前期教養学部の生ぬるい一年半を終えた東大生は、進学振り分けを迎え、9月以降さまざまな学部・学科に分かれ全く異なる学生生活を送ることになります。
今回の記事では、それぞれの学部ごとにどんな生活を送っているか、ざっくりお伝えしていきたいと思います。
経済学部
文Ⅱ生の大半や、勉強への情熱を失った理系生が進学する経済学部は、定員の多さも相まってしばしばヒマな学部の代表例のように言われます。基本どの授業も出席する必要はなく、単位認定も緩いので授業の負担は駒場時代よりも軽いです。
ただ経済学部生は大半が大学院に進学せず4年で卒業していくため、多くが3年の夏ごろには就活を始めることになります。なので就活熱心な学生の一部はその辺の理系学生よりも忙しい日々を送っています。
ただ、就活さえ終わってしまえば生活を縛るものはほぼなくなってしまうので、4年夏以降の経済学部生は最後の学生生活を今まで以上に全力でエンジョイします。
法学部
主に文Ⅰ生が進学する法学部、官僚や法律界に進むエリートを育成する学部というイメージが強いかと思いますが、民間企業に就職する人も数多くいます。経済学部と同様に授業の出席はないのですが、テストの重みが全く異なります。法律に関する授業は試験範囲が膨大で、どれほどシケプリ※1を集められるかによって単位の取りやすさも大きく変わってくるようです。人脈が問われる学科と言えるでしょう。
文学部
文Ⅲ生や経済学部に進学できなかった文Ⅱ生などが集まる文学部。基本的に拘束はゆるく楽な学科と言えます。心理学科のような一部実験がある学科はやや負担があるようですが理系学科に比べれば大したものではないようです。
工学部
筆者も所属している工学部。合計約800人の定員を持ち、学科の数も非常に多い大規模な学部です。理Ⅰ生が大半を占めますが、生物系の学科には理Ⅱ生も一定数いて、学科によっては文系生もちらほら見られます。
理系全般に言えることでもありますが、多くの学科で実験が多く拘束時間が長いです。特に化学系・電気系・建築系の学科は負担が重く、中には夜通し作業する人もいます。ただし、マテリアル工学科とシステム創成学科の2つは例外で実験も少なく、あくまで比較的ですが自由に過ごすことができます。
大多数の学生が院に進学し、研究室ライフを少なくとも3年間エンジョイします。
理学部
工学部に比べ、実用性よりも学問そのものに重点を置く学科で、その性格に合った勉強・研究が好きな学生が多いです。ただその度合いは学科ごとにばらつきがあり、数学科・物理学科など生半可な「好き」ではとてもやっていけないような学科もあれば、平均的な理系学部と変わらない雰囲気の学科もあります。
あまりにもやっていることの幅が広く、全体の忙しさをまとめることは難しいですが、工学部と同じように実験が多い化学系・生物系学科は拘束時間が長いです。この点も工学部と同様ですが、大多数が大学院に進学し、博士課程に進学する人も少なくありません。
農学部
理Ⅱ生が多くを占める農学部、本郷キャンパスからは道路一つだけ挟んだ弥生キャンパスというところにあります。理系の中では総じて単位認定が緩いため、工学部などから楽単※2狙いの生徒がドーバー海峡※3を渡って押し寄せます。基本的に理系の中では緩い部類に入りますが、生物系の研究が主になるため、配属される研究室によっては実験による拘束時間がかなり長くなります。
薬学部
理Ⅱ生の割合が高いですが、理Ⅰ生も一定数進学します。なかなか高い点数が要求される学科ですが、研究室に配属されるまでは拘束時間は短く工学部などに比べ比較的自由に過ごせるようです。
研究室に配属されてからは、特に生物を扱うものを中心になかなか忙しくなるようです。
医学部(医学科)
入試トップ層の理Ⅲ生がほぼ全員そのまま持ち上がり、他学科からは90点級の点数を誇る超優秀層しか入れない医学部医学科ですが、そこでの生活は超優秀な学生にとっても楽ではないようです。
解剖や実習などで拘束時間が多い上にテストの量も質も厳しく、どの点から見てもヒマだとは言えませんが、全く遊べないというほどではないようです。
語注
1シケプリ … 有志によって作られる、テスト対策のためのポイントをまとめたノートやファイルのこと。
全学に伝わっているものから個人でやりとりされるものまで、共有される範囲はさまざま。
2楽単 … 楽に単位が取れる授業のこと。学期に1、2個レポートを出せば単位が来るものであったり、
代返可能な上に出席状況だけで成績をつけるものなど。
3ドーバー海峡 … 弥生キャンパスと本郷キャンパスを結ぶ歩道橋の俗称。渡るのはそんなに苦ではない。
2017/09/30 K.H