理科二類志望者を除いて選択者数が少ない生物。東大理科と聞くと物理化学選択が多いのですが(理科三類受験生も!)、生物を選択しなかった受験生の声を聞くと多く聞かれるのが「問題が重い」「高得点が安定して狙いにくい」という声。
一方、大学入学後の学生からは大学の講義を受けてみて「生物受験にしておけば良かった」という声も聞かれます。
実際に問題を見てみると、研究論文など大学での生物学習内容を題材にした問題が出題されていて興味深いのですが、それをじっくり読み込んでしまうとあえなく時間切れに…
その辺りのバランスを取りテンポ良く解いていく必要があります。
■出題内容■
まずは出題内容から。形式として、やはり2科目150分・60点満点。大問数は3問、各大問内では文章が1〜3つ提示され、その後問題が続くという形になっています。
番号 |
出題内容 |
配点(推定) |
第1問 |
遺伝子、動物(代謝・反応、生殖と発生)、植物(生物集団)
小論述(1〜4行程度)、語句、記号選択、計算 |
20点 |
第2問 |
20点 |
第3問 |
20点 |
頻出テーマはありますが、特定のテーマが出題され続けるということは無く、年ごとに様々なテーマが出題されます。
出題テーマについて
最頻出テーマとしては、「遺伝情報」「代謝」「反応と調節」。次に「生殖と発生」「生物の集団」「進化と系統」が続きます。
遺伝情報は例年ほぼ必ずと言ってよいほど1題は出題されます。遺伝分野とは言っても、発現調節に関するものから遺伝の法則まで、全体的に出題されている傾向にあります。
その他の分野も、教科書に載っている範囲からはほぼ広く出題されると考えて良いでしょう。弱点分野を残さないような対策が必要です。
旧教育課程履修者に注意しておいてほしいのは、生物Ⅱ分野の扱いです。生物Ⅱの選択分野「生物の集団」「進化と系統」は「知識を問うだけの出題はしない」との記述がありますが、実際はこれまでその分野の知識を問う出題も見られました。経過措置があるからと侮らず、この分野に関しても穴を残さない学習をしておいてください。
東大生物は教科書に載っていないような実験を出題されることで知られていますが、近年は教科書の範囲を大きく逸脱した学習範囲から(時事ネタなど)の出題が見られなくなっています。その意味でも、教科書の着実な理解が最優先と言えます。
出題形式・解答形式・レベルについて
東大生物の大きな特徴としては、
①実験に関する文章を読み取って解く考察問題が多いこと
②論述量が一定数(合計20〜30行)あること
③単答・論述共に基本的な知識があれば即答できる問題が一定数(20〜25点程度分)あること
が挙げられます。
①文章は、先ほど挙げたように大問1つにつき1〜3つです。そして、ほとんどの場合1つの文章につき1つの実験・調査が扱われています。つまり、東大生物を1回解くごとに5〜9個程の実験・調査について理解・考察していくことになります。
②年によって差はあるものの、論述量の合計は700字〜1000字程度。文系受験生から「大論述がある」として恐れられる世界史の総論述量が1000字前後であることを考えても、かなりの論述量です。
③論述がクローズアップされがちな生物ですが、知識問題もかなりの割合を占めています。考察問題にじっくり時間を使うためにも、知識問題を早く確実に取りきる必要があります。
■参考得点■
・得意なら目指してみよう……48点
・一般的な得点……36点
・苦手でもここまでは……30点
・本番で大失敗……25点
大問ごとに時間配分の戦略を立てるのは難しいのですが、上記③のように東大生物は知識系の問題のみである程度の得点が見込まれます。各文章の最初の1〜2問目がそれに当たることがよくありますが、まずそこが崩れると合格が覚束なくなるでしょう。最終的には、それを取りきった上で如何に考察問題を取るかの勝負になります。
考察問題を解く際のフレームワークとして、「どんな操作・調査をした結果、どんなことが分かったか」「実験時にどんな差をつけたらどんな変化が起きたか」に気をつけてみると良いでしょう。大学生になって論文を読んで行く際に学習する考え方なのですが、このフレームワークが身に付くと文章を早く読めるようになります。
また、計算間違いにも注意。数学・化学(・物理)でさんざん鍛えられているとは思いますが、生物でも気は抜けません。
学習の進め方としては、(論文を色々読むなんていうのもありますが)過去問・模試等で東大型の問題に慣れるのが一番です。時間配分に気をつけながら演習を積んでいきましょう。
2014/12/24 根本紘志
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