第一問で流れを記述するにも、まずは史実を正確に覚えていないと書けません。加えて1/3から半分くらいの配点があることを考えても、第二問での失点はなるべく防ぎたい所です。そのため、論述を制するためにはまずは第二問から対策を始めるとよいでしょう。…
こんにちは。武井です。
世界史参考書紹介、二回目の今日は、いよいよ第一問、第二問へ向けた論述対策の参考書を紹介していきます。
■まずは第二問から固めよう■
第一問で流れを記述するにも、まずは史実を正確に覚えていないと書けませんし、1/3から半分くらいの配点があることを考えても、第二問での失点はなるべく防ぎたい所です。そのため、論述を制するためにはまずは第二問から対策を始めるとよいでしょう。
対策としては、英作や和訳と同様にまずは実際に書いてみることです。書くべきことがなにも思いつかない、なにを書いたらいいかわからない、設問で聞かれている用語自体がわからない……という人は、そもそも知識不足である可能性が高いので、第三問の対策に戻って問題集をやりこみましょう。
知識が入っている前提で「文章をうまく書くためのコツ」とか「いくつかポイントがあるが、その中からどれに絞って書くべきか」ということを学ぶための参考書として以下の2冊を紹介します。
「世界史論述練習帳new」中谷臣
第一問対策としても使える本書ですが、その中に基本60字という章があります。これが第二問対策として非常に有効に使えます。60字ということで二行以内にまとめる力も身につく上、話題としても出てきやすいところが載っているのでおすすめです。
「大学入試 世界史B論述問題が面白いほど解ける本」平尾雅規
初級者向けに書いてあるということで、書き方からポイントまで解説されています。演習問題として60字前後の問題が多数載っていますので、こちらもおすすめです。
ただしこちらは多くても字数が400字程度なので、第一問対策としては物足りないかもしれません。第二問対策として、あるいは勉強があまり進んでない人向けになります。
実際に書く練習をする上では以上のような演習系問題集は非常に重要ですが、書く材料を得るという点では「用語集」が必要不可欠になります。僕は主に山川の世界史用語集を使っていました。(初めの1冊は使っているうちに分裂してしまったので、買い換えました。)ぜひ文字通りぼろぼろになるくらい用語集を読み込み、使い込んでください。
■そして第一問へ■
そして最後に第一問、最大600字程度の大論述ですね。あるテーマについて、そのテーマから逸れずに原稿用紙1.5枚分書かなければいけないわけですから、「題意をくみ取る力」「用語を適切に用いつつ、文章を組み立てる力」ともに練習していかなければなりません。
書き方としてはメモを初めに作るなどいくつか方法があると思いますが、ここではとにかく書いて練習するという目的で、参考書を紹介していきたいと思います。
<まずは多くの問題に触れて、実際に書いてみましょう>
「世界史論述練習帳new」中谷臣
上述した参考書になります。基本60字以外の章は、字数が多い問題がたくさんあるのでいい練習になると思います。解答例も含め書き方も載っているので、おすすめです。
「詳説世界史論述問題集」茨木智志
山川出版社から出ています。各時代ごとにテーマを設定して問題が作られています。問題数も多いので、時間がある人はぜひ使ってみたらいかがでしょうか。
以上が一般的な問題集となります。
これらである程度練習できたら、あとは実戦経験を積むのみなので、
「東京大学への地理歴史」駿台文庫
「入試攻略問題集 東京大学地理・歴史」河合出版
「東大入試プレ問題集 地歴」代々木ゼミナール
などを使用して模試の過去問を解いてみましょう。
ただ、最終的には過去問を解くのが一番効果的ですので、こちらも忘れずに。
「東大の世界史 25ヵ年」
「東京大学 文科 前期日程(青本)」駿台文庫
やはり25ヵ年は手放せませんね。青本は駿台世界史講師陣が力を入れて解説を作っており勉強になるので、あえて紹介させていただきました。
<流れをつかみたい人へ>
「詳説世界史B」山川出版社
「世界史B」東京書籍
「単発的な知識はOK!だけどつながり、流れの理解がイマイチ」という人はまずは教科書を読みこむことをおすすめします。教科書執筆者が東大の講師ということもありますし、因果関係も含め簡潔に書いてあります。通しでなくてもよいので、一通り読んでおくことが望ましいです。教科書は学校で使われているものでよいと思いますが、個人的には詳しさや読みやすさの点で、東京書籍の方がおすすめです。僕も現役時代にわざわざ教科書取扱店まで買いにいきました。
「ナビゲーター世界史B」鈴木敏彦
「NEW青木世界史B講義の実況中継」青木裕司
「教科書だとどうしてもつまらない」「非受験生でおおまかに流れをつかみたい」という人には上の2冊がおすすめです。教科書よりも冊数は多くなりますが、説明も口語調である上、図なども多く載っていますので、堅苦しさに耐えられない人はこちらを代用してもいいかもしれません。
※実況中継は、全範囲は網羅されていないので注意です。
高1,2のうちに一通り目を通しておくととても強みになります。
<さらに詳しい因果関係、歴史的な意味づけを知りたい人へ>
「詳説世界史研究」山川出版社
僕が直前期に一番愛読した参考書はこれかもしれません。教科書も一通り読み終え、問題演習も数多くこなし、それでも物足りない。50点を目指したい人は、ぜひ購入してください。内容としては教科書をさらに深掘りして、因果関係や人名などが詳しく書かれています。これだけやってもまだ目からウロコといったことも多々あります。読んでみてください。
<流れなども一通りおさえ、あとは書く技術、テクニックを学びたい人へ>
「合格への世界史―東大文Ⅰ生が教える日本語力で解く論述テクニック」山下厚
解説は一部極端かもしれないというところもありますが、東大第一問のテクニックを学びたいという人におすすめです。試験前日の付け焼刃でもよいので、読んでみてはいかがでしょうか。
<資料集、地図帳など>
「最新世界史図説タペストリー」帝国書院
「新詳高等地図」帝国書院
大きな流れを理解する上で、横のつながりや国家の位置関係を把握しておくことは非常に重要です。教材自体はなんでもかまわないと思いますが、資料集と地図帳は必携アイテムとして有効に使ってください。今回は自分の使っていた2冊を紹介しました。
■最後に ―本質的な勉強をしよう―■
世界史の勉強は暗記につきます。自分でノートに流れをまとめてみるのもいいでしょう。参考書に負けないくらいのきれいなオリジナルノートを作ってもいいでしょう。多くの参考書に手を出すのもいいでしょう。でも、結局は覚えていないと使えないのです。試験で使えるものは自分の頭の中に入っているものだけ。試験で使えるような知識を身につけるということを念頭において、勉強が参考書を眺めたり、ノートを作ったりといった“作業”には絶対ならないようにしてくださいね。
今回は数多くの教材を扱ってきました。実際に書店に行ってもらえればわかると思いますが、世界史という1科目だけでもここで紹介したものは氷山の一角にすぎません。東大合格者がすべての参考書を買っているはずがないので、やはり自分で選んだものが最良の参考書ということになってくると思いますが、少しでも役に立ってもらえれば幸いです。
次回は根本先生から地理の参考書について紹介予定です。ご期待ください。
武井靖弥