東大で学んだ、「当たり前の基準」の大切さ

東大を目指す理由は、人それぞれだと思います。将来の選択肢を広げたいから、学びたい学問があるから、家から近いから——きっかけは何でも構いません。

しかし、東大受験には、合格自体とは別に、もう一つ大きな意味があります。

それは、自分自身の「当たり前」の基準を引き上げる機会になることです。

高い目標を目指して努力する過程で、自分の中の「これくらいはやって当然」という基準は、少しずつ変わっていきます。

そして、東大に入学すると、今度はその基準をさらに引き上げてくれる人たちに出会います。

今回は、私自身の東大での経験と受験勉強を振り返り、全3回にわたって記事を執筆しました。

第1回となる今回は、「東大入学のメリット」や「周囲の東大生に共通する特徴」について、私が実際に感じたことをお話しします。

東大に入るメリット——優秀な仲間との出会い

私が東大に入学して良かったと感じるのは、優秀で意欲的な同級生が数多くいることです。

資格取得を目指す人、部活に打ち込む人、研究に精力的に取り組む人——進む道は違っても、皆が自分の理想を追いかけ、その実現のため本気で努力しているのです。

中でも印象に残っているのは、大学1年生から公認会計士の勉強を始め、2年生の冬に短答式試験に合格した友人です。最難関国家資格のひとつである公認会計士の短答式試験に、1年半という短期間で合格するのは、勉強に専念したとしても並大抵のことではありません。

しかし彼は、公認会計士試験のための勉強を、大学のフェンシング部の活動と両立させ、しかもそれを楽しんで取り組んでいました。彼の姿を見ていて印象的だったのは、勉強を「義務」や「苦しみ」としてではなく、「日課」あるいは「楽しみ」として自然に生活に組み込んでいたことです。

このような仲間たちと日々を過ごす経験はとても刺激的であり、成長の原動力になってくれます。自分ももっと成果を出したい、周りのレベルに追いつきたい、そう思わせてくれる友人に出会える環境こそ、東大の最大の魅力のひとつだと実感しています。

優秀な同級生に共通する、「当たり前の基準」の高さ

そして、そのような優秀な同級生を観察して感じるのは、彼らの「当たり前の基準」の高さです。一般的には頑張って達成するようなことを、当然のこととして実践しているからこそ、彼らは高い成果を実現できているのです。

この「当たり前の基準」は、「目標の高さ」「努力の強度」に大分されます。

まずは、最初に立てる目標の高さが、一つ目の重要な要素になります。目標の高さが、その後の努力の水準を決めるんです。

例えば、100点満点のテストで70点を狙っている人は、練習で70点を取れれば十分です。一方で、90点を狙っている人はそれでは満足せず、さらに工夫して高得点を目指すはずです。
それゆえ、最初に目標を90点に設定した人の方が、勉強の量や強度が自然と高まるんです。

もちろん、闇雲に高い目標を目指すべきというわけではありません。しかし、本当に自分が達成したい目標があるのであれば、それが高いハードルであったとしても、まずはそこを本当の意味で「目標」に据えることが必要です。「夢」ではなく、達成するべき「目標」として本気で目指す覚悟がなければ、絶対に達成することはできません。

そしてもう一つ重要なのが、目標を目指す過程における努力の強度です。

優秀な人を見ていると、周囲からすれば「そこまでやるのか」と思うような努力を、本人は特別なこととして捉えていないことが多いです。

つまり、成果を出している人は「毎日頑張っている」というよりむしろ、「このくらい努力するのは当然」という感覚を持っていると言えそうです。

とはいえ彼らも、最初からその「基準の高さ」を生まれ持っているわけではないでしょう。

ここで鍵になるのは「目標からの逆算」です。

最初に立てた目標の達成から逆算して、日々のやるべき行動を設計する。そうすることで、「今の自分にとって無理のない努力」ではなく、「目標を達成するために必要な努力」が基準になっていくのです。

もちろん、最初からその基準で努力するのは簡単ではありません。しかし、続けていくうちに、最初なかなかできなかったことが自然にできるようになっていくはずです。

受験勉強で培った力は、将来にも生きる

今述べたような「努力の基準の高さ」は、受験に限らず、物事に取り組む際に一般的に必要なものです。しかしそれは、必要になったときに急に身につけられるものではありません。だからこそ、受験勉強を通して、それを高い水準で身につけておくことが役立ちます。

また、「自信」も、受験勉強から得られる重要なものの一つです。受験期に「高い目標を設定し、それに向かって継続的に努力できた」という事実は、次に何かにチャレンジするときに大きな自信を与えてくれます。

自信は、何かに挑戦する際に非常に重要です。「目標に向かって最後まで努力できる」と自分自身を信頼できるからこそ、高い目標にも本気で取り組むことができるのです。

私自身も、このことは実感しています。大学進学後、私は英検1級とTOEIC満点という目標を掲げて英語を勉強しました。私にとって高いハードルでしたが、受験勉強で身につけたスキルや自信のおかげで、「最終的には達成できるはずだ」と信じて勉強を続けることができました。そして結果的に、実際にその目標を達成することができました。

もしこのときに、「頑張っても自分には達成できるはずがない」「自分は最後まで勉強できないだろう」と思ってしまっていたら、本気で目標のために勉強することはできなかったでしょう。目標に向けて努力できることの前提には、「最後までやり切れる」という自信が必要なんです。

受験勉強を終え、大学に入ってからも、新しい目標に腰を据えてチャレンジする機会は訪れます。そのとき、受験期に高い目標に向かって努力を続けた経験は、間違いなく自分自身を支えてくれるはずです。

だからこそ、もし今、東大受験を検討している方がいれば、ぜひ一度、本気で挑戦してみてほしいと思います。受験の過程自体が、自分自身の可能性を広げる貴重な機会ともなるからです。

中川 天道

名前:中川 天道(なかがわ てんどう)
「天道」とは、「自然に定まっている物事の道理」を意味します。「物事の道理を理解し、王道に背かないように生きてほしい」と両親がつけてくれた名前です。

出身地:北海道札幌市
実は、札幌の地下鉄は鉄の車輪で走るのではなく、自動車のようにゴム製のタイヤで走行します。これは地下鉄としては非常に珍しい方式で、日本で採用しているのは札幌市営地下鉄だけです。
この方式のメリットとしてよく挙げられるのが、「走行時の騒音が少ない」という点です。しかし、実際に利用していた私の感想としては、むしろ東京の地下鉄よりも音が大きいように感じました(笑)。
ぜひ、札幌を訪れた際には一度乗ってみて、この独特の地下鉄を体験してみてください。

出身高校:北嶺(ほくれい)高等学校
学校附属の寮があり、私もそこで生活していました。寮は学校のすぐ横にあったため、毎日の通学時間はほぼ0分でした。

大学・学部:東京大学法学部
入学したのは文科三類でしたが、進振りで法学部に進みました。前期教養課程の2年間で学んだことを踏まえて進路に対する考えも変わるので、進路の幅を広げてくれる進振りは非常にありがたい制度だと感じます。実際、私の周囲にも、文科三類から農学部に進学した人や、理科二類から医学部に進学した人がいて、多様な進路選択が可能であることを実感しています。

部活等:法律相談団体
現在私は、法律相談を行う団体に所属し、地域の皆様が現実に直面する法的問題への対応に取り組んでいます。より的確な法的知識を提供できるようになることを目指し、民法や借地借家法などを中心に学習を続けています。

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