センター試験の化学は、全体的に見れば素直な問題が多く、高校の学習内容を理解できれば安定した得点を期待できる科目ではあります。ただ、化学という科目の特性上、知識が問われる問題と計算問題の両方をバランスよく、かつ限られた時間内に正確に解くことが要求されます。また、センター試験はマーク形式ということもあり、知識が問われる問題では“ひっかけ問題”が出題されることがあるので、過去問演習を通じて問題に慣れておくことが必要になってきます。
■出題内容■
それでは、出題内容を確認していきます。試験時間は60分で100点満点。大問は4つで構成されており、出題分野・配点は次表のようになっています。
番号 |
出題内容 |
配点 |
第1問 |
物質の構造、小問 |
25点 |
第2問 |
物質の変化(反応熱、酸と塩基、酸化還元反応) |
25点 |
第3問 |
無機化学 |
25点 |
第4問 |
有機化学 |
25点 |
第1問
単体・化合物の区別や、原子の構造、周期表、物質量や濃度に関する問題が多く出題されます。また、日常生活と化学との関わりとして、広く身の回りで見られる現象を化学的に捉えさせる問題も出題されます。基本的な内容ですが、焦らず確実に得点することが大事です。
第2問
反応熱や酸と塩基、酸化還元反応といった分野から出題されます。酸化還元反応では主に電池・電気分解に関する問題が見られます。計算問題が最も多く出題される大問でもあり、この問題をいかに速く効率的に解くかが全体的な時間配分を大きく左右するでしょう。
第3問
周期表で見られる元素の性質について問われる問題が出題されます。基本的には覚えることをしっかり覚えていれば解ける内容になっており、学習量がものをいう大問といえるでしょう。ただ、酸と塩基などに絡めて理論化学との複合問題として出題されることもあるので注意が必要です。
第4問
有機化合物に関する問題が出題されます。有機化学の基本知識の理解を問う問題と、構造決定のように知識を使って応用的な問題を解くことが要求されます。思考を試されるので、第2問と同様にいかに速く解くかが重要です。過去問などを活用して問題に慣れておくとよいでしょう。
■学習アドバイス■
計算問題は、答えを選択肢から選ぶ形式のため、ある程度の曖昧さを残して計算することができます。四捨五入などを使って概算を求めるといった技術を状況に応じて使えるようになると、時間短縮に役立つでしょう。
第3問や第4問で問われる知識は量的にもかなり多くなってきます。その場しのぎで暗記しても点数をあげていくのはなかなか難しいかもしれません。しかし、理系の学生で2次試験を化学で受験するとなると満点を取って当たり前という分野でもあるので、この分野が苦手という受験生は気を引き締めて、今すぐにコツコツと知識を詰めていきましょう。今まで解いてきた問題集やセンター模試の問題、過去問などで間違えた問題を洗い出し、暗記カードを作って通学時間に見るなどすると限られた時間を有効に使えるはずです。
加えて、年度によって数問、難問と思われる問題が出題されることがあります。
例えば第2問、第4問の計算や思考を問う問題では、学校の問題集では見たことの無いような実験について解答することを求められることがあります。このような問題は、“つまりどういう化学反応が起きているのか”“つまりどういうことをやっているのか”ということを考えるようにしましょう。基本原理は教科書や問題集で勉強してきたことが、ちょっと化けの皮をかぶっているだけということがほとんどです。
また、第3問、第4問の知識を問う問題では、選択肢に見たことも聞いたこともないような説明文が含まれていたりすることがあります。このような問題は、意外と単純な選択肢が答えになっていることが多く、意味の分からない選択肢に惑わされないことが大切です。もちろん、ある程度きちんと勉強していることが前提ですが……。
■参考得点■
・総合9割目指すなら……96~100点
・苦手でもここまでは……88~92点
・本番で大失敗……80点
センター化学は、数学のように問題がストーリーになっているわけではないため、本番に限って大失敗することは稀ですが、一応上記のように設定しました。つまらない計算ミスをなくすことと、ひっかけ問題に引っかからないことが高得点のカギになってくるでしょう。
2013/12/11 川瀬響
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