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特集ブログ ~自身の合格体験を吐き出すだけのブログでは不十分~

 東大生や東大卒業生が、自身の合格体験を基にアドバイスをしているブログや書籍は数多くある。もちろん、有益なものも多い。
 ただし、実際に生徒指導をしていると、自身の東大合格体験はあくまでも一例でしかないことに気づく。生徒を東大に受からせるには、学科知識、教材・模試・過去問の活用法、受験戦略、学習方法のすべてを見直し体系化する必要がある。

 情報が氾濫する時代だからこそ、自身の合格体験を吐き出すだけのブログでは不十分。自らが東大合格体験者でもあり、東大受験専門の塾・予備校の講師として毎年、生徒を東大合格に導いているメンバーのみが運営する『東大入試ドットコム』の特集ブログです。

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2016/11/24
 第12回の更新を迎えました。受験生の皆さんは、過去問を解き始めたころでしょうか?
 今回は、2016年度第3問から問題を抜粋しました。実験考察、という感じではないですが、東大生物に取り組むうえで重要な考え方をする問題が含まれていますので、みなさんも一緒に考えてみてください!












A
 ケルプが浅場に多く、深場に少ない理由を考察する問題です。「浅場の方が光が届くため、ケルプの生育に適しているから」という理由が問題文に与えられています。さて、ほかにどのような理由が考えられるでしょうか?
 これは東大生物の問題なので、妄想でなんとなく答える、というような解答ではありません。必ず問題文にヒントがあります。

 そこで問題文を読んでみると、「ケルプをウニが食べ、ウニをラッコが食べるという食物連鎖が存在する」ことが記述してあります(空欄1には食物連鎖が入ります)。さらに、「ラッコが果たした役割を踏まえて」説明しなさい、という丁寧なヒントもついています。
 ここから、「深場ではラッコがウニを捕食できず、ウニによる食害でケルプが少ないが、浅場ではラッコがウニを捕食するため、ケルプが食害を受けにくくなっている」と考えられますね。

(解答例)
浅場になるほど、ラッコがウニを捕食しやすくなるためウニの個体数が減少し、ケルプがウニによる食害を受けにくくなり繁殖できるから。(63字)


B
 Y島での生物群集の量がX島より少ない理由を説明する問題です。Y島はX島と比べて、「ラッコがほとんどいない、ケルプが繁茂していない、サンゴモが多い、ウニが高密度に生息している」という違いがあることが書かれています。続けて、サンゴモがケルプと比べて、「背の高い群落を形成することはない」という違いがあることも書かれています。
 ケルプが繁茂しているX島には生物が多く生息し、代わりにサンゴモが多く茂っているY島では生物が少ないのはなぜでしょうか?

 X島、Y島の様子を想像してみましょう。X島では、ケルプが背の高い群落を形成しており、まるで海の中に森ができているような光景が広がっていると考えられます。一方、Y島ではサンゴモが海底に生い茂り、野原のようになっているのではないでしょうか。

 ここまで想像できれば、「X島ではケルプの群落が多くの生物の生息場所となりうるため生物多様性が広がるが、Y島ではサンゴモはそのような群落を形成しないために生物数が少なくなっている」と推測できますね。
 問題では「Y島での生物群集の量がX島より少なくなる理由として考えらえる、ケルプとサンゴモの違い」を説明せよ、となっています。その点に注意して解答しましょう。

(解答例)
ケルプは背の高い群落を形成することにより、多くの生物の生息場所として機能するため、複数の生物種が存在することになる。(58字)


C
 キーストーン種が存在する場合の、生物多様性と生態系機能の関係を答える問題です。今回の記事では示していませんが、文1で「生物多様性が高くなるほど生態系機能は高くなる」という記述があります。従って、(1)~(3)に解答は絞られます。ではその中のどれが正解か?

 キーストーン種とは、「生態系のバランスを保つのに重要な役割を果たす生物種」のことです。このキーストーン種がいなくなったらどうなるか、を考えてみましょう。その定義の通り、生態系のバランスが崩れ、生態系機能は大きく損なわれることが想像できますね。つまり、「たった1種の生物がいなくなるだけで、生態系機能が大きく低下する」ということです。これを反映しているグラフとしては(2)が適切ですね。

 ちなみに、今回の考え方のように、なにかの重要性を知りたくなった場合、それが無くなったという状況を作る、または思考実験をすれば良いのです。遺伝子欠損生物を用いた実験は生物の問題で良く取り上げられる題材ですが、これも「ある遺伝子の働きを知りたいから、その遺伝子を持たない生物を作ってどうなるか見てみよう!」という発想から来た考え方ですね。

