どの模試を受ければ良い?
2023.07.08
受験生であれば現役、浪人を問わず一年間で数多くの模試を受けることになるでしょう。受験料と時間をかけてたくさんの模試を受け、返ってきた偏差値や判定に一喜一憂しているだけになっていませんか?
模試はたくさん受ければ受けるほど成績が上がるかというと、そんなことはありません。模試は、現時点での実力を測定し、入試までの限られた時間の中で志望校合格のために何をすべきなのか、戦略を練り直す機会として活用すべきもの。
模試をたくさん受けすぎてしまうと、復習のために割く時間を十分に取ることができなくなってしまいます。特に平日に学校の授業がある現役生にとって、まとまった学習時間を確保できる休日は貴重ですが、模試を受験するためにはその休日の大半を費やさねばなりません。仮に以下に示した模試を全て受験すれば35日近くの休日が必要になります。
もちろん、多くの模試を受験して実戦経験を積み、それら全ての復習にも時間をかけつつ他の学習も並行して進める――そんなことができればベストですが、限られた時間の中でそれをこなすのは容易ではないでしょう。東大に合格するためには現実的にどの模試を受験すべきなのか、本ページで考えていきたいと思います。
模試一覧
大手予備校が実施している数多くの模試の中から東大受験生に関連するであろう模試をピックアップしてみました。見て分かる通り東大受験向けに絞ったとしても非常に多くの模試があります。
主催予備校 | 日程 | 模試名 |
河合塾 | 4月中 | 第1回 全統共通テスト模試 |
東進 | 4月中旬 | 第2回 共通テスト本番レベル模試 |
駿台 | 5月上旬 | 第1回 駿台atama+共通テスト模試 |
河合塾 | 5月中 | 第1回 全統記述模試 |
駿台 | 5月下旬 | 第1回 駿台全国模試 |
東進 | 6月上旬 | 第1回 東大本番レベル模試 |
代ゼミ | 7月中旬 | 第1回 東大入試プレ |
駿台 | 7月中旬 | 第2回 駿台atama+共通テスト模試 |
河合塾 | 7月下旬 | 第2回 全統共通テスト模試 |
河合塾 | 8月上旬 | 第1回 東大入試オープン |
駿台 | 8月中旬 | 第1回 東大入試実戦模試 |
代ゼミ | 8月中旬 | 第1回 大学入学共通テスト入試プレ |
東進 | 8月中旬 | 第3回 共通テスト本番レベル模試 |
河合塾 | 8月下旬 | 第2回 全統記述模試 |
東進 | 8月下旬 | 第2回 東大本番レベル模試 |
駿台 | 9月中旬 | 第1回 駿台・ベネッセ大学入学共通テスト模試 |
駿台 | 9月下旬 | 第2回 駿台全国模試 |
駿台 | 10月上旬 | 第2回 駿台・ベネッセ記述模試 |
河合塾 | 10月中 | 第3回 全統記述模試 |
河合塾 | 10月中 | 第3回 全統共通テスト模試 |
東進 | 10月中旬 | 第3回 東大本番レベル模試 |
河合塾 | 10月下旬 | 第2回 東大入試オープン |
駿台 | 10月下旬 | 第3回 駿台・ベネッセ大学入学共通テスト模試 |
代ゼミ | 11月上旬 | 第2回 大学入学共通テスト入試プレ |
駿台 | 11月中旬 | 第2回 東大入試実戦模試 |
河合塾 | 11月中 | 全統プレ共通テスト |
代ゼミ | 11月下旬 | 第2回 東大入試プレ |
駿台 | 12月中旬 | 駿台atama+プレ共通テスト |
東進 | 12月中旬 | 最終 共通テスト本番レベル模試 |
東進 | 1月中旬 | 最終 東大本番レベル模試 |
※模試実施日程は大まかなものであり、実施地域により異なる場合があります。正確な日程は予備校各社のホームページ(駿台、河合、代ゼミ、東進)を参照してください。
模試の種類
「模試」と一口に言っても、その中で大きく3種類に分けられます。
マーク模試
上記の模試一覧の中ですと全統マーク模試(河合塾)や駿台atama+共通テスト模試などがこれにあたります。その名の通りマークシートを使って答案するタイプの模試で、共通テストと同様の科目・制限時間・配点で行われます。ただし実際の共通テストは2日間に渡って試験が行われるのに対し、模試では1日で全ての試験を行うのが普通です。東大受験に必要な科目の試験時間だけで8時間以上、休憩時間も含めると一日仕事になります。朝9時前後から始まり、試験終了が20時頃になるため体力勝負にもなります。
マーク模試を受ける意義の一つとして共通テスト対策になることが挙げられます。東大受験と言うとどうしても二次試験対策に目が行ってしまいがちですが、だからこそマーク模試を共通テスト対策の機会として活用しましょう。共通テストでの出題形式に慣れるのはもちろん、マークシートの使い方、自己採点の練習をする良い機会にもなります。また現役生にとっては基礎的な項目が出題内容となるマーク試験を定期的に受験することで学習進度を確認するための良いマイルストーンになるでしょう。模試返却時には志望大学の合格判定も出ますが、2次試験の配点が大きい東大に関して言えばマーク模試の結果だけでの合格判定はほぼ当てになりません。共通テストで目指す得点率とのギャップや、実際の得点が自己採点と乖離していないかを気にすべきです。
では実際にどのマーク模試を受けるべきなのでしょうか。東大受験生にとってマーク型模試は数を受験するものではなく、定期的に受験するものという認識で良いでしょう。例えば駿台なら駿台に絞り、5月に行われる第1回 駿台atama+共通テスト模試、7月に行われる第2回 駿台atama+共通テスト模試、9月に行われる第1回駿台ベネッセマーク模試、12月に行われる駿台atama+プレ共通テストを受験するという戦略もアリでしょう。東大模試とドッキング判定を行っている予備校もあるので、それもマーク模試選択の判断材料になるでしょう。
