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特集ブログ ~自身の合格体験を吐き出すだけのブログでは不十分~

 東大生や東大卒業生が、自身の合格体験を基にアドバイスをしているブログや書籍は数多くある。もちろん、有益なものも多い。
 ただし、実際に生徒指導をしていると、自身の東大合格体験はあくまでも一例でしかないことに気づく。生徒を東大に受からせるには、学科知識、教材・模試・過去問の活用法、受験戦略、学習方法のすべてを見直し体系化する必要がある。

 情報が氾濫する時代だからこそ、自身の合格体験を吐き出すだけのブログでは不十分。自らが東大合格体験者でもあり、東大受験専門の塾・予備校の講師として毎年、生徒を東大合格に導いているメンバーのみが運営する『東大入試ドットコム』の特集ブログです。

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2016/09/15
 今回は「図形と方程式」の単元から。解法選択も一つの分岐点ですが、いずれの方法にせよ繁雑な計算・議論が待っています。押し負けず、正答に辿り着いてほしい……!

<問題PDF>

 座標平面上の 3 点 A$(1, 0)$, B$(-1, 0)$, C$(0, -1)$ に対し,

$\angle APC = \angle BPC$


をみたす点 P の軌跡を求めよ。ただし P≠A, B, C とする。
<略解PDF>
<略解>

2016/09/15 石橋雄毅

2016/09/10

 「参考書紹介」に新たな機能が登場! 世の中に溢れる参考書を使用方法と難易度で分類してマッピング。気になった参考書はクリックして詳細レビューも確認! あなたの参考書選びが必ず変わるこだわりの本棚機能、ぜひ一度お試しあれ!

 なお、過去問集を中心に、一部には科目を跨いだ紹介記事もあり、その場合には表の画像も科目を問わず共通のものを使用していることがあります。

【例】国語の表に『東大の英語 25ヵ年』の画像
 →リンク先記事は『東大の○○ 25ヵ年』シリーズ全般について、分類の評価はそのうち現代文・古典についてのもの

2016/09/10
 過去問と言えば真っ先にこれを思い浮かべるという人も多い定番中の定番。内容もオーソドックスなことがしっかり書かれていて、これといったこだわりなく適当に本書を選んだとしてもそうそう後悔しないハズ。

 掲載されているのは「大学情報」「傾向と対策」「問題」「解答」で、リスニング用のCDも付属。毎年、「大学情報」の項の最後に合格者からのアドバイスが収録されているのが特徴と言えば特徴。「傾向と対策」は各教科十分丁寧に書いてあります。

 「問題」は、基本的には実際の問題用紙を尊重して掲載していますが、大問が変わってもあえて改ページせず極力レイアウトを詰めるようにしていたり、最近は解答を別冊に分けたりと分厚くなるのを少しでも解消する努力をしているようです。しかしそれでもまだまだ結構厚い本なので、この冊子をそのまま使って時間を計り過去問演習とするのは、個人的にはあまり推奨できません。実際の問題用紙がもとになっているとはいえ、レイアウトが詰まった分途中計算を書き込んだりするのにも不向きですしね。そもそも、時間を計っての過去問演習は、問題用紙をインターネットで公開されている実際のもので行うなど、極力本番の状況に近づけて行うことをオススメします。

 また例年7年分程度の問題を収録していますが、リスニング音源はそれより少ない年度しか収録されていなかったり、リスニングスクリプトが問題と一緒に掲載されていたりします。しかし、英語以外の外国語の入試問題まで収録しているのは赤本くらい(解答は省略されていますが)。


 「解答」に関して。さすが過去問参考書の定番となっている赤本だけあって、解答・解説も基本的にオーソドックス。各所でよく紹介される解法・別解についてきちんと触れられていますが、マイナーなものや誤答しやすい解法に関する細かい注意についてはやや薄め。解説は、数学に関してはやや飛ばし気味で高校数学をある程度理解している人がどう着想を得ていくかという指針を手短に書いてあるだけのことが多いですが、他の教科については問題設定を順に追って整理したり解答するにあたって必要な情報をまとめたりしてくれています。全体的に赤本の理系科目の解説は他の参考書よりもあっさりしている印象を受けます。