(解答)
(2)


D
 これは単純な計算問題ですので、是非とも正解したい問題です。
 シャチが一年に必要なエネルギーは200000×365kcal、ラッコを一頭捕食して得られるエネルギーは30×1000×2×0.7kcalなので、シャチ一頭が一年に必要なラッコの頭数は、200000×365 / 30×1000×2×0.7=1738頭です。

(解答)
1738頭


E
 ラッコのみをシャチが定住した場合、ケルプ、ウニ、ラッコの個体数の推移はどうなるかを考える問題です。

 これまでラッコが食物連鎖の頂点でしたが、その上にシャチが来ることになります。すると、ラッコが捕食されるようになり、ラッコの個体数が減少すると考えられます。すると、ラッコに捕食されていたウニは増加し、ケルプはさらに食害を受け個体数が減少します。

 このように考えれば、ラッコが減少→ウニが増加→ケルプが減少、という風に個体数が変化していくことがわかります。これを反映しているグラフは、(4)のみですね。

(解答)
(4)






 いかがでしたでしょうか?今回のポイントは、「与えられた情報からその場の状況を的確にイメージすること」、「何かの働きや重要性を知りたいときは、それがなかった場合を考えること」でした。これは、東大生物を解くうえでとても重要な考え方ですので、過去問演習などでぜひ実践してみてください!

解答まとめ
A 浅場になるほど、ラッコがウニを捕食しやすくなるためウニの個体数が減少し、ケルプがウニによる食害を受けにくくなり繁殖できるから。(63字)
B ケルプは背の高い群落を形成することにより、多くの生物の生息場所として機能するため、複数の生物種が存在することになる。(58字)
C (2)
D 1738頭
E (4)
2016/11/10
 『化学が苦手で、いつも他の科目の足を引っ張ってしまう』…そんな悩みを抱えた東大受験生も少なくないと思います。ひとくちに化学が苦手といっても、大きく2タイプに分けられるでしょう。1つは『センター試験で8割に遠く及ばない』というタイプ。もう一つは、『センター試験は8割以上とれるけど、東大の問題になると20点くらいしか取れない』というタイプ。今回は『センター試験で8割に遠く及ばない』という前者のタイプの人におすすめの参考書、『化学の新標準演習』を紹介します。

 また、後者の『センター試験は8割以上とれるけど、東大の問題になると20点くらいしか取れない』というタイプの人には、『化学の新演習』『重要問題集』などのより実戦的な問題集をおすすめしますが、『セミナー化学などの学校傍用問題集の問題は解けるけど、化学の新演習や重要問題集のような応用問題にはなかなか歯が立たない』という方にも本書は役に立ちますので、この記事を読んでいただければと思います。


 『センター試験も8割にとどかない』という人は、結局のところ『基礎基本ができていない』場合が多いです。その場合は、焦って過去問や難しい問題集を解いてみても、なかなか歯が立ちません。それではますます自信を無くすばかりです。また、解説を読むと分かったような気持ちにもなるかもしれませんが、基本が身についていないので数週間も立てばまた元通り...。それではあまり効率のいい勉強とは言えませんよね。

 そういう時は、思い切って、基礎基本から固めていくことが一番の近道になります。そして、その際にお勧めしたいのが、『化学の新標準演習』です。
 著者は、『化学の新研究』『化学の新演習』でおなじみの卜部吉庸。問題数は、例題が153問に練習問題が560問とかなりボリュームがあります。問題のレベルは、教科書に載っているような基礎的な内容から、入試問題にとりあげられそうなやや発展的な内容まで幅広く含まれています。すなわち、この1冊で、学校の傍用問題集のレベルから発展的な問題集のレベルまで完成させられるというのが、この本の最大のセールスポイントになると思います。


 それでは、『化学の新標準演習』の特徴と、おすすめの使い方を紹介していきます。

 構成としては、化学の単元ごとに、『要点のまとめ』『確認&チェック』『例題』『練習問題』『センターチャレンジ』に分けられています。また、別冊に解答解説がついています。

 『要点のまとめ』『確認&チェック』は、学校で学んだことをもう一度思い出し、ポイントを確認するうえで役立てていくといいでしょう。『セミナー化学』などの学校の傍用問題集での使い方と同じイメージです。もし、学校で学んだ内容もかなり抜けてしまっている…ということであれば、まずは『要点のまとめ』を自分でノートにまとめ、分からない所は教科書や『化学の新研究』で調べるといいでしょう。

