窒素ガスと水からの触媒的アンモニア合成反応を可視光エネルギーにより駆動することに成功! ―常温常圧の反応条件下でのグリーンアンモニア合成法のさきがけ―
東京大学大学院工学系研究科の西林仁昭教授らによる研究グループは、アンモニア合成触媒であるモリブデン錯体と光誘起電子移動触媒であるイリジウム錯体の…
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2025年06月16日
東大のプレスリリースから、大学入試の勉強にも関わる話題をご紹介します。
アンモニアは、その生産量の80%以上が肥料として使用されており、
20世紀の人口爆発を支えた重要な物質といえます。
また、アンモニアは燃やしても二酸化炭素を排出しないことから、
近年ではクリーンエネルギーとしても注目されています。
(東大化学の入試問題でも、この話題が出題されたことがありますね。)
しかし、アンモニアの生成過程では二酸化炭素が排出されるという課題があります。
現在、アンモニアの多くはハーバー・ボッシュ法で製造されていますが、
この方法で使用される水素は、天然ガスから取り出されるため、
その過程で二酸化炭素が排出されてしまうのです。
また、高校化学で学ぶとおり、ハーバー・ボッシュ法は高温・高圧の条件下で行われるため、
その条件を維持するのにも多くのエネルギーを必要とします。
そこで、リンク先の記事でも紹介されているように、
水を水素源として用い、穏やかな条件下でアンモニアを合成する新たな方法が研究されています。
記事中では、「モリブデン錯体」という触媒も登場します。
モリブデンという元素はあまりなじみがないかもしれませんが、
高校生物でも登場する、窒素固定細菌がもつ酵素「ニトロゲナーゼ」にも含まれる元素です。
窒素固定細菌は、常温・常圧で空気中の窒素からアンモニアを合成できるため、
こうした研究にも大きなヒントを与えているのでしょう。
20世紀の人類を支えたといっても過言ではないハーバー・ボッシュ法。
開発からすでに1世紀以上が経ちましたが、
それに代わる新たなアンモニア合成法が登場する日も、そう遠くないのかもしれませんね。