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特集ブログ ~自身の合格体験を吐き出すだけのブログでは不十分~

 東大生や東大卒業生が、自身の合格体験を基にアドバイスをしているブログや書籍は数多くある。もちろん、有益なものも多い。
 ただし、実際に生徒指導をしていると、自身の東大合格体験はあくまでも一例でしかないことに気づく。生徒を東大に受からせるには、学科知識、教材・模試・過去問の活用法、受験戦略、学習方法のすべてを見直し体系化する必要がある。

 情報が氾濫する時代だからこそ、自身の合格体験を吐き出すだけのブログでは不十分。自らが東大合格体験者でもあり、東大受験専門の塾・予備校の講師として毎年、生徒を東大合格に導いているメンバーのみが運営する『東大入試ドットコム』の特集ブログです。

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2013/10/21
 皆さん、こんにちは!
 3回に渡ってお送りしてきたスティーブ・ジョブズのスタンフォード大学でのスピーチも今回で最後になります。
 今回のタイトルは"death" 死です。スティーブ・ジョブズは2011年に膵臓(pancreas)腫瘍の転移転移により亡くなっています。タイトルとしては"death"ですが、むしろ「死に向かって如何に生きるか」というテーマをジョブズの経験を通して伝えてくれます。
 またスピーチの最後に今までのまとめも兼ねて、ジョブズから卒業生に一つの言葉が送られます。
 "Stay hungry, Stay foolish."
 この言葉自体はジョブズ自身のものではなく、彼がスチュアート・ブランド氏の言葉を引用したものですが、数あるジョブズの名言の中でも有名なものの一つとして知られています。この言葉については内容理解ので詳しく触れたいと思いますが、どういった意味なのか皆さんも考えてみてください。

 6分近くあり、少し長いスピーチですが頑張って聞いてみましょう!



⇒問題はこちら
2013/10/11
第8回 出典:東京大学前期 1996年 化学 第3問

 皆さん、こんにちは。東大だと、夏休みは大体7月末からこの10月頭あたりまでです。自分も高校生の時までは知らなかったのですが、大学生の夏休みは長いんですね。これは多くの大学が1年2学期制になっているからですが、それすら知らない人も多いでしょう。ただ、東大理系の場合現実はそんなに甘くない、と。1学期の期末試験がなんと9月頭にあるのです。その辺の苦しみを、皆さんも味わえるといいですね……!

 東京大学の理科一類の学生は、1年の冬学期(2学期)と2年の夏学期(3学期)に必ず「基礎物理実験」「基礎化学実験」という2つの単位を取得することになります(理二・三は若干事情が変わります)。とある一人の東大生・石橋君は、昔から手先が不器用だったために実験というものがあまり好きではなく、ここでも例に漏れず憂鬱な気持ちで毎週化学実験に参加していたのですが、ある週の実験の予習の際、友人からこんな一言を貰います。

「この実験、大分昔の東大の過去問にあったよね」


 既に東大入試ダイスキーだった石橋君は急いで『東大の化学25ヵ年』を調べました。すると、確かに1996年第3問ではその週に自分が行うことになる実験の手順そのままのことが題材となっているではありませんか。

「……東大入試を体感できるッ!」


 石橋君は実験前夜その問題を解き、その週の化学実験には意気揚々と参加することができたのでした。


 ……なんてエピソードも昔あったような(笑) そういう訳で今回は、東大に入学した後理系の皆さんなら必ず履修する「基礎化学実験」でどんなことを体験することになるのか、その種目全12回分を一通り、高校の学習範囲でのキーワードとともに紹介してみたいと思います。ただし紹介するのは2013年現在のもので、実験内容には毎年多かれ少なかれ変化があることをご了承ください。

■物質の合成■
ニトロ化反応――p-ニトロアニリンの合成
 1996年第3問で紹介される手順そのままに、p-ニトロアニリンを合成し収率を求めます。別に収率が成績に影響したりするなんてことはありませんが(無い、と言われていますが……)、やっぱり収率が高い方が嬉しいものですね。キーワードはニトロ化、加水分解、再結晶、クロマトグラフィー。入試ではどれも基本事項な気がしますが、言うは易く行うは難し。析出した粉末を濾過して洗浄して……は不器用な人間にはツライ。中学・高校と自分はあまり実験をする機会が無かったのですが、受験勉強をしているだけでは分からない、ためになる体験をさせてもらいました……。その分逆に、実際に再結晶を目の当たりにしたりクロマトグラフィーの結果が出たりするのには感動を覚えましたね。

