英作と和訳といえば、書くのに時間がかかる割にそこまで配点が高いわけでもない、という印象が強いかもしれません。東大の英語は「時間のやりくり」が難しさの一つだと思うのですが、そういった意味でも英作と和訳は……
今回は記述問題の代表ともいえる、英作・和訳の参考書についての紹介です。
■コストパフォーマンスを考える■
英作と和訳といえば、書くのに時間がかかる割にそこまで配点が高いわけでもない、という印象が強いかもしれません。東大の英語は「時間のやりくり」が難しさの一つだと思うのですが、そういった意味でも英作と和訳は、「なるべく時間をかけず、点を落とさない」、というのが戦略になると思います。不要語句削除問題も含めれば、第2問と第4問は合わせて30~40分ほどで切り抜けられるとベストです。
■書く!書く!書く!■
英作と和訳のトレーニングでなによりも重要なのは、「実際に書く」ということです。自分のわかる所や書ける所まで書いて、解説を読むだけで終わっている人がよくいます。もっと極端な例だと、問題と解説をただ眺めて終了、という人もいます。もしそのような勉強をしてきた人がいたら、今からでも遅くありません。ぜひ改めて、実際に書く癖をつけてみましょう。実際に書いてみることで、自分が実はわかっていない所、わかったつもりになっていた所が見えてくるはずです。まったくわからなければ、解説を写すだけでも違ってくるはずです。腱鞘炎になるくらい書きまくってください!
■英作の参考書■
さて、まずは英作の参考書からです。
東大の英作は基本的に自由英作の形になりますが、考えていることがあってもそれが文法的に正しく書けなければ点はもらえません。文法力がない、あるいは表現を知らなければ、せっかく書く内容が思いついてもそれを書くことができない、すなわち「思想の自由」が脅かされるわけです(笑) そこでまずは「和文英訳をできるようにする」という目標をたて、それをクリアするための参考書を紹介したいと思います。
「大矢英作文講義の実況中継」語学春秋社
おなじみ実況中継シリーズのひとつになります。文法の基礎~自由英作まで幅広く問題が扱われており、自由英作だけでなく文法の復習も兼ねることができます。実況中継シリーズの長所でもあるのですが、講義を聞きながら解くような形式になっているので、進めやすいのも利点です。ある程度文法が固まっている人におすすめです。
「竹岡広信の英作文[原則編]が面白いほど書ける本」中経出版
「よくばり英作文」駿台文庫
両者とも駿台講師の竹岡広信先生が書いている本になります。印象としては上が「頻出表現」をメインに、下が「文法事項」をメインに書かれた本といった感じでしょうか。どちらも文法、表現などの英作の土台を固めたい人におすすめです。全問題数や構成が大きく異なっているので、書店で自分に合いそうな本を選んでみましょう。
英作の勉強の仕方に軽く触れておくと、英文を書いた後に模範解答と比べて、改善点などでてきた場合に、そのポイントをまとめておくとよいでしょう。そこで出てきた表現や文法事項は、まだ身についていない可能性もあるし、あとに残しておけば英作対策としても文法対策としても使えます。「ポイントをまとめておく」、ぜひ実践してみてください。
また自由英作といえど、東大の英作の採点は文法重視のようです。文法ミスがなく、内容があまりにもずれているということがなければ、ほぼ点がくるとみてよいでしょう。まずは「穴のない英文」を書くことを目標にしましょう。
■和訳の参考書■
次に和訳の参考書を紹介します。
「基礎英文解釈の技術100」ピアソン桐原
平均4~5文の英文を訳していく参考書になります。この参考書のいいところは分量の少ない英文を多く読めるところだと思います。本のタイトルにある通り100題(類題を合わせれば200題)の英文が読めます。構造把握がまだうまくできない人や、コツコツ進めていける人に向いています。
他にもシリーズで「入門英文解釈の技術70」、「英文解釈の技術100」という参考書もあります。前者が少しやさしめ、「基礎」のついていない後者はいくぶん難しめ、といった感じでしょうか。東大を目指すのであっても、「基礎英文解釈の技術100」を一通りやれば十分だと思いますが、初級からやりたい人、またはさらに英文解釈を極めたい人は、参考にしてみてください。
「基礎英文問題精講」旺文社
1パラグラフ程度の英文(80題ほど)を訳していく参考書になります。僕は高校1~2年でこの参考書を使っていましたが、かなり体力を要する参考書、という印象です。英文の難易度も易しくはないので、馬力がある人、または時間のある高校1~2年生におすすめです。やりきれば確実に力はつきます。
「ビジュアル英文解釈[PARTⅠ]」駿台文庫
英文解釈の参考書としては有名だと思います。3~4パラグラフの文章(35題)を訳していく参考書になります。これも初めの方は英文も短くやりやすいのですが、後半に行くにつれ、文の量も増え、難易度も上がるのでなかなか辛抱が必要です。これについてもおすすめの対象は、馬力のある人、または時間に余裕のある人といったところでしょうか。こちらもやりきれば確実に力はつきます。
姉妹本で「ビジュアル英文解釈[PARTⅡ]」もありますが、難易度などを見るにPARTⅠを仕上げておけば問題ないと思います。さらに極めたい人は参考にしてください。
ここで和訳の練習の仕方を紹介しておきます。学校の先生も同じことを言うかもしれませんが、「参考書をコピーしてノートの左側に貼り付け、右側に訳を書いていく」というものです。英文解釈は、最終的には英文の構造把握ができているかどうかという点につきるので、英文に直接書き込めるよう工夫しておけるとよいと思います。コピーしておけば復習として繰り返し解けるのでおすすめです。
和訳の採点基準は不明なところが多いですが、まずは「正確な構造把握」と「内容の理解」を心がけましょう。受験生が多いこともあり、日本語の枝葉末節は気にしないでしょうから、正確に構造把握をしたうえで、直訳から逸脱しすぎない程度にわかりやすく日本語を書けば大丈夫でしょう。まずは直訳ができるようになっておくと無難です。
■模範解答を先生に……■
さて英作と和訳は、実際書いたうえで、他人に添削してもらうのが一番よいのですが、それが難しい人は模範解答をそのまま覚えてしまうというのも手です。英作については出てきた表現や文法事項を、和訳についてはうまい訳し方や、訳し順などを学んで実践で試してみると上達がはやくなると思います。
次回は9/16(月)、最終回となります。リスニングの参考書について紹介予定です。ご期待ください。
2013/09/06 武井靖弥