「全力で努力」よりも「淡々と継続」——東大卒弁護士が語る、成果を生むための姿勢とは
連載:「継続」「経験」「信頼」を資産に――重松英さんインタビュー
2026.07.20
今回インタビューを行ったのは、日本およびニューヨーク州の弁護士として活躍されている、重松英(しげまつ・すぐる)さんです。
重松さんは東京大学の法学部をご卒業後、法律事務所や事業会社を経て、現在はLawyer’s INFO株式会社のCOOを務められています。今回は、東大受験を考えている方に向けて、キャリアを通して得られた重要な学びについて語っていただきました。
本インタビューは、全6回の連載としてお届けします。第1回となる本記事では、重松さんの東大受験について振り返っていただきました。
ゴールから逆算して計画した上で、「全力で努力」より「淡々と継続」
ーー実体験に基づく重松さんのお話は、受験勉強に励む方に多くの示唆を与えてくれるはずです。
【受験は長期戦—大切なのは「淡々と続ける」こと】
まず最初に、私の大学受験の経験と、そこから得た学びについてお話ししたいと思います。
実は、私の大学受験のスタートは、周囲と比べてかなり出遅れたものでした。高校3年生の夏までずっと、野球部で本格的に活動していたからです。
そうした状況の中で、私がまず最初に取り組んだのは過去問の確認でした。実際に解いてみて、自分に何が足りないのかを分析しました。受験勉強というと、まず参考書を開く人も多いかもしれませんが、私は先にゴールを確認することが大切だと思っています。
実は、これは仕事でも同じです。何がゴールなのか、何をできれば成功と呼べるのかを考えて、そこから逆算して進めていかなければいけません。
もう一つ強く意識していたのは、「淡々と」毎日継続して勉強することです。
これは、「毎日限界まで、できるところまでやる」というのとは違います。自分にできる範囲でよいので、とにかく毎日一定時間の勉強をひたすら継続するんです。
そうすると、いずれ勉強をするのが当たり前になり、最終的に努力とも思わず勉強できるようになります。そのように淡々と勉強を積み上げていけば、「継続は力なり」で、いずれその蓄積が自分の大きな武器になってくれます。
ちなみに私の場合、1日に無理なく勉強できる時間はストップウォッチで実勉強時間を計測しておよそ10時間だったので、毎日必ず10時間ずつ勉強するようにしていました。もし調子が良くて、10時間を超えて勉強できそうな日があったとしても、あえて10時間以上は勉強しません。
たしかに、そういうときに13時間くらい勉強することもできます。ただ、そうすると翌日は反動が来て、7時間しか集中できなかったりするんです。すると結局、勉強できなかった日には「今日は全然勉強できなかった」と落ち込むことになってしまい、不必要に感情が乱れます。
受験勉強は短距離走ではなく長距離走です。一日だけ頑張るよりも、安定して続けることの方が、結果的には大きな力になります。
また、「復習」の学習効果の高さは常に意識しており、その習慣化を大切にしていました。
復習の大切さは皆さんもあらゆるところで耳にすると思いますが、実際、質の高い復習の効果は絶大です。適切なタイミングの復習によって、記憶の定着率は格段に上がります。また、初めて学んだときから時間をおいて復習することによって、思考を整理し直し、より理解を深めることもできます。
逆に、復習をしっかりせず、一度学んだ内容の定着率が低いまま次の単元に進んでしまうと、次の単元の学習効率もその分下がってしまいます。各単元は独立しているものではなく、前の単元の習得を前提としているものだからです。その意味でも、しっかり復習することは本当に大切なんです。
私の場合は、夜9時以降は新たなインプットは控え、その日に勉強した内容の復習だけを行うようにしていました。また、翌朝起きたら、前日に勉強した内容をもう一度復習するようにしていました。つまり、同じ内容を「その日の夜」と「翌朝」の2回復習するわけです。
記憶は睡眠中に整理されると言われていますが、実際にその通り、夜と朝の2回復習すると定着率がかなり高まることは実感していました。
以上が、私が受験期に意識していたことです。まとめると、まず、過去問から逆算して必要なことを考えること。そして、自分が無理なく続けられるペースを見つけ、淡々と継続すること。さらに、復習を徹底して知識を定着させること。これらの積み重ねが、合格につながったのだと思います。
【受験勉強のプロセスは、仕事にも通ずる】
受験勉強に取り組む中では、「ゴールから逆算して計画を立て、それを実行して結果につなげる」というプロセスが必要になります。そして、これは仕事をする上でも役に立つスキルなんです。私が現在弁護士として仕事をする上でも、同じような取り組み方をしています。
しかし、この力は、塾や予備校に頼りきりになってしまうと身につけることができません。与えられたカリキュラムをこなすことだけに終始してしまうと、自分でゴールから逆算して計画を立てる機会が少なくなってしまうからです。
もちろんこれは、塾に通うこと自体を否定したいわけではありません。ただ、誰かに計画を立ててもらうだけでなく、自分で考え、実行する経験を積むことが大切だと思っています。
受験勉強の本当の価値は、合格という結果だけではありません。その過程における学びこそが、最も意味のあったことだと感じています。