グリニャール反応――安息香酸の合成
 グリニャール反応によって安息香酸を合成し、最後にキチンと出来ているかどうかを赤外分光法(A級紙第2回参照)で確認します。高校ではまず聞かない“グリニャール反応”ですが、内容はシンプル。例えばケトンやアルデヒド、エステルといったカルボニル化合物 R’-C(=O)-R’’ とグリニャール試薬 RMgX とが反応すると、C=O 結合が開いて R’-CR(OMgX)-R’’ となります(R はアルキル基またはアリール基、X はハロゲン元素)。東大入試・および東大模試の化学第3問では初めて聞く反応を考察していく問題が頻出ですが、有機化学ではかなりポピュラーな反応らしいし、結果だけ見ればシンプルだし、今後出題が無いとも限らないですね。探せば模試くらいになら既に出ているのかも? キーワードは還流、抽出、分液漏斗。ここでも、液相の境界ギリギリで分液漏斗のコックを閉じるのが難しくてですね、何回もやり直しました……。

金属錯体の合成――溶媒や温度によって色が変化するニッケル錯体の合成
 東大化学の第2問として近年その地位を固めつつある金属錯体。遷移金属イオンでできた錯体は多彩な色を見せるということで、ここではニッケル錯体を合成し、それが溶媒や温度によって様々に色を変えるのを観察します。物質の色が溶媒の違いによって変わる現象は“ソルバトクロミズム”、温度の違いによって変わる現象は“サーモクロミズム”と呼ばれますが、赤に青に粉末・溶液の色を変えることを通しこれを実際に確認する、とても見た目に分かりやすい実験です。操作も比較的単純なのですが、扱う物質・現象の説明が高校生向けには軽くで済まないので詳細は省きます。何せまず合成することになる物質が「(2,4-ペンタンジオナト)[トリオキソニトラト(-1)](N,N,N’,N’-テトラメチル-1,2-エタンジアミン)ニッケル(Ⅱ)」ですからね……。キーワードは金属錯体、色、有機溶媒。東大入試ではどれも比較的よく見るのですが、多くの参考書であまりページを割かれないトピックスゆえに勉強も手薄になりがち。かく言う自分も結局金属錯体はよくわからないまま大学に入ってしまったのですが、皆さんはそんな危ない橋を渡ることの無いように。


■原子・分子の電子構造■
原子スペクトル――水素原子の発光スペクトル
 高校範囲としては原子物理の内容ですが、原子は特定の振動数の光を吸収・放出してそのエネルギーの状態を変えます。この光の振動数は原子ごとに厳密に定まっていて、その正確さは現在の“1秒”の定義にも用いられているほどなので、資料が何の原子なのかを特定するのにも用いられます。ここでは水銀と水素について、数種類あるそれらの発光スペクトルを回折格子を利用して観測します。キーワードはバルマー系列、リュードベリ定数、回折格子、円形スクリーン。物理の用語だらけですが、実際この実験は“物理化学”という分野に分類されています。円形スクリーンは2012年度のセンター物理本試に登場したもので、この実験では回折し強め合った光を、回折格子を中心とする円周上を動ける望遠鏡を用いて観測します。

電子スペクトルと計算化学――共役系分子の光吸収
 高校でも原子の周りの電子の状態についてはある程度学びますが、こちらは比較的単純に説明することが出来ました。しかし分子の周りの電子となると話は複雑で、もはや量子論のシュレディンガー方程式とそれをうまく活用するための賢い近似の力が必須となります。量子論では目に見えない世界の話を議論するため、よくその信憑性が疑われたり実感が湧かないと言われたりするのを耳にしますが、この実験ではA級紙第2回で紹介した“分光法”とシュレディンガー方程式の結果を比較し、その有用性を確認します。またこれと共に、1,3-ブタジエン H2C=CH-CH=CH2 と1,3,5-ヘキサトリエン H2C=CH-CH=CH-CH=CH2 の分子軌道について、パソコンを用いてシミュレーションしてみます。何やらとてもカッコよさそうですが、実際は殆ど教科書通りに機械を操作するだけで、実感が湧くに至るほど理解の深まっている人は東大でもさすがにあまりいません。


