ていきたいと思います!2011年度入試と言えば出題傾向が変化し、大問1に(C)が追加された年です。問題数が増え、時間配分も課題となったこの問題に I 君はどんな答案を書いたのでしょうか?

 「他人の痛みを理解することは出来ない。」という意見に対して自分の思うところを書け、とのことですが、賛成・反対ともに色々な意見がありそうですね。
 本問のキーポイントは「ただし understand と pain は, それぞれ一回しか用いてはならない。」というこの但し書きです。この条件に適う答案を作るためには、
1. 「理解」と「痛み」というフレーズを避けた構成にする。
2. understand と pain を別の表現で言い換える。
という二つの方法が考えられます。今まで指導してきた経験では、なんとかして「痛み」を pain 以外のフレーズで言い換えようとしている生徒が多いように感じます。つまり本問では「如何に言い換えるか」が重要になりそうです。

 では実際にそれぞれの立場からどんな意見が書けるのか考えてみましょう。

◎賛成派
・自分は自分、他人は他人。他人の感情なんてそもそも分かるはずが無いじゃないか!
・同じ出来事に対しても人によって感じ方は違う。感性は人それぞれだ!

◎反対派
・過去の似たような経験から他人の痛みも想像出来るんじゃない?
・失恋映画を見たら悲しくなる。心の痛みは共感できる!

こんな感じでしょうか。どんな内容であれ、単に意見を主張するだけでは説得力に欠けます。こんな時、私は「他人の痛みは理解できる!なぜなら僕は昔、〜という経験をしたことがあるからだ!」といった感じで、自分自身の経験(作り話の時も多いですが)を具体例として書いていました。
 この「自分の経験談をする」というテクニック、覚えておくと便利かと思います。



■ I 君の答案


 I 君はこの意見の反対の立場に立っている訳ですが、その主張をしている第一文の表現が気になります。true という単語は「(事実・現実と合致している意味で)真実の、本当の」という意味であり、本問のような自分の意見が問われている場面で使うのは適切ではありません。また「他人の痛みは理解出来ない」という一つの意見を指すのですから、 word ではなく idea や view といった単語を使った方が良さそうですね。
 「賛成・反対」の主張は以下のようなシンプルな定型表現で十分かと思います。 無理に凝った英文を書くよりも、シンプルで減点されない方が重要です。
賛成・・・I agree with this idea.
反対・・・I don’t agree (disagree) with this idea.

 二文目は「確かに〜ではあるが、・・・だ。」という譲歩構文を使って上手く書けています。ただ、その後の三文目との繋がりが無く、内容的にも無理があるように感じます。「他人の痛みが理解出来ないのであれば、秩序も協力も小売店もあるはずないだろ!!」...うーん 少し理論が飛躍している感は否めないと思います。
 せっかくですから二文目の内容を活かしたいところ。こんな時こそ先ほどの “自分の体験談” を書いちゃいましょう。「子供の頃に骨折したことがあるから、骨折している人を見るとその人の痛みを共感出来る」ぐらいの体験談を書ければ十分でしょう!
 最後に一点。最終文が間接疑問の語順になっていません!こういった単純なミスは非常にもったいない!

 以上を踏まえて I 君の答案を次のように改変してみました。

I don’t agree with this idea. Although it is true that no one can tell how others feel exactly, we can imagine that based on our own experiences. I always sympathize when I see someone who break his leg because I also have broke my leg twice. That is why I think people can understand other people’s pain.

・That is why 〜 … そういう訳で〜だ。
・pain の言い換え表現 … suffering, one's feeling, how one feel ...
・understand の言い換え表現… know, imagine, sympathize ...

その他の解答例

I agree with this idea. I think it is true that you can imagine how others are suffering based on your past similar experiences. However, it is one thing to imagine others’ pains, and quite another to understand them. Since every person has his own way of feeling, different people feel differently about the same thing.

・It is one thing to 〜 and quite another to 〜 … 〜することと〜することは全く別物だ。

2014/9/26 大澤英輝

2014/09/19
 英語を学習する上で必要不可欠なのが文法書。今回はその中でも人気の高い「Forest」を紹介します。

 文法書を書店で探してみると、この「Forest」と「ロイヤル英文法」の二冊は大抵平積みされていることが多いです。ともに名著とされ、長年に渡り受験生に支持されているこの二冊ですが、中に目を通してみると両者の違いは歴然!
 シンプルな二色刷りの文字がズラッと並ぶロイヤル英文法に対し、Forestはフルカラーでイラストが多用されています。好みが分かれるところであるとは思いますが、Forestの方が「とっつきやすい」文法書であるとは言えそうです。