 各教科の解説の最後に“講評”の項が用意されていて、その年度のセットを全体的に見るとどの問題は取れなくてはならないかとか、例年の東大入試に比べてどうかとかいったことが書かれています。読みまくっていればそれなりに東大入試の内容に詳しくなりますが、それは講師や入試オタク向けの話。受験生にはそこに書かれている“やや難”だとか“易”だとかいった評価を参考にし、どの問題はできるべきだったかを振り返るのに使って欲しいです。

 ただしここで言われる“標準”はあくまで東大入試としての“標準”で、見ていると赤本の目標ラインは各教科での合格者平均くらいありそうです。皆多少なりとも得手不得手のある中、全教科で合格者平均を達成しているような人はかなり高得点の層にいると思われますから、そこで言われている通りにいかなかったとしても落ち込み過ぎないようにしてください。また英語にのみ“解答の指針”の欄が設けられていて、どのような心構えでその年のセットに臨み時間配分すべきかといったことの参考になり得ることが書いてあります。



2016/09/10
 一般的な知名度では赤本に劣るかもしれませんが、難関大学の過去問としては赤本に並ぶ二大巨頭の片割れ・青本。過去問選びに迷うとしたら、多くの人が“赤本にするか青本にするか”というところになるでしょう。

 例年最新10年分の過去問が5年分ずつ上・下巻に分けて出版されていて、リスニングCDは上巻に収録された最新5年分の音源のみ付属。「入試ガイド」「出題分析と入試対策」「問題と解答・解説」の3章立てで構成されています。

 「入試ガイド」は東大入試の基本情報が並べられているだけなので、大学についての情報まで掲載されている赤本に比べると内容は薄くなりますが、この程度の情報はインターネット等(勿論、当サイトでも)で最新の、しかもより詳しい情報まで簡単に調べられるので、駿台さんはむしろ本を少しでも薄くする選択をしているのかもしれません。そういう意味では、合格者からの声まで掲載し少しでも充実させようとする赤本と対照的です。

 「出題分析と入試対策」の充実度は科目によりますが、文系数学・物理・地学は例年あっさりめ。それ以外の科目についてはそれなりにまとまりのある文章が書かれていて、ここに綴られる東大入試の分析や執筆者の東大入試に対する思いの丈には駿台の先生方の個性がよく出ています。オーソドックス、それが故にやや事務的な赤本の文章に対し、青本の文章はひとつの講義を聞かされているような感覚の読み口です。章立てが「問題と解答・解説」となっている通り、本書は1年度分の全教科の問題と解答を交互に掲載するスタイルを取っています。赤本に比べ問題を解く前に解答が目に触れてしまうリスクはあるかもしれませんが、逆にパラパラと問題に目を通しすぐ解答を確認する分には見やすいとも言えます。

 解答・解説に関して。上と同じく青本の読み口の方が丁寧にかつ深い所まで“教えて”くれている印象は強いですが、ターゲット層の学力が赤本よりも高めに設定されていると感じます。例えば、英語では第1問が文章の解釈メインの問題ということで文法の解説を殆どしなかったり、物理では伝統的に入試問題そっちのけで受験レベルに収まらない解説・考察をしていたりなどです。赤本にするか青本にするかは、主に自分の実力に合わせて選ぶのが正解でしょう(勿論、個性的な講師陣の個性的な文章の読み口が肌に合わないという人もいるかもしれませんが)。ただ数学に関してだけは、赤本の解説が“発想の仕方”に薄いため、数学が幾分苦手な人にも青本の内容を薦められます。


