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【FairWind企画】不合格体験記

皆さんこんにちは。悩める高校生にFairWindメンバーがお答えするこのコーナーの第2回目です。さっそくいきましょう。今回もプー坊が悩める高校生のBくん(高校3年生、東大志望の受験生)を連れてきたようですよ。…





■FairWindについて■
東京大学の学生によって2009年12月に結成された学生団体。
現在東大生約30名で活動し、「東大生との交流を通じて地方の高校生に追い風(=fairwind)を吹かせる」という理念の下、高校生向けのキャンパスツアーや地方での出張セミナーなどを行なっている。
本コーナーの運営団体。
FairWindのサイト

■本コーナーの登場人物(動物?)■
プー坊
困った高校生とFairWindメンバーをつなぐナビゲーターの役割を担っているマスコットキャラクター。
一見可愛らしい姿をしているが、高校生に追い風を吹かせようと必死に頑張っている、という設定。

長瀬さん
東京大学の「後期」教養学部3年。広島県出身。趣味は山登りで、好きな食べ物はお好み焼き。

安井くん
現在東京大学の法学部3年。兵庫県の公立高校出身。好きな食べ物は唐揚げ。

山崎くん
現在東京大学の工学部3年。愛媛県の公立高校出身。好きな食べ物は焼肉。


長瀬
皆さんこんにちは。悩める高校生にFairWindメンバーがお答えするこのコーナーの第2回目です。さっそくいきましょう。今回もプー坊が悩める高校生のBくん(高校3年生、東大志望の受験生)を連れてきたようですよ。

プー坊
こんにちは〜。さて、Bくんは何を悩んでるんだい?

Bくん
はい、僕は受験生なんですが、もう夏だというのに、いまだに一体何をすればいいのかよくわからないんです。たまに勉強してても集中力が続かないし…。しかも不安すぎて不眠症になってしまいました…(目をこすりながら)。東大に合格するための秘訣って、一体何なんでしょうか?

プー坊
うーん、何なのかなあ。そういうことは経験者に聞くのが一番だろうね!
まず、ストレートで合格した人の体験から聞いてみよう!では、長瀬さんお願いします。

長瀬
はい、Bくん、プー坊、こんにちは。特別、これといった受験の必勝法があるわけではありませんが、私の経験が何か参考になればいいなと思います。


◆現役合格体験記◆


Bくん
長瀬さんはいつくらいから受験勉強を始めたんですか?

長瀬
「今日から受験勉強しよう」、と思って始めた日というのはなかったけど、高3の春くらいから少しずつ受験を意識するようになっていました。本格的に受験勉強に取り組んだのは高3の夏休みですかね。

プー坊
何か成功の要因とかってあるの?

長瀬
うーん、いろんな要因が重なってうまくいったんだと思うけど、大きく以下の3つにまとめることができるかな。どれもよく言われることだけどね。

①基礎をおろそかにしない
「受験勉強」というと、解答の書き方とか、何か特別なテクニックを学ぶ必要がある、と思う人がいるかもしれません。もちろん、そうしたテクニックも最終的には必要になります。でも、普段の学校の授業で習う内容である、基礎がしっかりしていないと最終的に伸び悩んでしまいます。例えば、世界史の論述を書くのにも、その土台となる知識がないと書くことはできないですよね。
だから、私は、センター試験が終わった後でも、英語や古文の単語の勉強もおろそかにしないように気を付けていました。また、東大の過去問を解いているときも、分からないところが出てきたときは教科書に戻って確認するようにしていました。

②模試や定期試験の復習をしっかり行う
2点目に、模試や定期試験の復習はしっかり行っていました。1回間違えた問題は、何度も間違えてしまう傾向があります。だから、模試で間違えたところを復習しておくと、自分がよく理解できていない分野の穴を埋めることができるんですね。特に、夏と秋に受けた東大模試については解き直しをするだけでなく、正解した問題についても解説をしっかり読むようにしていました。

<説明しよう!〜東大模試とは〜>
・世の中には各大学の入試問題に特化した模試というのが存在し、東大の場合、河合塾、駿台、東進、代ゼミ、などがそれぞれ実施しています。特に駿台や河合塾が実施している東大模試は受験者も多く、東大受験生の多くが受験すると言われています。  →模試の受け方はコチラ


③完璧を求めすぎない
これは意外といわれていないことかもしれないけど、受験勉強を行う上ではかなり大切なことだと思います。入試の問題は全て解けなければ合格できないわけではなく、東大の二次試験に至っては6~7割解ければ合格できるといわれてます。

受験勉強できる時間は限られています。全ての教科の全ての内容について完璧にしようとするのではなく、自分の現在の学力状況や受験校の入試問題の特色から、どこを重点的に勉強すれば合格ラインの得点が取れるかを考えて勉強し、あまり勉強時間を費やさない科目や分野を作ることを許容したことで、合格点に届くことができたと思います。
また勉強内容だけではなく、受験勉強全体においても完璧を求めないことというのは重要だと思いますよ。勉強の計画を立てることは大切なことだけど、その計画を完全にこなそうとするとどこかで無理が生じる可能性があります。例えば勉強が手につかない時は勉強しない日を作って休む、というように臨機応変に対応していくことで、息切れせずに受験当日まで勉強することができました。

