今回は2007年度入試第2問の(B)です。天下の東大の入試問題とは思えないような可愛らしいイラストが印象的です。イラストの状況説明をさせる問題形式は2005年度第2問(A)と今回扱う2007年度入試で出題されただけですが、2013年度、2014年度では写真が提示され、その状況での会話を創作させる、今回と似た形式で出題されています。
「下の絵に描かれた状況を自由に解釈し、40~50語の英語で説明せよ」との指示ですが、『自由に』とは言うものの、現実的にはこのイラストにはごく限られた解釈方法しか無いように思えます。「男の子がUFOの本を読んでいるときに本物のUFOが現れて…」といった内容に少し肉付けするだけで語数制限は十分クリアーできるでしょう。
もちろん「実は女の子はエイリアンの化身で男の子をUFOへ連れて行こうとして...」だったり、「女の子が男の子を驚かすために窓にUFOのシールを張っていて…」といった突飛な発想をしても良いのでしょうが、それらのストーリーを50字に納めるのが大変な気がします。(それ以前に私には東大入試本番でそんなに攻めた答案を作る勇気がありません(笑))
今回のような問題形式のときに、生徒からしばしば「時制はどうすればいいの?」といった質問を受けます。結論から言えば現在形、過去形のどちらでも構いませんが、答案中で複数の時制が混在しないよう、必ず時制を統一しておきましょう。
■O君の答案
今回も前回同様、私の友人のO君にまたまた答案を作ってもらいました。
内容としてはオーソドックスなもので問題なさそうですが、語法にいくつか気になるポイントがあります。一つ目は "book of UFOs" の表現です。誤りではありませんが、「〜についての本」は "book on economics" のように前置詞に on を伴うことがあります。of や about は馴染みがありますが on は見落としがちなので注意しましょう。
"UFO out of the window" は減点されてしまいそう。今回は out of ではなく、outside が適当です。"He got out of the car." のように、out of は「(〜の中から)外へ」といった意味を持っています。into の対義語と言えばイメージしやすいでしょうか。
"he didn't trust her" という表現も引っかかります。確かに trust は辞書で引いてみると「信じる」といった意味が掲載されていますが、「(人の人間性、誠実さを)信頼する」といった文脈で使われるのが一般的です。今回は trust ではなく believe、あるいは単に listen to を使うだけでも十分にニュアンスは伝わるかと思います。
trust の例からも分かるように、英語と日本語は必ずしも全てが一対一対応している訳ではありません。単に英単語とその和訳を覚えるのではなく、例文や用例まで目を通して「どんな文脈で使われる語なのか」、「どんなニュアンスを持つ語なのか」を大雑把でも構わないので理解しておきましょう。物語の読解でも役に立つはずです。
O君の答案を少し弄ると以下のような答案が書けそうです。
A young boy was really interested in the UFOs. When he was reading the book about UFOs, his girlfriend noticed that there was an actual UFO outside the window. Though she excitedly tried to tell him that, he didn't listen to her and failed to see it.
その他の解答例
A young boy was really absorbed in reading a book on UFOs when his girlfriend noticed that there was an UFO in the sky. Although she trying to make him notice that, he didn't believe her and pay no attention to the outside.
・be absorbed in A・・・「Aに没頭している」
・make O do・・・「Oに〜させる」
・pay attention to A・・・「Aに注意を払う」
2014/8/15 大澤英輝