 難易度評価については、各教科とも「出題分析と入試対策」の項や解説中で少し触れることがある程度で、それほど重視はしていないようです。また赤本にあった“講評”のような、その年度のセットを全体的に見て感じることを述べる項目も基本的には設けられておらず、「出題分析と入試対策」で触れる執筆者も中にはいる、くらいのものです。しかもこの項目は基本的に毎年更新されてしまうので、あったとしてもせいぜい最新数年分の講評しか見られません。



2016/09/10
 東大入試の過去問を1科目につき25年分ずつ集めた、これまた有名な25ヵ年シリーズ。2016年現在、「英語」「英語リスニング」「理系数学」「文系数学」「現代文」「古典」と、地学を除いた理科・社会各教科の全12種類がラインナップされています。


 章立ては科目によって異なっていますが、文系科目ほど問題・解答以外の項目、例えば「本書の活用法」だとか分析だとか言った部分が充実しています。社会各教科は特に凝っていますね。逆に数学は文理共に1ページの「本書の構成」があるだけとかなり淡白ですが、唯一各問題について難易度評価をしています。

 問題の掲載の仕方は国語を除いた各教科とも、過去問を大問ごとに単元別に配列するというスタイルを取っていて、基本的に索引を見れば一応どのようなセットとして出題されたのかを俯瞰することができるようになってはいますが、“1セットを時間を計って解く”という演習の仕方は本書では明らかに想定されていません。25ヵ年シリーズは“実際の入試を使って普段の問題演習をする”ためのものだと思ってください。そのため直前期に過去問を時間を計って解こうと思っている人が本書を使う際には直近の問題に触れないよう注意する必要がありますし、むしろ東大を受験しない人にこそ積極的に使ってほしい問題集であるとすら個人的には思っています。また25年前まで遡ると問題の傾向や形式も国語や英語をはじめとして大きく変わっており、そんなに昔の問題を解いても仕方がないのでは? と思っている人もいるようですが、このように演習問題として扱うのであれば解く価値はあるのではないでしょうか。さらにこのような構成は他大学の25ヵ年シリーズにも踏襲されていますから、余力があってもっと問題演習をしたいのならそちらに手を出してみるのも悪くないかと思います(普通それほどの余力は無いでしょうが)。

 数学のみ問題編と解答編が章として分けられていますが、それ以外の科目は問題とその解答を交互に並べて掲載。この形式、特に英語に関しては問題の全訳がその問題文自体と改ページさえされず載っていたりするほどで、解いている最中に答えが目に入るのが嫌な人は嫌かもしれません。ちなみに、理科・社会には実際の解答用紙の第1問の解答欄の縮小コピーが掲載されています。


 解答・解説に関して。数学や理科は、赤本に掲載されていたものの再構成であることが殆どですが(あまり昔のものは自分にも確認できていませんが、少なくとも2000年代のものは概ねそうなっています)唯一生物に関してはその限りではなく、解答・解説の最後に当該問題についてさらに詳しい情報を述べた“研究”の欄が充実していたり、問題の末尾=解答の前にその問題を解くに当たってのヒントとなり得る“ポイント”欄が設けられていたりと日常的な演習用の問題集としての色をより濃くしているように感じられます。逆に英語を含むその他の文系科目を見ると赤本の文章を殆ど流用していない事が多いです。赤本では解説を、“その年度のその科目の問題単体”を解く上でどう考えていくか? ということで書かざるを得ないところを、25ヵ年ではその科目の問題だけを何問も解説するので、執筆者が一冊を通して独自の考え方・解答の書き方を一貫させて書くことができ、また書こうとしているようなのです。この傾向も問題演習の書としては妥当でしょう。


 先にも述べた通り、難易度評価は数学にのみ施されています。A(易)からD(難)までの4段階評価で、やや厳しめ(AかBばかりつく)。繰り返しになりますが本書は問題演習のための本なので難易度評価もそれを基準にしており、入試本番に本書のBレベルの問題で解けないものがあったとしても理Ⅲでなければ一般的には大きな問題にはならないでしょう。



石橋雄毅

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