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東大入試の解答用紙 第5回:化学

 東大化学の解答用紙は、ここ20年以上次の形式となっています。

⇒PDFファイルダウンロード(全年度共通)

■サイズ■
 理科4科目共通で、A3程度の大きさの解答用紙1枚の表面に第1問・第2問用の解答欄が、裏面にそれらのほぼ倍の大きさの第3問用の解答欄が配置。第1問・第2問の解答スペースは実質B5程度、第3問は実質B4程度となっています。第1問・第2問には25行分の罫線が引かれていますが、インクの色が濃いので正直かえって書きづらいです(行を跨いで文字を書くのに見づらかったり分数式の括線がとけこんでしまったり……)。

 近年の東大化学では大問1つがⅠとⅡの2つの別のセクションに分かれており、感覚的には大問が6問あるようなものです。それら2つのセクションを1つの欄に書くことになる上、最近は大問1つ当たりの小問数が大体10を超えるので、解答欄の余裕は殆どありません。


■特徴■
 上端に、科目選択用の切り離し箇所があります。今まではハサミで切り取るものだったのですが、2015年度入試からミシン目が入って、手でちぎれるようになりました(当サイトには従来のものを掲載)。解答用紙が全科目同じなので、これで採点業務の効率化を図っているものと思われます。

 第3問の解答欄が他の倍の大きさですが、化学では例年第3問が有機化学となっており、特に大きな化合物の構造決定の問題などではその広さを存分に活かせます。ただ、解く上での負担が倍になっているとは考えにくく、やはり大問としてはほぼ同じ程度の重さの問題が3つ並んでいると思ってください。


■使い方■
 解答欄の使い方が自由であるとは言え、答えには下線を引く、途中の問題を飛ばしていても番号の順に書くなどといった基本的なことは守りましょう。書いてあることは分かりづらくても何とか拾って採点してくれるものかもしれませんが、成績の良い人の多くは見やすい答案を作ってくるのも事実です。

 導出過程は、物理と違って問題文で指定された場合にのみ書けば十分です。その記述も、そこまで詳しくなくとも大丈夫だというのが通説です。最近は問題数が多く、一問当たりの配点を小さくせざるを得ないので、部分点を設定しづらいと考えられているためです。

 前述の通り、記述を少なくしても設問数が多く欄に余裕はないので、他の理系科目と同様に欄を二分割して記述するのが一般的となっています。かつては「○行以内で説明せよ」という問題も多かったのですが、最近の説明問題は大体字数が指定されるようになっているので、支障は殆どありません。

 ただ、解ける問題から解いていく姿勢を大切にするならば、Ⅰを解き切らないうちにⅡに手を出してみる場面や、そもそもⅡから解き始める場面は少なくないでしょうが、そんなときには何も考えず二分割した右側からⅡを書いていくのがオススメです。Ⅰの記述量が多くⅡが少なくて、後で戻って解いてみた結果Ⅰが左半分に収まらないこともあるのですが、多少見栄えは悪くても下の画像のような応急処置は認められるでしょう。レイアウトに凝りすぎて時間を浪費してしまっては元も子もありませんからね。


 こういったやりくりに慣れるためにも、過去問を解く際には是非、上のPDFファイルをダウンロードして印刷し、実際に自分で書いてみてください!

2015/12/16 石橋雄毅

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