■反応と平衡■
反応速度定数と活性化エネルギー
 高校化学の問題ではあまり主役になることのない気がする“活性化エネルギー”。登場するとしても、図から活性化エネルギーに当たる部分を選ばせる問題や「触媒を入れると反応が起こりやすくなる理由」など、個人的には比較的地味な印象が強いのですが、これは活性化エネルギーを議論するための知識が高校では大して紹介されないことによるものと思われます。
 1889年、アレニウスは反応速度定数を k とする反応と温度 T との関係の中に、次のような式が成り立つことを見出しました。


R は気体定数で、E は活性化エネルギー。最近の東大入試では2010年・2011年と本格的に扱われた反応速度論ですが、こちらは高校化学でも割と苦手とする人の多いバリバリ主役級の問題ですね。その反応速度論の話が、実はこの公式によって活性化エネルギーと結びついているのです。この実験では、過酸化水素水 H2O2 が水と酸素に分解する反応における反応速度定数 k を実際に測定することで、上の公式を使って活性化エネルギー E を求めます。キーワードは触媒、過酸化水素水の分解、活性化エネルギー、ホールピペット。薬品を入れたらサッと条件を整えてパッと時間を計らないと正しい結果が出なくなるのは大変です……。またホールピペットと言うと口で吸い取るイメージがあったのですが、実際には専用の器具があるんですね。時代は進歩していくようです。

酸解離定数の測定
 p-ニトロ安息香酸 NO2-C6H4-COOH とp-メトキシ安息香酸 H3C-O-C6H4-COOH という2つの安息香酸の一置換体について、酸の加水分解における平衡定数である“酸解離定数”を求めます。自分が高校生の時には、“酸とそのイオンのそれぞれの濃度なんてどうやって測定するんだ?”ということに疑問を抱かなかったのですが、皆さんはどうでしょう。例えば電離度を求めるにも、水溶液中にある酸か陰イオンかどちらか一方の濃度は測定する必要がありますが、片方だけの濃度を求めるとなると意外と難しそうです。この実験では、この方法の一つとしてまた分光法を用います。成分が違えば光の吸収具合(“吸光度”と言います)も変わるので、溶液に光を通しどれだけ吸収されたかを測定することで成分の比を求めることができるのです。キーワードは硫酸酸性、緩衝溶液、pH、平衡定数、メスフラスコ。“硫酸酸性”はよく耳にしますが、それに対し“NaOH塩基性”と言うこともできることはここで初めて知りました。メスフラスコをキーワードに入れましたが、この実験は今までに比べ特に厳密に薬品を計り取り調合する必要があり、苦労した覚えがあります……。


■微量物質の同定と定量■
分光光度法による鉄の定量――温泉水中の鉄イオンの分析
 またまた分光法を活躍させて、ここでは草津温泉と万座温泉の水の中に含まれる鉄イオンの濃度をそれぞれ測定します。温泉水には様々な成分が溶け込んでいるため、何かしらの化学反応で鉄の量を計ろうとしても、違う物質まで反応してしまうことが多く難しいのです。分光法の幅の広さにはただただ驚かされるばかりですね。キーワードは鉄の還元、滴定、ビュレット、ブランクテスト、共洗い。鉄イオンそのものの吸光度を求めるため、まずはイオンの濃度の分かる検液を作る必要があるのですが、この際東大化学2012年第2問Ⅱに登場した“EDTA溶液”を用いて濃度を調べることになります。またブランクテストとは、試料を入れない状態で測定を行って、試料を入れた状態での測定結果からその値を差し引くというアレですが、東大入試化学では2005年第2問Ⅰで出てきています。共洗いの方は説明不要でしょう。滴定の際共洗いすべき器具は何か、ちゃんと理解していますか?

電気泳動法によるタンパク質の分離と分子量の推定
 東大化学2013年第3問Ⅱにも登場した電気泳動法を利用して、未知のタンパク質の分子量を特定します。入試問題にもある通り、基本的には混合物から目的物質を分離するための電気泳動法ですが、陽イオンと陰イオンを分けるだけの定性的なものだと思っていた手法で、分子量と言う定量的なものを求めることができるというのは新鮮でした。キーワードはタンパク質の階層構造、架橋構造、電気泳動。合成高分子の内容はやはり受験勉強の中では手薄になりがちなところですが、東大ではここ2年連続で出題されており気が抜けません。重合の話ついでに、この実験ではアクリルアミドを使うのですが、これは神経毒。他で使う強酸や強塩基も勿論危険ですが、教科書で改めて毒と言われると特に気を張りましたね。


