システム英単語、速読英単語、ターゲット1900、キクタン、DUO… 世の中には数多くの英単語帳があります。それぞれに特徴があり、受験生の皆さんは自分に合った単語帳を選択し、英単語の暗記に励んでいることでしょう。今回紹介するのは、皆さんが選んだその単語帳をより効率的に使うためのエッセンスが詰まった一冊です。
東大英語に必要な語彙数は5,000〜6,000語とも言われますが、市販の単語帳に掲載されている2,000語前後の語彙を暗記するのも簡単なことではありません。本書はこの膨大な語彙を習得するための、いわば “英語の基礎体力” として200個程の接辞・語幹の意味を紹介しています。
"語源で覚える" ことを推している単語帳は他にもありますが、本書の特徴は日本人にとって馴染み深いフレーズを初めに紹介し、イラストで印象付けてくれている点でしょう。例えば ped という接辞のページを開いて見ると、自転車のペダルのイラストが描いてあります。日本人に馴染み深いフレーズである "ペダル" と ped 「足、歩」という接辞を結び付けてくれている訳です。
イラストの下には一つの接辞につきいくつか単語が紹介されていますが、それぞれに
・pedestrian = ped「歩」+ ian「人」→ 歩く人 → 「歩行者」
・expedition = ex「外に」+ ped「足」+ tion [名詞] → 外に足を向けること → 「探検、遠征」
・pedigree = ped「足」+ gree「鶴」→ 家系図が鶴の足に似ている → 「家計、血統、起源」
といった感じで、それぞれの単語を「パーツ」に分解し、「なぜその意味になるのか?」を解説してくれています。また本書に掲載されている単語には難解なものはほとんど無く、受験生の皆さんにとって馴染み深いものばかりである点も本書の特徴です。他にも各単語に一文ずつ簡単な例文が掲載されていたり、赤シートに対応していたりと、一般的な単語帳と使い勝手が似ているのも嬉しいですね。
語源で英単語を覚えることのメリットを考えてみましょう。単語の各接辞の意味を覚えることで、共通の接辞を持つ単語を持つ英単語を関連付けて効率的に覚えることが出来ます。expeditionの ex「外に」を pect「見る」と組み合わせることにより、何か良い事がないかと外を見る→ 「期待する、予期する」になりますし、逆に in と spect を組み合わせて inspect → 中を見る → 「点検する、視察する」といった感じで関連付けられますね。効率的に語彙力を増やしていくことが出来るだけでなく、試験中に出会った未知の単語の意味を想像しやすくもなるのも重要です。
本書の帯に「TOEIC TEST600~730点」と書いてあることから分かるように、あくまでも本書は大学受験用の書籍ではなく、最初に挙げたような単語帳の副読本として使うのが良いでしょう。気分転換にペラペラとページをめくっているだけでも「この単語ってこんな語源だったんだ!なるほど!」といった発見が得られ、何よりも英単語を覚えるのが楽しくなるはずです。
2014/10/17 大澤英輝