<合格したものからのメッセージ>
①「受験勉強」といえども基礎をおろそかにしない。
②模試はしっかり復習を行う。
③完璧を求めすぎないことが大事。時には息抜きを。




◆不合格体験記<文系編>◆


Bくん
長瀬さん、ありがとう!でも、合格した人の話だけだと、まだ不安なんだよね…。

プー坊
じゃあ今度は、不合格体験ということで、見事東大に一度落っこちて、その後なんとか合格を勝ち取った人の話を聞いてみようか。そうすれば、合格するためには何をすべきか、そして何をすべきでないか、ということがわかるかもしれないよ。

安井
こんにちは、東大法学部の安井です。私は現役の時に一度不合格を体験しているので、ここではその経験を元に話をしてみようと思います。
私は現役時、東大の文科三類を受験し、見事合格者最低点を0.2226点※下回って不合格通知をいただきました。これを読んでいる皆さんはこんな惨めな経験をしないで済むよう、良かったら参考にしてみてください。

Bくん
0.2226点ですか!?そんなこともあるんですね…。

安井
そうです。人生というのは油断大敵ですよ。まあ油断してなくても向こうから不幸が襲ってくることもありますけど…。
さて、まずは私が受験勉強を始めた時期から話しましょう。私が勉強を本格的に始めたのは、部活を引退した高3の6月からでした。私は塾や予備校には通っていなかったので、ずっと家で勉強していました。具体的には、学校指定の教科書や問題集などに加え、自分で買ってきた参考書に取り組む、という感じですね。引退直後の夏休みには、かなり勉強したと思います。今まで1.5あった視力が一気に0.4にまで下がったくらいですから。

※0.2226点→東大の場合、センター試験の点数を900点から110点に圧縮し、440点満点の二次試験との合計550点で合否を判断します。センター試験の圧縮時に小数点以下第4位まで計算するので、このような端数が出るのです。


Bくん
・・・。ど、どのくらい勉強したんですか?

安井
まあ平均すると一日に14〜15時間くらいですかね。ただ、スタート地点は東大志望者の中では結構下の方だったので、猛勉強をしても東大模試ではB〜D判定をさまよっていましたが…。
そんな感じで、かなり夏以降は手応えを感じていましたし、「このまま行って必ず、絶対に現役合格する!」と決めていたのですが、実は秋以降少し嫌なことがあって勉強をすっかりやめてしまいました。一日にペンを一度も持たない、というような日が続いてしまい、苦手を克服しかけていた数学でもすっかり元の木阿弥、ダメになってしまいました。
という感じで、本番直前まで結局A判定は取れずに入試に臨むことになり、自分でも「これは五分五分の勝負だな…」と思っていたわけですが、本番では英語で爆死し、僅差での不合格となってしまいました。落ちた時はかなりのショックで、約一年間引きずりました。(パソコン画面で自分の番号がないのを見たときは、「ああ夢であってくれ」と何度思ったことか…。)
ちなみにこれが私の点数です。現役時にとった点数と、浪人時にとった点数を並べています。

①現役時
英語 数学 国語 日本史 世界史 倫理 生物 合計
センター(現役) 186/200 154/200 177/200 - 97/100 95/100 90/100 799/900
二次試験(現役) 61/120 36/80 65/120 37/60 42/60 - - 241/440
※センター試験の得点を圧縮して二次試験の得点と合計すると、338.6556点となる。ちなみにこの年の文科三類の合格者最低点は338.9222点なので、その差は0.2226点である。

②浪人時
英語 数学 国語 日本史 世界史 倫理 生物 合計
センター(浪人) 194/200 171/200 195/200 - 98/100 83/100 88/100 829/900
二次試験(浪人) 90/120 41/80 63/120 46/60 40/60 - - 280/440
※圧縮したセンター試験の得点と二次試験の得点を合計すると、381.3222点となる。この年の文科一類の合格者最低点は353.4111点であるから、なんとか上回って、見事合格ということになった。

現役時と浪人時の点数をそれぞれを見比べてもらえばわかるように、現役時は二次試験で特に、「英語」が大きく足を引っ張りました。私の場合、自分では英語はけっこう得意科目だと思っていたのですが、若干過去問を軽視しており、そのせいで本番で失敗したように思います。ちなみに浪人時は、この失敗を反省し、『東大の英語25カ年』(教学社)等でひたすら過去問をやりこみ、穴を埋めました。やはり大失敗する科目が一つでもあると、なかなか厳しい戦いになってしまいますね。

Bくん
なるほど。やはり苦手科目も最低限のレベルにはしておかないといけないということですね。ちなみにその後、浪人生活はうまくいったんですか?