総合模試
駿台全国模試、全統記述模試(河合塾)などがあります。試験時間は予備校によってまちまちですが、記述式で行われます。
記述型試験の練習にはなりますが、それは以下で紹介する東大模試を受験するだけで十分なように思えます。難易度としても駿台全国模試以外は東大受験生にとっては物足りないかもしれません。駿台全国模試は「本模試の目標大学」として東大、京大を初めとする旧帝大と早慶上智、医学部を掲げており、東大を目指す人にとっても解きがいのある模試になっています。特別な理由が無い限り、受験する総合模試は駿台全国模試ぐらいで十分でしょう。
東大模試
東大受験を語る上で外せないのが東大模試です。予備校各社が東大の出題形式に沿って本番さながらの問題を出題します。東大入試実戦模試(駿台)、東大オープン(河合塾)、東大入試プレ(代ゼミ)、東大本番レベル模試(東進)と銘打って、東進以外の各社は夏と秋の年2回、東進は年4回実施しています。駿台と代ゼミは本番と同じ2日間で、河合と東進は1日で試験を行うことが多いです。
本番さながらの緊張感の中で実施される東大模試は受験生活の中で一つの節目であり、実際に東大形式の問題でどれだけ得点できるのかを試す場となります。また東大を目指す多くの受験生が受験する東大模試を受けることで、ライバルを知り、そしてその中での自分の立ち位置を知る良い機会です。
東大模試の特徴
東大を目指す上で重要な東大模試。先述した通り4つの東大模試がありますが、その全てを受験して復習するのは簡単ではありません。ここでは予備校各社の東大模試の特徴を紹介します。
東大入試実戦模試(駿台)
東大入試実戦模試の特徴はなんと言ってもその受験者母集団の数と質の高さでしょう。毎回10,000人以上の東大を目指す受験生が東大入試実戦模試を受験しています。受験者層も開成高校、麻布高校、灘高校といった、まさに日本トップの高校から多数受験しています。実際の東大合格者の内、90%近くの人が東大実戦模試を受験していたというデータもあり、驚きです。実際の東大入試と非常に近い受験者集団であるため、自分の成績位置を把握するにはうってつけの模試であると言えるでしょう。
東大入試オープン(河合塾)
東大オープンもハイレベルの母集団を誇ります。東大実戦模試と比べるとわずかに減るものの、こちらも日本トップクラスの高校を中心に10,000人前後が受験しています。2日間で実施されていたのですが、2022年から1日で実施されるようになりました。
東大入試プレ(代ゼミ)
こちらは受験者数は2,000人前後のことが多いようです。他の模試は駿台と河合が8月の2週目、3週目に模試を実施するのに対し、代ゼミは7月の2週目に実施されるので、いち早く自分の実力を実戦形式で確認したい人には良いかもしれません。
東大本番レベル模試(東進)
こちらは受験者数は4,000人前後のことが多いようです。東大本番レベル模試は成績返却が非常に早く、他の模試はおよそ1ヶ月後に答案が返却されるのに対し、本模試では試験実施から中7日で成績が手元に届きます。復習の観点から成績返却が早いのは嬉しいですね。また、受験直前期の1月にも東大模試を実施しているのも他の予備校に無い特徴です。
以上の特徴を踏まえると、皆さんに是非受けるべきだとオススメしたいのは東大入試実戦模試と東大入試オープンの二つです。やはり東大模試は「実際の入試にどれだけ近いか」が見逃せないポイントであり、その意味では母集団を考えるとこの2つの模試が他よりも優れていると言えます。
以上のポイントをまとめると以下のようになります。
・マーク模試は数を受けるよりもコンスタントに受けることに重きを。
・総合模試は駿台全国模試が東大レベル。
・東大模試は母集団の観点からすると東大入試実戦模試と東大入試オープンが優れている。
東大生合格者の受験パターン
最後に実際に東大入試を突破した先輩達がどの模試を受けたかを紹介します。参考にしてみて下さいね!
Tさん(理科Ⅱ類)
受験した模試(名称は当時):
河合塾 全統マーク模試(第1回、第2回、第3回)、河合塾 全統記述模試(第1回、第2回、第3回)、駿台・ベネッセ マーク模試(第1回、第2回)、駿台 全国模試(第1回、第2回)、駿台 大学入試センター試験プレテスト、東大入試実戦模試(第1回、第2回)、東大即応オープン(第1回、第2回)、東大入試プレ(第1回、第2回)、東大本番レベル模試(第1回、第2回、第3回)
コメント:
受けた模試は多かったですが、限られた時間の中で自分の力を出し切る訓練が出来たので、多いくらいで調度良かったと思っています。センターに自信があれば、センター模試は削ってもいいかもしれませんが、私の場合直前までセンターの合計点数が800を超えなかったので、できるだけ受験するようにしていました。
Kさん(理科Ⅰ類)
受験した模試(名称は当時):
駿台・ベネッセ マーク模試(第1回、第2回)、駿台 全国模試(第1回、第2回)、駿台 大学入試センター試験プレテスト、東大入試実戦模試(第1回、第2回)、河合塾 早大・慶大オープン
コメント:
駿台予備校に通っていたので駿台が主催する模試は受けるようにしていましたが、それで十分でしたし、それ以外は受ける必要性を感じなかったので受験しませんでした。滑り止めに早慶を受験するつもりだったので河合塾の早慶オープンはお試し感覚で受験しました。
斎藤 匡洋