特集ブログ

東大数学の過去問と解説(確率分野)

分野別過去問解説の第一弾です。今回は確率分野から二問。


問題1

まずは2012年理系第二問,文系第三問です。


問題1:図のように,正三角形を9つの部屋に辺で区切り,部屋$P,Q$を定める。1つの球が部屋Pを出発し,1秒ごとに,そのままその部屋にとどまることなく,辺を共有する隣の部屋に等確率で移動する。球がn秒後に部屋$Q$にある確率を求めよ。


問題1の解答

図のように各部屋に番号をつける。$n$秒後に部屋$Q$にいる確率を$p(n)$とおく。 $P$から奇数回の移動後には必ず$1,2,4,5,7,9$のいずれかにいて,偶数回の移動後には必ず$P,6,Q$のいずれかにいることに注意する。

よって$n$が奇数のとき$p(n)=0$である。


以下,$n$が偶数のときを考える。対称性より$n$秒後に部屋$6$にいる確率は$p(n)$となる。また,余事象の考え方から$n$秒後に部屋$P$にいる確率は$1-2p(n)$となる。


次に$p(n)$と$p(n-2)$の間の関係式を作る。$n$秒後に部屋$Q$にいるのは,以下の三パターンのいずれかに場合分けできる:
・$(n-2)$秒後に部屋$P$にいて,そこから$P→4→Q$と移動する
・$(n-2)$秒後に部屋$6$にいて,そこから$6→7→Q$と移動する
・$(n-2)$秒後に部屋$Q$にいて,そこから$Q→(4$ or $7$ or $9)→Q$と移動する
よって,$p(n)=(1-2p(n-2))\cdot\frac{1}{3}\cdot\frac{1}{2}+p(n-2)\cdot\frac{1}{3}\cdot\frac{1}{2}+p(n-2)\cdot\frac{1}{3}(\frac{1}{2}+\frac{1}{2}+1)$
整理すると,$p(n)=\frac{1}{2}p(n-2)+\frac{1}{6}$


これは単純な二項間漸化式である。特性方程式の解が1/3であることに注意すると,$p(n)-\frac{1}{3}=\frac{1}{2}(p(n-2)-\frac{1}{3})$と変形できる。これと初期条件$p(0)=0$より, $p(n)=\frac{1}{3}(1-2^{-\frac{n}{2}})$を得る。


問題1のポイント,補足

・漸化式を立てて確率を求めるという東大で頻出の問題です。
・偶数,奇数で分けて考える&対称性に注目することで変数の数を減らす(単純な二項間漸化式を導く)というのがポイントです。
・$n$が十分大きいとき部屋$P,6,Q$にいる確率は均等になりそう,つまり$p(n)=1/3$と予想できます。実際答えの極限を考えると1/3になることが分かります。このように極限を考えることで検算になります。



問題2

続いて,1995年理系第五問,文系第三問です。


問題2:サイコロを$n$回投げて,$xy$平面上の点 $P_0,P_1,\cdots,P_n$を次の規則(a),(b)によって定める。
(a)$P_0=(0,0)$
(b)$1\leq k\leq n$のとき,$k$回目に出た目の数が$1,2,3,4$のときには$P_{k-1}$をそれぞれ東,北,西,南に$\frac{1}{2^k}$だけ動かした点を$P_k$とする。また$k$回目に出た目の数が$5,6$のときには$P_k=P_{k-1}$とする。ただし$y$軸の正の向きを北と定める。このとき以下の問に答えよ。
(1)$P_n$が$x$軸上にいれば,$P_0,P_1,\cdots,P_{n-1}$もすべて$x$軸上にあることを示せ。
(2)$P_n$が第一象限$\{(x,y\mid x> 0, y > 0)\}$にある確率を$n$で表わせ。


問題2の解答

(1)一回$x$軸からはみ出ると戻ってこれないことを証明すればよい。$k$回目ではじめて$x$軸からはみ出た場合,$P_k$の$y$座標の絶対値は$\frac{1}{2^k}$である。
また,$k+1$回目から$n$回目までの移動距離は最大で,

$\frac{1}{2^{k+1}}+\frac{1}{2^{k+2}}+\cdots+\frac{1}{2^n}$

であり,$\displaystyle\frac{1}{2^k}\sum_{i=1}^{\infty}\frac{1}{2^i}=\frac{1}{2^k}$未満である。以上により題意は示された。


(2) ・$P_n$が第一象限にある確率を$p$とおく。対称性より他の象限にある確率もそれぞれ$p$となる。
・$P_n$が$x$軸上にある確率は,(1)より$n$回とも2と4が出ない確率であり,$(\frac{4}{6})^n$である。$y$軸上にある確率も同じである。
・また,$P_n$が原点にある確率は,$n$回とも5か6が出る確率であり$(\frac{2}{6})^n$である。
以上により,$4p+2(\frac{2}{3})^n-(\frac{1}{3})^n=1$という式が成り立つ。これを$p$について解くと,$p=\frac{1}{4}\left\{1-2(\frac{2}{3})^n+(\frac{1}{3})^n\right\}$


問題2のポイント,補足

・確率を全て足すと1になる,というのが(2)のポイントです。
・某参考書によると比較的難しい問題とされていますが,考え方はそこまで難しくありません。1つずつ丁寧に処理していくのみです。
・東大の問題の多くは本問のように「典型的でない&問題文が長め」なので受験生が面食らって平均点が下がりやすいです。このような問題に直面しても動揺せずにに落ち着いて問題文を読むことが重要です。


まとめ〜東大確率の傾向〜

・東大では漸化式をたてて確率を求める問題が頻出。対称性,余事象に注目するとうまくいくことも多い。より深く勉強したい人は「マルコフ連鎖」を調べてみるとよい。
・確率以外の議論が必要になる問題も多い。見たことがない&問題文が長い問題でもよく読むと実は簡単ということもある。「東大の問題だから難しい」「問題文が長いから難しい」などという先入観は排除すべき。

list page 

ソーシャルボタン

公式Twitterアカウント