理科の問題冊子に物理の次に収録されているのは化学。殆どの理系受験生が「物理・化学」か「化学・生物」を選択するので、東大入試の理科の中では最も選択者の多い科目です。
■出題内容■
試験時間・配点は他の理科科目と同様2科目150分・60点満点。大問3題構成ですが、近年では1つの大問がⅠ・Ⅱと分かれた2つの異なるテーマから構成されるのが常となっており、実質的に6題あるように感じるはずです。
番号 |
出題内容 |
配点 |
第1問 |
理論化学 |
20点 |
第2問 |
無機化学・理論化学 ・ |
20点 |
第3問 |
有機化学 |
20点 |
第1問
東大化学では総合的な問題がよく出題されるため、必ずしも大別できる訳ではありませんが、第1問は例年理論化学を主眼に据えた問題が出題されます。とりわけ目立つ分野としては反応速度や熱化学、気体に関する問題などでしょうか。題材には一般的な問題集であまり見ないようなものがよく用いられ、ただの計算問題にしても自分で問題文を読解・咀嚼し、何が起こっているのか思考・解釈しながら立式していく必要があります。そのような問題を出す大学は他にもありますが、問題の作り込みから題材の面白さまで鑑みて、東大化学はその中で傑出していると十二分に言えるでしょう。
目新しい問題が出るからと言って、何か高度なことに手を出さなければならないかというと勿論そんなことはありません。高校化学の基礎知識をしっかり身に着けている人が読めば、迷いなく正答に辿り着けるような問題文・構成になっています。むしろ“その場で考える”問題だからその場で考えればいいや~と基本事項を疎かにすることの方が危険。その場で考える前に、問題文の読解がおぼつかなくなります。
また比重は大きくないものの、メインテーマの目新しい題材に関連させて、標準的な知識を問う問題も時に散りばめられています。単に現象名を聞くこともあれば、何か物質の性質についてその理由を論述させるような場合もあります。特に化学反応式を書かせるものは要になると言え、これが書けないと続く計算問題も解けません。
第2問
続く第2問では無機分野の色が濃くなりますが、これも総合問題ゆえ理論化学と厳密に分けることができません。ここでの主要な出題テーマは、滴定や電池と電気分解、加えて無機物質の性質として元素分析や物質の製法、錯イオンなど。第1問に比べれば純粋に知識のみを問う問題の割合が増えるので、試験終盤の時間が無い中でも必ず、この第2問に関しては特に、さっと一通り目を通しすぐ答えられそうなものを探すべきだと言えます(無論、これは試験一般についていつも言えることです)。あとは基本的に第1問と似たようなもので、一筋縄ではいかない目新しい問題への心構えを整えておきましょう。
第3問
最後は必ず有機化学。東大化学の有機と言えば長いこと構造決定が定番で、ここの点数が最も安定するがゆえにまず第3問から解き始めるのは東大化学の定石だったのですが、ここ数年急に合成経路やポリマー、高分子化合物といった、学習が手薄になりがちな有機化学の“最後のほう”がよく、というかそればかり出題されるようになりました。古い過去問ばかり解いていて、構造決定の練習しかしていなかった人は注意してください。
有機化学という分野はもともと思考力を必要とする場面が多いものなので印象が薄くなりがちですが、東大化学第3問も第1問・第2問と肩を並べる程度には読解力・思考力を必要とします。構造決定は勿論ですが、例えば謎の薬品が謎の操作で調整されていく中で、時々垣間見える性質をもとに要求された知識を答えるのは、確かに知識問題と言えるのかもしれませんが相当に頭を使います。基本事項を頭に入れたら、過去問や模試など、東大形式の問題での演習を特に入念に行っておくべきでしょう。
■参考得点■
・得意なら目指してみよう……50点
・標準的な目標……40点
・苦手でもここまでは……30点
・本番で大失敗……20点
化学は得点が安定する理系科目の代表格ですから、化学だけを考える場合において点数が大きく上下することはないことと思います。中位~上位層には、秋口の過去問演習の時点で30点台をコンスタントに取ってくる人も決して少なくないです。ではそういう人達が本番でどのように大失敗するかというと、例えば理科のもう一つの科目の方に時間を使い過ぎてしまった場合。理科は試験2日目の最初の科目ですし、前日の数学の出来を引きずるなどして緊張してしまうことも十分に考えられるでしょう。人間はいっぱいいっぱいの時ほど柔軟な対応ができなくなりますから、この事態を想定して「物理を始めて80分経ったら途中でも必ず切り上げて化学に入る」といった機械的なルールを設けておくなど、対策を用意しておいて損は無いかもしれません。
そもそも、多くの人にとって東大理科は時間に余裕の無いものでしょうから、ある程度学科の勉強が落ち着いてきたら、最終的には試験時間を効率よく使いこなすことが何より大きく結果を左右します。試験時間が終わって一通り解き直してみたら、「この問題、どうしてやらなかったんだ!」と頭を抱えてしまうような経験、入試までに何度も経験してください。その一回一回での反省を活かし、自分なりに試験時間を最も有効に活用する術を身に着けることが、本来の自分の実力相応のターゲット得点に指をかけるカギのひとつとなるでしょう。
2014/12/19 石橋雄毅
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