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文英堂『大森徹の最強講義117講』

 生物を勉強する上で、参考書は欠かせないもののひとつです。生物の参考書を選ぶ際に重視する点としては、①図が多く視覚的に理解できるものであること、②文章がわかりやすいこと、などが挙げられるでしょう。…
 生物を勉強する上で、参考書は欠かせないもののひとつです。生物の参考書を選ぶ際に重視する点としては、①図が多く視覚的に理解できるものであること②文章がわかりやすいこと、などが挙げられるでしょう。

 生物の参考書の多くは、①と②を十分満たしています。しかしここで、③読んでいて楽しいこと、という点を加えてみるとどうでしょう。確かにイラストが多く、また文章がわかりやすく書かれていても、結局教科書を少し噛み砕いて編集し直しただけ、という域を出ないものがほとんどです。こういった参考書は無機質な文章で書かれており、正直に言って読んでいて楽しくないです。おそらく、同じような感想を抱いている方も多いのではないでしょうか?そして、読んでいて楽しい方が勉強する意欲も高まるのではないでしょうか?

 そこでおすすめなのが本書です。本書は、①②の特徴をおさえつつ、授業をそのまま文字に起こしたような文章で書かれています。ですので、話し言葉で書かれていて非常に読みやすく、またイラストつきのたとえ話などが随所に出てきます。さらに、ところどころに単元の内容と関連した発展的な内容を扱ったコラムもあります。例えば、C4植物を扱う単元のコラムでは、C4植物がC3植物よりも光合成速度が高い理由が詳細に記載してあります。これは発展的な内容なので、大学受験に必須の知識というわけではないですが、勉強していれば多くの人がぶつかる疑問を解決してくれる大変面白いものになっています。

 また、単元ごとに「最強ポイント」と題してその単元の重要なポイントをまとめた欄があったり、頻出の論述問題や計算問題がちりばめられたりしています。生物という科目の中では、本当に聞かれやすいポイントがいくつもあります。つまり、知っていなければ答えられない問題がいくつも出題される可能性がある、ということです。しかし、上記の「最強ポイント」や論述、計算問題を網羅できれば、頻出のポイントはほぼすべておさえられます。

 このような要素で構成されているので、本書は頭から読み進めていくことで勉強にもなり、さらに生物学という学問への興味を大いに掻き立ててくれる、というなんとも嬉しい仕様になっているわけです。一言でいえば、「読んでいて楽しい!」のです。これが、本書をオススメする理由です。個人的に、これ以上の参考書はない、と思っています。

 強いて言うならば、この参考書は「調べものをするのにはあまり向いてない」かもしれません。というのも、わかりやすい表現を追求し、また読み物として読みやすいような構成を取っているがゆえにページ数が多くなってしまっているため(なんと800ページ!)、辞書的な使い方をするには少し大変なのです。「なにかわからないことについてパッと調べものをしたい」「ある単元について俯瞰したい」という場合には、図説や教科書のほうが適していると思います。

 ですので、本書は「頭から読んでいくことで生物という科目を網羅的に勉強する」という使い方をするのが最適かと思われます。

 生物の参考書で悩んでいる方は、ぜひ一度手に取って見てほしいです!


2016/5/26 宮崎悠介

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