東大地理は、独特と言われる東大地歴の中では最もスタンダード(?)な問題形式です。日本史のように国語のような論述問題でも無ければ、世界史のように大論述もありません。
以下の出題形式や過去問を見ていただければ分かるように、他大学や問題集にもありそうな問題形式です。
しかし、内容については流石というか、東大らしさが随所に見られます。
特徴は大きく分けて2つ。1つは、問題量です。一つ一つの記述量が少ない分、問題数は結構なもの。比較的ハイスピードで問題を解いて行く必要があります。
もう1つは、その内容です。 パッと見ると、図表であったり地図であったりと暗記問題のように見える問題ですが、実はきちんと正解にたどり着くためには知識を元にした推論が求められます。以下、出題形式と共に見て行きましょう。
■出題内容■
大問数は3問、それぞれの各大問が設問A〜B(C)に分かれています。
番号 |
出題内容 |
配点(推定) |
第1問 |
系統地理(自然地理、第一次〜第三次産業) 系統地理(トピック別)、地誌(1地域) 小論述(30〜90行)、語句、記号選択形式 |
20点 |
第2問 |
20点 |
第3問 |
20点 |
過去には第3問に地誌など、大問番号ごとに出題内容がある程度決まっていましたが、近年はそこにあまり関連は見られなくなっています。
日本史のように大問ごとに…ということは出来ませんが、出題のされ方と問題構成について扱いたいと思います。
出題テーマについて
いずれの年も、系統地理(自然地理、第一次〜第三次産業)・系統地理(トピック別)・地誌の3テーマがバランス良く出題されます。後述しますが、センターレベルで85〜90%取れるだけの知識量があれば十分でしょう。
系統地理(自然地理、第一次〜第三次産業)は、農林水産業・工業・サービス業のいずれもが毎年ほぼ全て、バランス良く出題されます。トウモロコシの生産国としてアメリカを答えさせるなど、基本的な知識を問う問題もあるので、問題集に載っている基本的な地名・産業・グラフ等は押さえておく必要があります。
系統地理(トピック別)では各産業を取り巻く問題やトピックごとの問題が出題されます。例えば2012年度は論述でフェアトレードが出題され、2011年度は第1問設問Aで真正面から災害の問題が取り上げられました。
地誌では、特定の地域や国が取り上げられて出題されます。アメリカやEUは出題回数が多い傾向にありますが、ラテンアメリカやアフリカもそれなりの頻度で出題されており、まんべんなく学習しておく必要があります。
出題形式・解答形式・レベルについて
各大問、設問内に出題形式・解答形式・出題レベルともに様々な問題が混ざった形で問題が構成されています。
出題形式…一問一答形式はほとんどなく、グラフ・表・地図・統計資料を読み取って答える問題がほとんどです(設問ごとに最低1つの資料が載せられています)。近年は地形図を読み取って答えさせる出題が度々出ています。
解答形式…記号選択、短答、論述の大きく分けて3つがあります。基本的には各設問の最初の方の小問が単答、後ろの方が論述です。全問論述、という設問もあります。
出題レベル…知識として知っていることを答えさせる問題、知っている知識を元に図表や資料を読み取りながら解く問題があります。単答形式の問題にも後者が混じっていることがあるのが厄介です。
■参考得点■
・得意なら目指してみよう……50点
・一般的な得点……40点
・苦手でもここまでは……35点
・本番で大失敗……30点
東大地理の難しさは、まず上記に挙げたようなテーマ・出題方式がごっちゃにされていることにあります。日本史世界史のように問題構成がはっきりとは決まっておらず、年ごとに小問構成が異なります。事前に解く順番などの戦略を立てにくく、その場で臨機応変に戦略を立てる必要があります。
加えて受験生を悩ませるのは問題数の多さです。小問数はおおよそ18〜25問程度で、うち少なくない割合を論述が占めます。使える時間に直すと、論述含めて1問4分程度。じっくり時間をかけて考える力というよりは短い時間内に適切な判断をどんどん下していく力を鍛える必要があります。
とは言っても、「論述の多い問題を先に解く」「4分考えて答えが出なかったら飛ばして先に回す」といった自分なりの戦略を持っておくことは可能です。他の2科目以上に、時間を測ってフルセットで行う過去問演習が大事だと言えるでしょう。
一方で、苦手でも大崩れしたり、全く手が出なかったりということが無いのは逆に利点かもしれません。他の科目の学習状況とのバランスを取りながら対策を進めてみてください。
2014/12/26 根本紘志
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