 本書は、
「Part 1 これが基本」→「Part 2 理解する」→「Part 3 深く知る」
の 3 Part で構成されています。

 Part 1 では「本質を理解する」ことを目的とする、と筆者は書いていますが、実際に目を通してみると、いかにもその通りだと実感できるでしょう。例えば皆さんの中で「分詞とは何か?」といった問に自信を持って答えられる人はどれだけいるでしょうか? Ali is as tall as Bill. と Bill is as tall as Ali. の文の違いを説明出来る人はどれだけいるでしょうか? こういった英文法の「そもそも論」を日本語との対比や概念図を使って分かりやすく解説してくれます。Part 1 だからと言って侮るなかれ、英語が得意だと思っている人ほど新たな発見が得られるかもしれません。
 Part 2 は各文法項目の基本事項が書かれており、一通り目を通せば基礎力を獲得出来るようになっています。とはいえ基本事項だけでなく、コラム的に問われやすいニッチな知識を紹介してくれているので見落とせません。例えば、Gasoline will float on water. のような “習性・傾向の will” なんてものが紹介されています。
 Part 3 はいわゆる ”暗記モノ” である詳細な文法事項が書かれています。単なる暗記事項として羅列されているのではなく、「なぜ?」というところまでしっかり書かれているのが嬉しい。例えば no less than A, not less than A, no more than A のような混同してしまいそな言い回しも「なぜその訳になるのか?」を理解して覚えられるようになっています。

 注意して欲しいのは本書はあくまでも文法書であり、問題集では無いということ。各章末に一応の確認問題は付いていますが、文字通り確認のための問題であって演習には使えません。他の問題集と併用し、間違えた問題を辞書的に調べる、といった使い方が一般的でしょう。コラムも充実しているので暇な時にペラペラとめくって読んでみるのも面白いです。
 高校一年生から大学生のTOEIC、TOEFLまで活用可能な本書、手元に置いておいて損は無いはずです。



2014/09/19 大澤英輝

2014/09/12


 今回は2008年度入試を現在東大4年生のA君に書いてもらいました。大学入学後はそれほど英語に触れていなかったというA君、授業でのグループ発表に関する打ち合わせのメールへの返信という身近な問題に対処できるのでしょうか。

 Ken からのメールに目を通して見ると、彼のプランでは一人が発表テーマに関する調査をし、もう一人がそれについてのちょっとしたレポートを書き、残りの一人がプレゼンテーションをする、ということになっています。うーん...三人がバラバラに別のことをするのは少し非効率的かも...ということで英作文の大まかな内容は

(1)三人が別のことをやるのって大変じゃない??
(2)みんなで一緒に発表の準備をしましょう!!

 というような文章の流れになるのが一般的でしょうか。ただ、私が今まで指導してきた生徒の中には、

(1)地球温暖化やら高齢化社会やらのテーマはつまんないよ!!
(2)もっと面白いテーマについて発表しましょう!!

といった内容で解答する生徒が一定数いました。もちろんバツにはならないでしょうが、15~20字という制限の中で、なぜ Ken が提案したテーマよりも Yoshiko が新たに提案するテーマの方が優れていることへの理由付けをすることが難しく、内容的に薄くなってしまった答案が多かったように思います。やはり前者の方針の方が文意も通りますし、書きやすそうです。


■A君の答案(1)


 「他人が書いたレポートに則ってプレゼンするのは難しい」という内容は文脈にピッタリですね。ただ、いくら文法的に誤りではないとは言え、“I think your plan is not good...” とバッサリ切り捨ててしまうのは気が引けます(笑)相手に言いづらいことだけど言わなきゃいけない...こんなときは
I'm afraid that... ・・・「残念ながら…です」
の構文を使ってあげるともっと上手い表現になるでしょう。“not good” の部分も、go wrong, not work, may fail 等々の表現で書き換えることが出来そうです。

以上よりA君の答案をブラッシュアップすると次のような英文が作れます。

I'm afraid your plan won't work because it's difficult to make a presentation based on the paper someone else wrote.

I'm afraid that... ・・・「残念ながら…です」
■A君の答案(2)


 (1)の解答から続いて「3人で一緒にプレゼンの準備をしよう!」と提案する内容は良いですね。(2)の解答を作る上で注意したいのが、この英文が So I would rather suggest that... という文の続きであることです。suggest は、
S1 suggest that S2 (should) do...・・・「(S1 が)S2は〜すべきだと提案する。」
といった形で使われます。propose や advise といった語も同様の形で使用されます。ここでの should は省略されることもありますが、その場合であっても動詞は必ず原形になるため、ここに三単原の s を付けたりしてしまうと減点されてしまいます。A君の答案ではしっかりと should を書いてありますね。
 “目的”を表すためにA君は “in order to” を使っていますが、これは so as to や to 単体、so that を用いたりと、制限語数と相談して使い分けましょう。

 A君の答案の内容を踏襲して以下のように他の解答例を作ってみました。

we all should cooperate in preparing the presentation in order to give a good presentation.



その他の解答例

(1)I think giving all member a separate role as you proposed is not best way to give a good presentation.
(2)we write the paper together and then help the person who will give a presentation practice.


