受験生の意識の中の“入試本番”も大分その存在感を増してくるこの時期、自転車通学の石橋君が学校からの帰り道で自転車に乗って考えていたことと言えば、専ら二次試験での現実的な得点構成でした。直近の過去問演習や最近の様子を考慮に入れて、各科目について良くてこのくらい・悪くてもこのくらい取れそうだという点数を出し、合計点を合格点と比較して、どこが崩れると危ないか・そこはもう少し安定させられないか・そこを他で補うとしたらどこか……などなど考えること沢山。それはそれは毎日2ケタの足し算の暗算練習でした。
合格最低点付近に沢山の受験生がひしめき合う東大入試では、普段の演習の時点での点数が余裕で合格点を超えていて、あとは本番で滑らないよう気を付けるだけ……という人は少数派(それでも毎年百人以上はいるのでしょうから、世界は広い……)。そうでない多くの人達にとって、戦略的に点数配分の計画を練って本番に臨むことは非常に重要な受験対策の一環です。
石橋君にはたまたま近くにお世話になっている先生方のノウハウがあったので良かったのですが、もしも身の周りにそのような心強い情報源が無かったとしたら、本番で取る点数の計画なんて当てずっぽうも良い所。「国語は得意だから8割取ろう!」という目標を立てるだけなら誰でもできるけれど、それが常識的に考えてとても不可能な目標であるということを知らなかったら計画の意味が無いのです。皆それは分かっているから、そんな意味の無い計画を自分で立てることをためらい、とりあえず本に書いてある「合格点は6割」という言葉を盲信して6割目指してみる――果たしてそれは“意味がある”計画になっているのでしょうか?
そう、多くの書籍には「大体このくらいが合格点」とは書いてあっても「東大受験生の得点帯がこれくらい」とは殆ど書いてありません。頑張って詳しい資料を調べれば出てこないことはないのですが、受験生に分かりやすくまとまっている所はそれほど多くありません。しかし、“意味がある”計画を立てる上ではこの部分の情報が一番大切なのではないでしょうか。この冬は東大入試ドットコムのメンバーが、“東大受験生が東大の二次試験で一般的に取る点数”の目安をお伝えします!
今回の企画では、地学を除く東大入試11科目の参考得点と、ついでに各科目の特徴・傾向などを紹介していきます。ついでとは言うものの、参考得点はやはりそういった詳細に基づいた合理的な帰結として決まってくるものでもあるので、有意義な計画立案のために是非読んでみてください。
参考得点として、今年は次の4通りのものを示していきます。
A:得意なら目指してみよう
東大受験生でも本当に凄いヤツが取りそうなものとして現実的にあり得る点数を表します。逆にこれ以上は運の要素も多分に絡んできて、どんなに得意でも“戦略的な目標点”としては妥当でないと思ってください。
B:標準的な目標
その科目に特に苦手意識が無いならば、合格のために普通に努力してこのくらいは一般的に目指せる、というような点数を表します。
C:苦手でもここまでは
その科目が苦手だったとしても、“一般的に”このくらいの点数までは頑張ることが可能だと思われる点数を表します。逆に、ここを下回ってくると他での挽回がなかなか厳しい……。
D:本番で大失敗
東大受験生でも、いざ試験となって調子を崩すとここまで点を落としてしまうことがある、と聞いて思い浮かぶ点数を表します。もしものときのこの点数を知っておくことで、他の得意な科目が現状でどれだけこの事態をカバーし得るかを計算することができます。
公開日程は以下の通りとなっています。参考得点もお見せしましょう。
公開日 |
教科 |
参考得点A |
参考得点B |
参考得点C |
参考得点D |
12月5日(金) |
理系国語 |
55 |
40 |
35 |
30 |
12月8日(月) |
文系数学 |
70 |
56 |
40 |
20 |
12月10日(水) |
文系国語 |
70 |
60 |
55 |
50 |
12月12日(金) |
理系数学 |
100 |
理Ⅰ・理Ⅱ:60
理Ⅲ:80 |
理Ⅰ・理Ⅱ:40~50
理Ⅲ:60~70 |
10~30 |
12月15日(月) |
物理 |
54 |
42 |
36 |
24 |
12月17日(水) |
日本史 |
48 |
40 |
38 |
30 |
12月19日(金) |
化学 |
50 |
40 |
30 |
20 |
12月22日(月) |
世界史 |
52 |
42 |
36 |
30 |
12月24日(水) |
生物 |
48 |
36 |
30 |
25 |
12月26日(金) |
地理 |
50 |
40 |
35 |
30 |
12月29日(月) |
英語 |
100 |
84 |
72 |
50 |
12月31日(水) |
総括 |
―― |
―― |
―― |
―― |
※あくまで“一般的な点数”ということなので、選択者が少なく比較対象の少ない地学については掲載しません。ご了承ください。
是非この記事を参考に、東大入試突破への道筋を組み立ててみてください。
初回となる12/5(金)は、理系国語について解説します。ご期待ください!
2014/12/1 石橋雄毅
二次得点の常識
序
理系国語/
理系数学/
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化学/
生物
文系国語/
文系数学/
日本史/
世界史/
地理
英語
総括