■物質の定性分析■
無機陽イオンの定性分析
 様々な薬品を用いて、溶液中に存在する金属陽イオンを特定する手法を3回に分けて学びます。このような系統分析は受験勉強でも定番ですね。1回目、2回目で指定された通りに硫化物沈殿や炭酸塩などを作り定性分析の基本操作に慣れた後、3回目で実際にその力を試します。未知の金属陽イオンが3種類入った試験管を渡され、それを自分で分析して特定する、というものなのですが、全12回の基礎化学実験の中でこれが一番面白かったと答える東大生は多いと思います。確かに他の実験はどうしても作業感が強くなりがちですし、この実験で3種類全部当てられた時の達成感は他にはありませんからね。キーワードは定性分析、溶解度。この金属イオンを含む溶液に何の薬品を入れるとどんな色の沈殿が生じるのか、この時期にはそろそろ固めておきたい所です。


 いかがだったでしょうか。「原子・分子の電子構造」の章は少々難しいですが、それ以外はうまくすれば東大入試の問題に仕立て上げることができそうな内容ですし、事実既に出題されている内容にどこかしらで関連のあるものが多かったのも見てきた通りです。そもそも受験勉強で馴染み深いという手法も多かったでしょう。それもそのはず、“基礎化学実験”を行う意図は今後実験を行う上で必須となる手法の中で特に基礎的なものを習得するというところにある訳で、そういった基礎的な手法を高校でしっかりと学ぶのですから。
 第2回での締めくくりにも繋がりますが、新しい何かを知るには賢い知恵が必要で、先人達の知恵の積み重ねが今ある実験操作・手法・器具ということになるでしょう。これらが足場を固めることで、今の科学は成り立っています。それなら、東大ではどのようなことを実際に学ぶのか? 具体的なイメージを持ってもらえればと思い、今回このような記事を書きました。東大と今目の前にある化学の勉強について、少しばかりでも関心を増していただけたのなら幸いです。それではまた次回。

2013/10/11 石橋雄毅

2013/10/07

こんにちは、根本です。
チレキ参考書第2部、今回からは各科目の勉強法・参考書を紹介していきます。
今回は日本史の1回目です。





 東大日本史の勉強


■「次の文章を読み、後の問いに答えよ。」

東大日本史の各大問(特に第1問、第2問)は、基本的にこの一文から始まります。
この文章に続いて歴史的事実や史料をまとめた文章が示され、その後に1問〜数問の小問が並びます。
(実際の過去問はコチラ

日本史の入試問題に論述を課す大学は多くありますが、
東大の場合はそれに加え文章の読解も要求されることになります。

つまり、東大日本史で問われる力は、
 問題で提示された文章が何を意味するのかを丁寧に読み取り(!)
 読み取った事項と自分の持つ知識を結びつけ
 問題の要求に沿って説明を構成する
力ということになります。

ただの論述ではなく、与えられた文章(・史料)を読み解く力も求められる。
これが東大日本史の大きな特徴です。


■勉強の流れ(日本史ver.)

第1回の最後に勉強の流れを紹介しましたが、上記のことを元に勉強の流れ(日本史ver.)を整理してみます。

①「大きな流れを身につける」
日本史で言う「大きな流れを身につける」とは、
 「『◯◯時代』の特徴を簡潔に説明できるようにしておく」
ことと考えることができます。
例えば平安時代後期はどのような時代だったのか、江戸時代の前期と中期はどう異なるのか、などです。
古代から近代に至るまで、日本はどのような時代を経てどのように変わってきたのか、自分の中で一通りイメージが作れるようにしておきましょう。


②「東大で必要なレベルの知識を完全に習得する」
 「暗記量は、私立大入試で求められる量と比べて圧倒的に少ない」
これは「東大地歴は暗記科目?」という問いに対して前回ご説明したことです。
実際、日本史でも人物名や作品名等の暗記を求められることはあまりありません。

ただ、一方で求められているのは各事項に対する理解の深さです。
例えば、「荘園制とはどのような意味を持ったか?」「刀狩りの背景にあった豊臣秀吉の思想は?」といった問いは入試において繰り返し問われています。

いずれも小学校の歴史で触れている語句ですが、その意味を真正面から問われると簡単には答えにくいのではないでしょうか?

