過去問と言えば真っ先にこれを思い浮かべるという人も多い定番中の定番。内容もオーソドックスなことがしっかり書かれていて、これといったこだわりなく適当に本書を選んだとしても後悔するようなことにはそうそうならないでしょう。
掲載されているのは「大学情報」「傾向と対策」「問題」「解答」で、リスニ…
過去問と言えば真っ先にこれを思い浮かべるという人も多い定番中の定番。内容もオーソドックスなことがしっかり書かれていて、これといったこだわりなく適当に本書を選んだとしてもそうそう後悔しないハズ。
掲載されているのは「大学情報」「傾向と対策」「問題」「解答」で、リスニング用のCDも付属。毎年、「大学情報」の項の最後に合格者からのアドバイスが収録されているのが特徴と言えば特徴。「傾向と対策」は各教科十分丁寧に書いてあります。
「問題」は、基本的には実際の問題用紙を尊重して掲載していますが、大問が変わってもあえて改ページせず極力レイアウトを詰めるようにしていたり、最近は解答を別冊に分けたりと分厚くなるのを少しでも解消する努力をしているようです。しかしそれでもまだまだ結構厚い本なので、この冊子をそのまま使って時間を計り過去問演習とするのは、個人的にはあまり推奨できません。実際の問題用紙がもとになっているとはいえ、レイアウトが詰まった分途中計算を書き込んだりするのにも不向きですしね。そもそも、時間を計っての過去問演習は、問題用紙をインターネットで公開されている実際のもので行うなど、極力本番の状況に近づけて行うことをオススメします。
また例年7年分程度の問題を収録していますが、リスニング音源はそれより少ない年度しか収録されていなかったり、リスニングスクリプトが問題と一緒に掲載されていたりします。しかし、英語以外の外国語の入試問題まで収録しているのは赤本くらい(解答は省略されていますが)。
「解答」に関して。さすが過去問参考書の定番となっている赤本だけあって、解答・解説も基本的にオーソドックス。各所でよく紹介される解法・別解についてきちんと触れられていますが、マイナーなものや誤答しやすい解法に関する細かい注意についてはやや薄め。解説は、数学に関してはやや飛ばし気味で高校数学をある程度理解している人がどう着想を得ていくかという指針を手短に書いてあるだけのことが多いですが、他の教科については問題設定を順に追って整理したり解答するにあたって必要な情報をまとめたりしてくれています。全体的に赤本の理系科目の解説は他の参考書よりもあっさりしている印象を受けます。
各教科の解説の最後に“講評”の項が用意されていて、その年度のセットを全体的に見るとどの問題は取れなくてはならないかとか、例年の東大入試に比べてどうかとかいったことが書かれています。読みまくっていればそれなりに東大入試の内容に詳しくなりますが、それは講師や入試オタク向けの話。受験生にはそこに書かれている“やや難”だとか“易”だとかいった評価を参考にし、どの問題はできるべきだったかを振り返るのに使って欲しいです。
ただしここで言われる“標準”はあくまで東大入試としての“標準”で、見ていると赤本の目標ラインは各教科での合格者平均くらいありそうです。皆多少なりとも得手不得手のある中、全教科で合格者平均を達成しているような人はかなり高得点の層にいると思われますから、そこで言われている通りにいかなかったとしても落ち込み過ぎないようにしてください。また英語にのみ“解答の指針”の欄が設けられていて、どのような心構えでその年のセットに臨み時間配分すべきかといったことの参考になり得ることが書いてあります。