安井
いや、宅浪だったため、太陽も見ず、人にも会わず、ひたすら部屋にこもって勉強し、危うく精神を病みそうでしたよ。まあ、落ちた時の点数がけっこうギリギリだったので、さほど勉強に集中しまくる、という感じでなくても結果的に合格することができましたが、そうでない人には宅浪はあまりおすすめできません。とにかく、浪人してもいいことは何もありませんよ。

<説明しよう!〜浪人生活の選択肢〜>
浪人にもいろいろあります。安井くんのように宅浪(予備校等に通わずに家にこもって浪人すること。自宅浪人の略)をする人もいれば、予備校に家から毎日通う人、予備校の寮に入る人、またまた高校で4年生(!)をする人もいるそうです。


Bくん
(そうならないように僕は勉強しなきゃ…)

<落ちた者からのメッセージ>
・東大模試や京大模試など、各大学向けの模試があるので、志望者は必ず一度以上受けて自分の立ち位置を明確にしておこう。
・浪人は時間とお金の無駄。現役で合格するのが一番。浪人するつもりで現役時も受験する者は、概して浪人しても不合格のことが多い。
・宅浪は、精神的にかなり厳しいので、もし経済的な事情等でどうしても避けられないならば、覚悟を決めてやろう。




◆不合格体験記<理系編>◆


プー坊
なるほどね、じゃあ次は理系の人の不合格体験を聞いてみよう。それでは工学部の山崎くん、お願いします!

山崎
だいぶ唐突ですが、こんにちは。工学部の山崎といいます。私の不合格体験を聞いて、現役合格できるよう参考にしてみてください。
私が本格的に受験勉強を始めたのは、高2の3月からでした。長瀬さんよりも早く勉強を始めたのですが、それでもうまくいかないことがあるんですね。 私の場合、それまでも学校の勉強の他に、高2用のZ会の添削(英数国)や参考書(青チャートなど)で自主的な勉強をしていましたし、高2の3月からは受験を意識して、Z会の東大コースも始めていました。その甲斐あってか、高2に入ってから少し下がり気味だった成績も上向いてきて、これはいけそう、という感じでした。(この後面白いように転落していきますが…。(泣))

<説明しよう!〜人生いろいろ、通信教育もいろいろ〜>
・通信教育にもいろいろあります。たとえばご存知ベネッセやZ会を始め、小論文対策で有名な白藍塾、また参考書の付録で出版社が行っているもの(例えば河合塾の『世界史論述』等)もあります。それぞれの特徴を掴んで自分にあったものを利用してみると良いでしょう。


山崎
ということで、高3の4・5月頃はこのまま勉強していけば現役で合格できる、という感じでしたが、6月、突如としてそのペースが崩れました。というのも、この時、運動会の幹部決めというものがあったからです。僕は他の幹部のノリが好きではなかったのであまりやりたくなかったのですが、結局幹部の仕事をやらされてしまいました。幹部というのは、簡単にいうと運動会の応援や劇の準備をするなどの仕事の統括をする役割でした。これが6月から9月の半ばまである、つまり受験の天王山と呼ばれる3年の夏休みにやらないといけなかったわけですね。ただでさえ大変な受験勉強と並行してやりたくないことをやるというのは辛かったです。

プー坊
なるほど、それは大変でしたね。

山崎
ただ、私が伝えたいのは、行事に力をいれるな、ということではありません。行事の中でも一人一人に適した役割は様々(リーダー、サブ等々)で、リーダーだけがいいのではありません。私が伝えたいのは、自分に合った役割を見つけて、行事を楽しんでほしいということです。

Bくん
なるほど、ではその後、勉強の調子は下がってしまったんですね?

山崎
そうなんです。この頃からZ会も提出ペースが落ちて、答案がたまっていきました。夏休みは両立がうまくいかず、満足のいく勉強ができませんでした。それでも、夏休みまでに受けた模試は成績をキープできていたのですが、9月後半に受けた模試は散々でした。9~11月頃も成績は振るわず、センター模試の国語が6割程度、記述式の模試も偏差値が夏より5~10くらい下がるという惨状でした。12月には少し成績が回復し、その後のセンター本試もうまくいきました。ですが、センター対策しか十分にできておらず、二次対策が不十分なままでした。その結果として案の定、東大から不合格通知をいただきました。


<山崎くんの適当成績グラフ>



プー坊
なるほどなぁ、自分では頑張っていても、突然嫌な出来事があると対応するのも大変だよね。人生には避けられない出来事も多いし、なかなか難しいもんだね、Bくん。

Bくん
そうだね、でも僕なりになんだか頑張ってみようという気になったよ、プー坊。

山崎
ま、今は大変だと思うけど、頑張って勉強してください、Bくん。合格すればきっと楽しい大学生活が待っているはずです!
あ、あとプー坊はお礼に焼肉でもおごってください。いやぁ美味しいポークでも食べたいなー。ね、プー坊。ふふふ…

プー坊
えー!!

<落ちた者からのメッセージ>
・自分に合った役割を見つけて高校の行事を楽しみつつ、メリハリを付けて勉強しよう。
・東大志望者はセンター試験対策に集中しすぎて二次試験対策を疎かにしないように!
・高3の夏はなんとしても勉強しよう。みんな勉強しているのですぐに追いつかれてしまう。


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