 『例題』については、入試頻出の標準問題とその解説が、単元ごとに5問程度取り上げられています。例題に載っている解法を一つ一つおさえていくことで、その単元の問題を解くうえでのポイントが身につくように工夫されています。ポイントを確認した後は、この『例題』を丁寧に解き、解法をまとめていきましょう。
 例題を一通り解き終わった後の練習用として設けられている問題編は、二次試験を念頭に置いた記述中心の問題『練習問題』と、センター試験を念頭に置いた記号選択問題『センターチャレンジ』に分けられています。
 『まずは二次試験よりもセンター試験で高得点を取れるようになりたい』という方も、できれば『練習問題』『センターチャレンジ』の全問題に目を通すことをお勧めします。というのも、『センターチャレンジ』のみでは問題数が少なく、演習量が不足してしまうからです。時間が足りない人はむしろ、『センターチャレンジ』は後回しにして、まずは『練習問題』をしっかり固めるというやり方でも、センター試験で高得点を取るのに必要な力が十分につくはずです。

 また、問題の解説はかなり丁寧に、詳しく書かれています。嬉しいのは、問題を解くうえでのポイントが太字で書かれていて、分かりやすい点。
 特に化学に苦手意識を持っている人は、はじめは本書の問題でも解けない問題がたくさんあるでしょう。そういう人は、間違えた問題の解説を読むときに、太字になっているポイントをチェックし、必要に応じてまとめていきましょう。そして時間を置いてもう一度問題を解いてみる、という勉強法を行っていけば、着実に解法が身についていくと思います。

 玉に瑕なのは、理論化学の演習問題で、問題で与えられている有効数字と解答の有効数字が異なっている個所がある点。自身で丸付けする際には、気を付けてみてください。


 最後に、学習計画を立てる上でアドバイスをさせてください。冒頭でも紹介しましたように、この問題集はかなり問題数が多くなっています。上記のようなやり方でこの問題集をすべて完成させるとなると、やはり半年~1年ほどの期間を見ておくことが必要になります。もちろん、特に苦手な分野があるという場合には、その分野だけをこの問題集で演習することもできます。模試や定期試験の結果から、苦手な分野を洗い出し、この問題集を用いて演習をするという使い方もいいでしょう。どのような使い方にせよ、基礎を固めるには時間が必要ですから、早め早めの学習計画を立てることが肝心です。

 この問題集の問題を一通り解けるようになっていれば、センター試験は90点以上、東大化学は30点前後を狙う力がついています。さらに東大化学で安定的に高得点を稼ぎたいという方は、『化学の新演習』『重要問題集』などで、リード文の長い問題や、やや高度な思考を要する問題にチャレンジすることをお勧めします。



2016/11/10 川瀬響

2016/10/27
 長文読解と一口に言っても大学ごとに出題傾向、形式は様々です。東大の第1問や第4問では論説文が出題されることが多い一方で、東大の第5問では小説やエッセイ調の英文が出題されています。長文読解の最も効率的な方法はなんといっても過去問を解き、出題形式に慣れることでしょう。特に東大の場合は過去問だけでなく、大手予備校各社が実施しているいわゆる”東大模試”の過去問も市販されているため、過去問演習の回数を重ねることができます。

 しかし英語が不得手な人がいきなり過去問に手を出すのは無理な話。長文読解、特に長めの英文に慣れるためにオススメなのが”やっておきたい英語長文"シリーズです。本書”やっておきたい英語長文700"はMARCHや地方国立大で出題された700語程度の英文が15題セレクトされています。本書以外にも300, 500, 1000と題したものもあり、それぞれの数字が収録されている英文のおおよその長さに相当しています。"300"はセンター試験向けといったところで東大受験生にとっては簡単。"700"が難しいと感じたらまずは"500"に手を伸ばしてみましょう。

 本書に取り組む上で意識してほしいことが二つあります。一つは時間を意識して英文を読むこと。東大英語は時間との戦いです。第5問にかけられる時間は25分程度であり、決して十分な時間とは言えないでしょう。本書はそれぞれの問題に制限時間が設けられています。制限時間以内に英文を読み切る、問題を解き切ることを意識して問題に取り組みましょう。

 二つ目は頻出テーマに慣れること。本書はグローバル化、食糧問題、環境と経済、脳死といった近年よく出題されるようなテーマの英文を意図的にピックアップしています。更に解答冊子ではテーマに関連する背景知識も補足してくれています。東大の第5問でこういったテーマの英文が出題される可能性は低いですが、第1問や第4問で出題されることは十分に考えられます。全く知らないテーマの英文を読むことと、バックグラウンドの知識を多少持って読むことでは理解度、スピードともに全く異なります。本書を通じて頻出テーマの知識を頭に入れておきましょう。

