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英作文(2010-A)

今回は2010年の問題を扱います。「世界に言語が一つしかなかったらどうなるか」というテーマについて、与えられてた英文の書き出しに続けて英文を書く形式ですね。
If there were only one language in the world, …
という英文、日本語の...


今回は2010年の問題を扱います。「世界に言語が一つしかなかったらどうなるか」というテーマについて、与えられてた英文の書き出しに続けて英文を書く形式ですね。

書き出しの
If there were only one language in the world, …
という英文、日本語の問題文が与えられているからといって軽く読み飛ばしてしまってはいけません。何か注意しなければいけない点があるのにみなさんお気づきですよね?そう、仮定法です。そもそも「世界に言語が一つしかなかったら…」の仮定自体が現実的には起こり得ないことであり、この英文は仮定法を使って書くべきですが、東大はわざわざ If there “were” … と、「仮定法を使ってくださいね!」と念押ししてくれている訳です。この東大の優しさに気づかずに、帰結節に would や could といった助動詞の過去形を使わなければ大幅な減点は避けれらないでしょう。

仮定法ってなんだっけ…という人はここで解説しているので読んで思い出してみてくださいね。2012年にも同じように「もし他人の心が読めたらどうなるか」というテーマの英作文が出題されています。仮定法を使うべきかどうか、答案を書く前に一歩立ち止まって考えてみる習慣を付けてもいいかもしれません。

では英文の内容はどういった方向性が考えられるでしょうか。
「言語が一つしかなかったら…」 比較的イメージしやすい仮定のように感じます。まず「外国人とコミュニケーションしやすくなる。」という帰結が大枠でしょう。言語の壁が全くなくなる訳ですから当然です。もちろんそれが結論になってしまってはペラッペラの内容になってしまいますし、50語なんてとても書けません。そこからさらに掘り下げて「外国人と交流しやすくなる」ことがもたらす結果を考えれば良いでしょう。

「言語統一によりEUのように国と国の間の障壁が小さくなって最終的には統一国家ができるはずだ!」だったり「敵対する国家とも同じ言語でとことん議論できて国際紛争の解決!」なんて壮大な夢物語を語ることもできるでしょうし、もう少し現実的に「企業の海外進出が促進されて世界中で自由貿易が行われる」、「海外からの観光客が増えて観光業が盛んになる」といった感じでも書けそうです。

デメリットの方は「言語の多様性の消滅に伴う文化の多様性の消滅」なんてテーマが模範解答になりそうですが、やや抽象的で書きづらいかもしれません。
 
それでは実際に答案を見てみましょう!今回は現在法学部生のN君に答案を作ってもらいました!


■ N君の答案


it would be easier … と 仮定法の would はバッチリ!と思いきや2文目に助動詞の過去形を入れ忘れてしまっているようです。もったいない…
文法的には、2文目の It makes us ... という文が少し気になります。この It は前文の「外国人と意思疎通するのが簡単になる」という内容な訳ですが、It は基本的に特定の名詞、具体的にイメージ出来るモノを指すことが多いです。厳密に誤りと言い切ることは難しいですが、今回は It の代わりに This や That を使った方が良さそうです。

内容としては、
・海外旅行が盛んに
・企業間の国際競争が激化
・言語に関わる職の消滅
と3点を盛り込んでくれましたが、一つ一つの要素間の繋がりが薄く、全体的に内容が薄くなってしまっている印象を受けます。多くの要素を含めるのもアリですが、あえて一つの内容に絞って深掘りしても良いでしょう。
たとえば、
「言語が一つしかないと...」
→「外国人との交流が容易になる」
→「企業の海外進出が進む」
→「企業間の国際競争が激化」
→「国際的な企業間の吸収合併」
→「大企業の寡占状態」
→…
といった感じでしょうか。

要素間の繋がり、特に因果関係をしっかりと意識して接続詞(because, thus, as a result)を使って英文を組み合わせることで論理的な英作文を作りやすくなります。50字程度の英作文であれば「Aが原因でBが起こり、Bの影響でCになる。Cの結果、最終的にはDとなる。」といった感じで、原因→結果→原因→結果→原因… という構成でも不自然でない英文が書けるはずです。

他にツッコミを入れるのであれば、2文目と最終文の内容が矛盾していると解釈されてしまうかもしれません。2文目は「we would be willing to work abroad」、最終文は「getting job abroad would be difficult」という趣旨。厳密には矛盾していないのでしょうが、危ない橋は渡らないのが賢明でしょう。それ以前に、語学教師という職が存在しないからと言って海外で仕事に就くことが難しくなるとは言えず、最終文は方向性を変えた方が良さそうです。

以上を踏まえてN君の答案をブラッシュアップしてみました!

( If there were only one language in the world, ) it would be much easier to communicate with foreigners, so that many people would be willing to work abroad. Many companies would embark on overseas markets and governments would adopt free trade systems like TPP, in order to promote international competition. As a result, we could enjoy many overseas products for a low price.

・be willing to do … すすんで do する。
・embark on A … A (新規事業等)に乗り出す

その他の解答例

( If there were only one language in the world, ) the world we live would be monotonous and boring. Off course it would be easy to communicate with foreigners, communicating with people with different language, view and cultural background is interesting. Language is one of the most significant cultural features. Off course cultural difference has brought some conflicts, but it is the cultural diversity that makes world interesting.

2014/11/7 大澤英輝

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