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二次得点の常識 第2回:文系数学

 点が取れるときとそうでない時の差が激しい教科の筆頭・数学。受かるかどうかは数学次第と嘆く受験生も例年多く見受けられます。…
 点が取れるときとそうでない時の差が激しい教科の筆頭・数学。受かるかどうかは数学次第と嘆く受験生も例年多く見受けられます。


■出題内容■
 形式はずっと大問4題・試験時間100分・80点満点で、おそらく今後も変わることは無いでしょう。第何問にどの単元の問題が出る、といった傾向は無く、難易度も含め概ね問題番号にこだわりは無いようなので、配点は単純に1問当たり20点で間違いないと思われます。
 各大問は0~3の小問に分かれており、それを単純計算で1問当たり25分ずつで解いていくことになるわけですが、この25分という時間は重めの問題を解くには短めで、試験時間をどう使っていくか戦略を練ることは東大入試突破のための重要な要素になっています。

 前述の通り東大数学では大問ごとの出題内容が決まっていないのですが、東大が好んで出題する単元というものは存在していて、ここではその東大頻出の単元について簡単に紹介しておきたいと思います。

場合の数・確率
 毎年まず間違いなく出題されます。数え上げや確率の積の法則を使うことになる問題も勿論出題されますが、東大数学というと確率漸化式の印象が強いですね。着手したら解き始めの早い段階で、どの解法を選ぶのが最適なのかを見極められる眼を養っておきたいです。また、偶奇などの場合分けに気付くことが必須・もしくは気付けるととても簡単になる問題も少なくなく、普段の演習から「どうしてこの解法だと間違いになるのか」と考えるなど、分析する力を軽んじない姿勢が大事になると言えます。
 問題によっては、わかりづらい文章が長ったらしく書いてある場合もあります。世の中の文書とは得てしてそんなもので、“わかりやすさ”と“正確さ”は必ずしも共存しないのです。その正確な問題文に対しては、自分の言葉でイメージをつけて分かりやすく状況を把握して、答えを導くに至れる力強い読解力が求められます。何にせよ、“場数を踏む”というのは最良の対策になるでしょう。

整数
 こちらもかなりの高頻度で出題されています。2000年代は“定石”を正しく運用した上で、さらにひとつまみの発想力・着眼がポイントになって完答できるような問題が多かったのですが、最近は割と本格的な難しい問題が増えてきたように感じます。問題の性質上パターンだけではどうしようもないものでもあるので、基本的な処理さえ施したら、あとは試験時間のかけ方を間違えないよう気を付けることが肝要です。

図形と方程式
 東大数学では軌跡や領域といった形での出題が印象的ですが、出題は座標平面上の図形に関する標準的な求値問題と半々くらいでしょうか。軌跡・領域の問題は理系の問題と共通のことも多く、人によっては難しく感じられる人もいるかと思います。共通でないものとして、かつては線形計画法の問題をよく目にしました。
 後者の求値問題の場合は正確な計算力がものをいうところです。文系の問題の場合、内容が一本道で素直に計算を進めていくことだけが問われているようなものも多いですから、正しい答えが出せるようになるということを姿勢として最優先してください。

微分・積分
 この単元がメインに出題された場合、基本的には単純な計算問題となります。大した発想力を必要としないということは、途中の小さな計算ミスも大幅減点を免れないでしょう。「方針だけ確認できたからオッケ~」といった普段の学習態度はとても褒められたものではありません。ちなみに一時期は定積分が人気でしたが、ここ数年は微分の問題が目立ちます。まあ結局、どちらも十分できるようにして本番に臨まねばならないのですが。

 最後に、単元という“縦割り”のことだけでなく、“横割り”のことにも目を向けておいてほしいということも伝えておきます。例えば上にも少し書きましたが、図形問題を見たら、座標の導入・ベクトルの活用・幾何的性質の利用のうちどれが使えそうかを考える癖はついているでしょうか。問題文が座標で書いてあるからといって、いつも方程式を使って解くことが最善とは限らないのです。他にも、最大・最小の議論なんかは解法のデパートですよね。一通りの教科書的学習を終えたら、問題に応じて解法を選べるだけの“引き出し”を作ることを心がけてください。


■参考得点■
・得意なら目指してみよう……70点
・標準的な目標……56点
・苦手でもここまでは……40点
・本番で大失敗……20点

 東大入試において、数学は最も安定しにくい教科であるのと同時に最も差のつきやすい教科になっています。出来る人は70点近くの高得点を平然と叩き出してくる一方で、苦手な人は40点行けばいい方……しかしながら、実はこの点数差に惑わされないことが合格のためには超重要です。なぜならば、数学で70点取る人が他教科でも合格者の標準的な点数を取るならば、その人は合格ラインすれすれのボーダー争いに参加することなく余裕で合格するから――逆に言えば、数学が40点しか取れなくても他がキッチリと標準レベルまで出来ているならば、十分合格争いに加わることができるからです。この辺りの話は最終回の総括で改めて考えますが、とにかく数学40点くらいまでなら一般的にギリギリ他教科でカバーし切れます。40点は、“1完(1問完答)”とほぼ完答のもう1問(最後をちょっと間違えるくらい)、加えて他で少しばかり部分点を稼いでいれば取れます。1完2半(1問完答2問半答)でも良いでしょう。70点取れる人もいる中で自分が40点しか取れないという事実は焦るかもしれませんが、だからと言って無闇に数学ばかり勉強するのではなく、冷静に自分の全科目のターゲット得点を確認することです。
 数学が取り立てて苦手というわけでは無い人は、とりあえず“2完(2問完答)”を目指してみてください。2完できていれば、他の大問の部分点も合計して大体50~60点くらいになってくるはずですが、この点数を安定して取ることができるようなら、十分な数学の力がついていると言えるでしょう。

2014/12/8 石橋雄毅

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