 あくまでも本書の目的は長文読解の基礎的な力を付けることであり、実際に東大の問題を解くためにはそれ専用のトレーニングが必要です。本書の上位版として"やっておきたい英語長文1000"もありますが、東大を目指すのであれば700を一冊仕上げた後はそちらに手を出すよりも、少しでも多くの過去問に触れておくのが一番です。



2016/10/27 大澤英輝

2016/10/13
 東大生物では、毎年約20行~30行程度の記述問題が出題されています。配点としてはかなりの割合を占めており、ゆえに記述問題の対策は必須です。しかし、記述の練習はやろうと思ってもなかなかできないものです。理由として、書いた答案の添削をしてくれる人が身の周りにいない、そもそも記述問題に特化した参考書が少ない、などが挙げられるでしょう。そんな人たちは、本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。

 「生物 記述・論述問題の完全対策」は、その名の通り記述や論述問題に特化した参考書で、出題頻度の問題が多く収録されています。問題と解答例だけでなく、解答を作製するにあたって必要となる重要事項のまとめや、解答に至るまでのプロセスの詳細な記載、配点と採点基準、誤りやすいポイントのまとめなどがコンパクトに盛り込まれた内容になっています。

 これらの内容は、記述・論述問題に特化した参考書ならではのものと言えるでしょう(たとえばセミナー生物・生物基礎という参考書には記述問題の特集ページが存在しますが、内容は問題と解答、ちょっとした解説のみです)。重要事項のまとめを参照することで周辺知識を体系的に整理ができるので、記述力がつくだけでなく知識問題への対策にもなります。配点や採点基準と自らの解答を照らし合わせることで、足りなかったもの(または余分だったもの)はなにかを判別できます。誤りやすいポイントのまとめは、日本語の表現なども含めて注意すべきことを明確にしてくれます。これらの長所は、受験生の力を飛躍的に高めてくれるでしょう。

 ひとつ注意点として、本書には実験考察の記述・論述問題が一切載っておらず、知識問題の記述・論述に一貫していることが挙げられます。しかし、「実験考察の記述が苦手だ」という人は、たいていはそもそも「文章力不足・論理的で明快な文章を書けない」ことが多く、対策としては結局まず文章を書く練習をしていく他ありません。

 以上から、教科書的な知識はあらかた身についており、かつ文章力にもある程度自信があるという人は、本書ではなく他の参考書や過去問で実験考察の記述対策をすることが望ましいですが、逆にそれ以外の人たちにとっては、本書は大変力になります。本書で出題されているような問題が、実際に東大生物で出題されている例もありますし、やって損はないでしょう。


2016/10/13 宮崎悠介

2016/09/29
 センター試験〜MARCH(一部早慶)レベルの短文(4~5センテンス程度)を英訳することで、英文構造を見抜く練習をすることができるのが本書。なんとなく英文の意味は分かるけど、文構造(SVOC)を上手く取れないために正確な和訳が出来ず減点されてしまう...という人にオススメの一冊です。

 章ごとに関係詞、否定、省略、so that構文といったテーマが設けられ、タイトルにもある通り100題(演習を合わせれば200題)の英文を読むことが出来ます。英文、語句、解法(構文解釈)、和訳、類題(演習)が見開き1ページにまとまっており、使いやすいレイアウトです。

 解法ではSVOCや接続関係のような英文構造をわかりやすく分解して説明してくれ、それを読んで理解した後、類題を解くことで更に理解を深められる構成です。類題の解答は別冊となっています。

 タイトルに“基礎”とついている通り、本書を一冊やったところで東大の和訳問題にいきなり太刀打ちできるようにはなる訳ではありません。一日に1, 2題ずつじっくりと取り組むことで英語のリズムに慣れ、英文構造を見抜く力、いわば英語の地力を伸ばすことが本書の目的です。

 “じっくりコツコツ”という本書の特性上、受験が目前に迫った3年生は本書に手を伸ばす余裕がないかもしれません。語彙の面でやや苦労するかもしれませんが、1, 2年生のときから本書に取り組むのがオススメです。もし本書が難しいと感じたら、レベルを下げて『入門英文解釈技術70』、逆に簡単だと感じたら東大、京大、一橋等の超難関大学で出題された英文を扱う『英文解釈の技術100』に挑戦してみると良いでしょう。両書とも概ね本書と同様の構成です。



2016/9/29 大澤英輝

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