2014/9/12 大澤英輝

2014/09/05
受験地理学習(センター、2次)の入門に。

高校の教科書で学習を進めるのが難しい(と言われている)地理。
日本史・世界史といった歴史科目は教科書学習→論述対策、という流れで学習をすると良い、と言われますが、地理学習においては教科書に当たる参考書をひとつ用意しておきたいのが正直なところ。
本書はそんな時にピッタリです。


Part1,Part2とあるタイトルから分かるように2冊構成。いずれもそれなりに分厚く、結構なボリューム(汗)なのですが、実際に目を通してみると無駄に分厚くされている訳ではなく、必要な部分がきちんと選択されている印象を受けます。

章立ては全部で14章。帯にも書かれている通り、1日1章読めば14日で一通りの学習が終わることになります。系統地理が中心で、地誌にいたずらにページを割いている訳ではなく、農林水産業で1章分、工業で1章分、とコンパクトにまとめられています。

特徴は、各章が1回分の講義形式のようになっているところ。
章は挨拶から始まり、学習項目のポイント・学習内容・まとめ、といった形で実際の講義の書き起こしのように書かれています。要所要所に質疑形式での解説が挟まれ、著者を模した(あまり似ていない?)キャラクターが質問に回答してくれます。

章の最後には「ノート」としてポイントがまとめられたページがあり、章での学習項目を確認できるようになっています(ここにはちょっと細かい事項も書いてある)。


また、文章以外にも地図・図表が充実しているのも本書の特徴。
例えば地図(しかも手書き風)は最低でも1ページの3分の1くらいのスペースを使って分かりやすく描かれていますし、統計データもかなり細かく記載されています。
もちろん資料集、統計集を参照しての学習は必須ですが、最悪本書だけでも必要データは押さえられると言って良いでしょう。
最新版の統計データは著者ブログにアップされるなど、出来る限りサポートしようとしてくれる姿勢もうれしいところです。

受験地理の本格的な学習を始める際に、ぜひ手元に置いておきたい2冊です。


2014/09/05 根本紘志

2014/08/29


 今回は現役東大生の I 君が2011 年度の入試の時に実際に書いた解答にツッコミを入れていきましょう。

 問題文に目を通してみると、イギリスで 16 歳未満の子供へのペットの販売が禁止されたというニュースに対し、
(1)Helen; そんなクレイジーな法律信じられない!!
(2)Kiyoshi; でもこの法律も一理あるんじゃない??

 というような会話の流れになるのが一般的でしょうか。HelenとKiyoshiの発言内容を入れ替えることもできそうですが、いずれにせよ(1)と(2)の文が逆接のbutで結ばれていることから、両者の発言は相反するものでなければなりません。
 
 ちなみにこの法律、実際にイギリスに存在するもので、他にも街頭や公の場でのペット販売が全面的に禁止されているようです。イギリスは動物愛護の歴史が最も長いと言われ、これらの法律もペットの衝動買いや、無責任な人のペット購入を防止する目的で制定されているようです。


■I君の答案(1)


 ペットを飼うことによって子供の教育に良い影響がある...という内容は理に適って いますし、書きやすそうですね。「ペットの世話を通じて命の大切さを知り、子供が立派な大人に成長する」という内容ですが、“decent”という単語が少し気になります。decentは、<社会的に、服装等が>立派な、見苦しくない、といった意味ですので、ここではresponsibleやkindといった単語の方が適切かと思います。また二つの文を単純にandで結ぶのではなく、so thatを使って因果関係をはっきりさせてもいいかもしれませんね。

「命の大切さ」を“how important lives are”と疑問詞を使って書いているのはウマいですね。“importance of lives”と書くよりも柔らかく、自然な表現です。同様に、

・テレビの仕組み  the mechanism of TV⇒ how TV works
・彼の来る時間  the time he will come ⇒ when he will come
・彼の考え  his idea ⇒ what he thinks

といった感じで書き換えることで語数を増やしたり、同じ単語の繰り返しを避けたりすることが出来ます。

I君の答案を元に、以下のような形でも英文を作れそうですね。

Children can learn how important lives are by living with them. Also that will have good effects on their education.

・have good effect on A = have good influence on A ・・・「Aに良い影響を与える」

■I君の答案(2)


 こちらは内容面で少し問題がありそうです...
「ペットの世話を通じて子供たちが命の大切さを知り、立派な大人に成長する!」
という Helen の意見に対して、
「子供たちに命の大切を教えるために動物を殺すのは残酷だ!!」 というのは論理が飛躍していますし、これではあたかも我々が教育のために動物を殺していることを前提にしているようです。
 同じような方針で書くとすれば、「動物の意思に反して教育のためだけに動物を飼うのは人間のエゴだ!!動物がかわいそうだ!!」と動物愛護団体になったつもりで意見することは可能でしょうが、英語で書くのは少し難しそうです。
 少し方針転換して、子供がペットを飼うべきではない理由を改めて考えてみましょう。問題文中に“because they may not be able to take proper care of them”と書かれていますので、この理由を支持する具体例なんかが書けると良いでしょう。

 例えば以下のような答案が考えられそうです。

Actually, there’re many abandoned(stray) pets around us. The number of these poor pets will decrease by this law.

・the number of A・・・「Aの数」(cf. a number of A・・・「たくさんのA」 )

その他の解答例

(1)It's really ridiculous! Not all children under sixteen can't take good care of their pets!
(2)this law can serve as a protection of animals because it makes people be aware of the responsibility of ownership.


2014/8/29 大澤英輝

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