「東大で必要なレベルの知識」とは、このような語句や事項の背景・意味のことを指します。
名前・語句を問う短答問題に答えられるようになるだけでなく、その名前・語句を説明する問題にも答えられるようになること、これが「習得」の意味と言えます。

暗記の量というよりは、暗記の質・深さが求められていると言えるでしょう。


③「実践的な練習を積みながら①②で習得した事項を自分でまとめ、アウトプットする練習を積む」
最初に紹介したように、東大日本史の問題形式は独特です。
一般的な論述問題に求められる力に加えて、問題文を読み取る力が求められます。
「実践的な練習」では論述の力だけではなく、問題文の読み解き・自分の持つ知識との結びつけも合わせて練習をしていきたいものです。


 東大日本史参考書



次回、日本史の勉強の流れ①〜③、それぞれの段階で役立つ参考書を紹介していきます。
紹介を予定している参考書は以下のラインナップです。
実際に参考書を使った方の声やそれぞれを比較しての分析なども含め、それぞれの参考書の使いどころをお伝えします。
※次回更新は10/21(月)の予定です。


■流れを理解するための参考書
山川出版社『詳説日本史B』 をはじめとする教科書
『NEW石川日本史B講義の実況中継』シリーズ(春秋学習社)
安達達朗『日本史講義 時代の展開と特徴』(駿台文庫)
野島博之『謎とき日本近現代史』(講談社現代新書)
石川 晶康『日本史の考え方 河合塾イシカワの東大合格講座!』(講談社現代新書)


■用語・事項を覚える、押さえる
石川 晶康『書いてまとめる日本史―日本史短文論​述練習帳 (河合塾シリーズ 得点おまかせ vol. 2)』(河合出版)
『段階式 日本史論述のトレーニング』(Z会出版)


■アウトプットする訓練を積む
野島 博之, 井之上 勇『東大日本史問題演習 (東進ブックス 究極の東大対策シリーズ) 』(ナガセ)
石川 晶康、桑山 弘、溝田 正弘、 神原 一郎 『“考える”日本史論述―「覚える」か​ら「理解する」へ (河合塾SERIES)』(河合出版)
相澤 理『歴史が面白くなる 東大のディープな日本史』(中経出版)
佐々木 哲『東大入試で遊ぶ教養 日本史編』(長崎出版)


2013/10/07
 皆さん、こんにちは!

 今回も前回に引き続き、スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学で行ったスピーチを題材とします。前回のConnecting the dotsではたとえ今すぐには意義が見出せないことであれ、将来的に役立つ可能性を信じて取り組むことの重要性を説いてくれたジョブズですが、今回はどういった話をしてくれるのでしょうか?
 タイトルはLove and loss.「愛と損失・敗北」です。appleの天才的なCEO(chief executive officer:最高経営責任者)として知られていたジョブズですが、その人生は決して全てが華々しいものではありませんでした。スピーチ中でも明らかにされますが、彼は自分が立ち上げたapple社を一度解雇されています。彼の成功はこういった大きな“loss”を乗り越えた上であるものなのです。
 数多くの敗北にどのように、そして何故ジョブズが向き合い、乗り越えることができたのかを聞き取ってみましょう!



⇒問題はこちら
2013/09/30

特集ブログでは初にお目にかかります、根本です。
学習指導では数学と地歴科目を担当しています。
どうぞよろしくお願いします。

東大の地歴科目はちょっと変わった(?)試験構成になっています。
その特徴は何なのか、どのように準備していけば良いのか。

これから数回にわたって、地理歴史科目の参考書について紹介していきたいと思いますが、
そのあたりにも触れながら、勉強する際に意識するポイントをお伝えしていく予定です。

本シリーズは以下の5部構成になる予定です。

 ① 東大「地理歴史」ってどんな科目?
 ② 日本史の試験と勉強法
 ③ 世界史の試験と勉強法
 ④ 地理の試験と勉強法
 ⑤ 勉強するにあたって考えておくと良いことイロイロ


1回目の今日は 東大「地理歴史」ってどんな科目? です。
それぞれの科目の勉強方法を考えていくにあたって基本となることを考えてみようと思います。


 「地理歴史」は暗記科目...?


■チレキ...アンキ...?

「社会」「地歴」という科目に対して皆さんはどんなイメージを持っているでしょうか…?

中学入試や高校入試を経験して来た皆さんからは、「暗記科目!」という答えが返ってきそうです。
「そんなこと聞くんだから、違うの…?」・・・・ご明察。

「東大の地理歴史は暗記科目ではない」とよく言われます。
例えば、日本史の問題は論述4題のみ、という形が続いています。
世界史や地理も用語問題はありますが、論述問題が中心です。
実際の入試問題を見ていただくと、「エッ、こんななの…?」と思われる方は少なくないと思います。)

ただ、問題を実際に解いてみれば分かるのですが、「暗記が全く必要ない」というワケではありません。
世界史の第3問は用語問題ですし、地理にも単答問題がちりばめられています。

そうしてみると、「東大の地理歴史は、ある程度暗記が必要な論述問題」
といえるかもしれません。


■結局、暗記科目...?

