東大志望の世界史選択者は世界史を安定した得点源にする必要があります。そのためには、出題傾向や内容をしっかり押さえたうえで、点に結び付くように考えながら勉強しなければなりません。
まずは出題形式を見てみましょう。
■出題内容■
番号 |
出題内容 |
配点(推定) |
第1問 |
510~600字の大論述×1題 |
25~30点 |
第2問 |
60~120字の小論述×4~6題 ・ |
20~25点 |
第3問 |
1問1答形式の短答問題×10題 |
10点前後 |
各大問における設問数や要求行数は年度により多少変動はありますが、最近の傾向としては上表の形式が強いです。また配点については、第1問と第2問の配点差が小さい(つまり第1問が低め、第2問が高め)と予想されている年度もあるようですので、ある程度幅をもたせた形になります。
時間配分としては、150分中半分の75分を使うとすれば、第1問に40分、第2問25分、第3問10分が目安でしょうか。個人差はあるでしょうが、第3問をなるべく速く片付けてしまって(僕は5分ほどで解いていました。)、次に第2問、最後に第1問と、残りの2つになるべく多くの時間を割く、というのが基本的な戦略になると思います。
また出題範囲については、「先史の時代」などを除けば、おおむね全範囲から出題されているため、広く勉強しておくことが大事になります。強いていえば、第1問は16世紀以降の近代についての出題が多く、第2問はバランスを取るように古代や現代史の出題が多いかな、という感触はありますが、直前期でなければ特にヤマをはらずに全範囲を勉強しておくべきでしょう。
それでは各大問の特徴をみていきましょう。
第1問
言わずとしれた大論述です。東大世界史の代名詞とも言われるこの問題では、具体的な史実よりも、全世界を俯瞰した横のつながりや、ある出来事の背景や意義をつないだストーリーとしての歴史を書くことが要求されます。リード文と8つの指定されたキーワードをヒントに510~600字の論述を書くことが求められます。
書いたもののこまごまとした推敲や修正が難しいという特性やボリューム、また出題された範囲を考えると、多くの問題に触れるとともに、同じ問題に対する書き直しなども含めた演習が必要でしょう。
どれだけ勉強を重ねてもこの大問で満点をとることは容易ではありません。どんな聞かれ方をしても、またどんな範囲が聞かれたとしても苦手な人は5割、得意な人は8割をとることを目標に練習していくべきでしょう。
第2問
歴史を概観させる第1問とは対照的に、第2問では各出来事や史実について、60~120字程度で詳述することが求められます。問われていることがシンプルなため、書くべきことで迷うことは少ない一方で、ごまかしがきかない設問でもあります。史実の抜けや誤った知識は致命的になるので、用語集などで曖昧な知識をつぶしていくことが重要です。また勉強が進んでいる人にとっては、少ない分量の中に盛り込みたい内容が増えてくるという葛藤が生じてくることもあるので、文章をシンプルにまとめる練習も必要でしょう。
用語や史実をマスターすることで、この大問での得点率は大幅に上がります。苦手な人は6割、得意な人は9割の出来を目指すとよいでしょう。
第3問
この大問では論述が課されることは少なく(あったとしても30字程度)、大体が1問1答形式の問題になります。知識としてはセンターレベルのものがほとんどなので、1問1答集や穴埋め式の問題集をマスターすることで満点が目指せる大問です。苦手な人でも8割、得意な人は10割を目指すことができます。
以上をまとめると参考得点はこのようになります。(第1問:30点、第2問:20点、第3問:10点、を想定して計算しました。)
■参考得点■
・得意なら目指してみよう……52点
・標準的な目標……42点
・苦手でもここまでは……36点
・本番で大失敗……30点
実際の合格者の平均としては36~42点ぐらいに落ち着くのではないでしょうか。最低限の目標として6割~7割の点数をとる、とするのが一般的でしょう。
■最後に■
東大の文系の学生として、大学に入ってみてから僕が感じたことは、世界史選択者で世界史を苦手としていた人は少ないということです。勉強した分だけ点数が伸びるという科目特性の故か、みんなよく勉強してくるようです。世界史を選択する人は、世界史が苦手な科目にならないようまずはしっかり勉強時間を確保すること、そして大論述なども見据えて考えながら勉強すること、この2点を念頭に勉強していってほしいと思います。がんばってください!
2014/12/22 武井靖弥
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