受験勉強を結構根を詰めてやってきたけど、たまには息抜きしたい。
でも勉強の内容から思い切り離れてしまうのはちょっと罪悪感を感じる…
こんなジレンマにかられる方もいらっしゃることと思います。(あれ、僕だけですか?)
そんな時にオススメなのが、面白いけどためになる本を読むことです。国語だと「古典の息抜きに『あさきゆめみし』を読んだ」というお話をたまに聞きます。
その日本史版として最適な本が今回ご紹介する『謎とき日本近現代史』です。最近は一般の方向けに「歴史を知るのに良い本」としても取り上げられる機会が度々あり、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
著者は大学で日本史専攻→有名予備校で東大対策含めた日本史講座を担当してきた日本史学習のプロ。親しみやすい語り口ながらも大学入試に通じる知識や歴史の見方が散りばめられています。
本書は、明治〜昭和時代の歴史的な出来事がどのようにして起きたのかを考察する形式で進みます。取り上げられているテーマは以下の9つ。
①日本はなぜ植民地にならなかったか ②武士はなぜ自らの特権を放棄したか
③明治憲法下の内閣はなぜ短命だったか ④戦前の政党はなぜ急成長し転落したか
⑤日本はなぜワシントン体制を受け入れたか ⑥井上財政はなぜ失敗したか
⑦関東軍はなぜ暴走したのか ⑧天皇はなぜ戦犯にならなかったのか
⑨高度経済成長はなぜ持続したか
大体のテーマは小中高の歴史学習で既に聞いたことがあると思います。しかし、それらについて「なぜそうなった?」「どのように起きた?」と聞かれるとなかなか答えるのが難しいのではないでしょうか。
本書を読んでいくと、「こうした問いを持って歴史上の出来事を見ることが歴史を知る・勉強することなのか…」ということが良く分かってきます。そして、実はこの姿勢こそが東大日本史で問われている力なのです(と個人的に思っています)。
東大過去問を解き進めている方であれば「あれ、過去問で似たような問題を見たことがあるぞ」と思われる方もいるかもしれません。実際、③⑥などは過去にほぼ同じテーマが入試問題になっています。そうした意味でも、東大日本史志望者にとって本書は必読書と言っても良いでしょう。
使うタイミングや方法は様々あるでしょう。
過去問で類似テーマを解いたら答え合わせ的に読むも良し、センター試験間際などで二次試験対策が手薄になる時期に読むのも良いでしょう。近現代史学習が遅れている方は現在の学習と並行して読み進めてしまっても良いかもしれません。
勿論、高1高2の方が「東大日本史ってどうなんだろう?」ということを知るために手始めに読むのもオススメです。
新書系でより東大入試の問題に特化した書籍も別にあります。それについては、また別の機会にご紹介したいと思います。
2016/09/01 根本