「結局は暗記科目なんじゃ…?」

そう思ってしまうかもしれませんが、一つ覚えておくべきは、
  その暗記量は私立大学入試で求められる暗記量と比べると圧倒的に少ない
ということです。

東大の地理歴史で求められる暗記量は「センター試験レベル」と言われます。
中学・高校入試である程度覚えている人はそれに少しつけ足す程度。
(特に日本史は東大入試で高得点を取る人でもセンター日本史では9割を超えなかったりします)


■東大地歴は「見方」と論述

むしろ、重視されるのは歴史的な見方、地理的な見方がどのくらい身に付いているか、そしてそれをどれだけ文章に表せるか? です。
東大が何を求めるかでもそのことに触れています。)

東大地理歴史は暗記科目というよりはむしろ論述科目、
と捉えておくと良いでしょう。

ここまで聞くと「難しそう…」と感じるかもしれません。
実際、正直に言うと勉強はラクではありません。


■東大地歴は面白い!

ただ、東大の地理歴史の勉強を進めて行くと、かなりの人が
「地歴ってこんなに面白かったんだ」
「地理的、歴史的な見方ってこんな感じなのか」
というようなことを口にするようになります。
地歴科目が面白すぎて他の科目の勉強が疎かになってしまう人もいるくらいです(これについてはあまりオススメできることではないのですが、最終回に触れます)。

歴史的なモノの見方、地理的なモノの見方を身につける、楽しむ
それが地理歴史の勉強だと考えておくと良いと思います。


 学習にあたり気をつけるべきこと


■「木を見て森を見ず」ではダメ

「用語は100%!」これだけでは東大入試に対応することは出来ません。
実際に合格した人や多くの先生方がアドバイスするのが、「大きな流れをつかむこと」です。

例えば、
 日本史であれば「平安〜鎌倉時代に武士がどのように力をつけていったのか」
 世界史であれば「フランス革命はヨーロッパにどのような影響を与えたか」
 地理であれば「アメリカでなぜ大規模な穀物農業が行われるようになったか」
このような質問に簡単に(=細部まで正確でなくても良いので)答えられるようになること。

これが「大きな流れをつかむこと」と言うことができます。

用語・語句を覚えきれていないと不安になってしまい、とにかく完璧に覚えようと考えてしまうのは無理もないことです。
しかし、そこに集中してしまって「大きな流れをつかむこと」を怠ってしまっては元も子もありません。
暗記と流れの理解、このバランスを取ることを念頭において学習を進めると良いでしょう。


 どれくらいが目標?


■目安は65〜85/120点

地理歴史科目の試験は2次試験2日目の午前中にあります。
得点は2科目合わせて120/440点。決して小さい点数ではありません。

地理歴史の得点の特徴としては実力がつくと点数が安定する、ということが挙げられます。
数学のように焦って解けなかったり、英語のようにスペルミスで予想より点が低くなったということもありません。
(もちろん、誤字脱字などのミスで失点してしまう可能性はあります)

一方で、数学や(理系)物理のように超高得点を狙うことはなかなかできません。
(最高でも1科目の点数が50/60点ほどのようです)

合格者の得点開示等の点数を見てみると、大体1科目につき35〜45点、2科目合わせて65〜85点
を取っている人が多いようです。この点数を一つの目安としてみると良いでしょう。

点数としては6〜7割程度。しかし、その分手を抜いて良いという訳ではありません。
「やれることは一通りやった。でも、細かいところが押さえきれていなくて不安…」
受験を迎える時にはこれくらいの気分でいられるように、準備していきましょう。


 勉強の流れ


■流れ、知識、アウトプット

科目にもよりますが、地歴科目の勉強法は大きく分けて
①「大きな流れを身につける」
②「東大で必要なレベルの知識を完全に習得する」
③「実践的な練習を積みながら①②で習得した事項を自分でまとめ、アウトプットする練習を積む」
に分かれます。

大まかに言うと、
 高3夏までは①に集中、それ以降②③の比重を上げる
という意識を持っておくと良いと思います。


次回からはより細かく、科目ごとの勉強法・参考書活用法を見ていきます。
どうぞお楽しみに!

根本

※次回更新は、10月7日(月)の予定です。
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