特集ブログ

センター9割への道 第11回:総括

 これまでの10回を振り返って、いかがだったでしょうか。各科目、“センター試験で9割取る人はこんな感じ”みたいな感覚を、少しでも掴み取っていただけたのではないでしょうか。とは言え、10回に渡って言われてきたことを全部うまくやるだなんて、そんな…
 これまでの10回を振り返って、いかがだったでしょうか。各科目、“センター試験で9割取る人は一般的にこんな感じ”みたいな感覚を、少しでも掴み取っていただけたのではないでしょうか。とは言え、10回に渡って言われてきたことを全部うまくやるだなんて、そんなことが簡単にできるのなら誰も苦労しません。現役の東大生で9割を越えていたという人だって、皆が皆全科目で<総合9割目指すなら>の点数を達成できている訳ではないのです。大事なことは、入試は総合点勝負だということ。誰しもが得意・不得意を持っているものです。最後の最後で要となるのは、個性に合わせて自分に適した全体としての戦略を立てられるか、ターゲット得点を設定できるかどうか――これに尽きます。「センター9割への道」ラストとなる今回は、具体的に810/900が取れた場合の得点配分としてありがちと思えるものを見てもらい、“センター試験で総合9割を取る”ということがどういうことなのかをイメージできるようになってもらおうと思います。


■と、その前に■
 ここに来てですが、まずはターゲット得点の設定の仕方について、大事なことをひとつ付け加えておきます。それは、

ターゲット得点は1人につき2つ想定せよ!!


ということです。すなわち、“目指すべき点数”という意味での「目標点」と、“どんなにしくじってもこの点数は割らない”と言う意味での「目標点」を設定しなさいということなんです。試験ですから、そりゃあ点は取れるだけ取るに越したことはありませんが、上ばかり見ていたけれど蓋を開けてみたら全然だった、なんてことも実はありがち。「この点数を目指してやろう」という野心を持つと同時に、「この科目で最低限ここさえ割らなければ大変なことにはならないな」ということも把握しておいて、盤石の態勢を敷く人ほど点数が安定するものだと思ってください。本稿では便宜上、前者の目標点を“目標ライン”、後者を“最低ライン”と呼ぶことにします。
 以下に上げる具体例は、このことを踏まえた上で参考にしてもらいたいと思います。


<例1>

倫理・政経

国語

英語

物理

化学

数学

合計

90

160

190

95

92

190

827/900


 安定的に9割を取るような理系の人の得点としてはかなりオーソドックスなタイプです。高得点を固めやすい理系科目を中心に点を引き上げておくことで、もし国語が本番で多少崩れたとしても9割に乗るような幅が出来ていますね。本番までにこのくらいが現実的だと思えるようになっていれば、センター試験は割と安心して見ていられます。

<例2>

世界史

地理

国語

英語

地学

数学

合計

95

90

170

194

95

181

825/900


 例1の文系版といったところでしょうか。国語で攻められればもう少し点が伸びますが、個人的にはそれなら数学でもう10点狙った方が、文系の人と言えど安定しそうな気がします。例1、例2ともに言えることですが、本番でこれくらい取れる人間は、目標ラインとして数学満点・英語は第1問で1ミス・理社も満点~1ミス・反対科目(理系の社会・文系の理科)で2ミス、くらいに心の中で思っていて、勿論本人も実際にそんなにうまくいくわけがないとは理解しているから最低ラインの確認にも余念がない――という域に達しているように感じます。


 では、「そんなの無理だよ!」という人にはセンター9割のチャンスは無いのか、というと勿論そんな訳はありません。もう少し“優等生ぶらない”得点配分を見ていきましょう。


<例3>

世界史

地理

国語

英語

生物

数学

合計

91

94

169

192

94

170

810/900


 数学にちょっと自信が無い文系の人。とても高い点数があるという訳ではありませんが、それでも9割には届いています。押さえるべき最低ラインをしっかり押さえる、ということを大事にした結果でしょう。

<例4>

倫理・政経

国語

英語

物理

化学

数学

合計

95

127

194

100

96

200

812/900


 逆に、極端に理数系が出来て国語ができないという理系。読解ができない分を暗記科目でカバーするガッツは必要ですが、激しく国語ができないという自覚があればこそ、9割取るためのライン設定・自分なりの対策ができるのです。

 この例3、例4に共通して言えるのは、自分がどの科目でどこまで点数を下げる可能性があって、それをリカバーするためにはどの科目でどこまで点数を上げる必要があるのか、ということを、自分でよくわかって試験に臨んでこそ初めて掴める結果だということです。


 以上、“もともとセンターがよく出来る人”・“センターの為に努力して結果を出す人”の両方について、“9割を取るなら”妥当だと言える点数配分を見てきました。このように“810点”というものをもっと詳しく見ることで、これから何をすべきか掴めたものもあるのではないでしょうか。特に後者を目指す人、まずは自分自身を徹底的に分析するところから始めてみてください。


 一通り見てきたところで、「センター9割、結局簡単じゃないじゃん……」という声も挙がりましょう。しかし残念ながら、これが受験指導に関わる人間として、東大入試ドットコムを運営するメンバーとして皆さんにお伝えできる、ひとつの“一般的な”現実なのです。

 今回の企画名は“センター9割への道”――我々が伝えたかったものは、かつてこの道を志した人間の多くが目にしたであろう風景です。「意外と大したことないね」と思った人、「相当険しいな……」と思った人、きっとどちらもいるのでしょう。我々はそのどちらの人にも役立つ情報として、“楽してセンター高得点”なんて薄っぺらなものではなくて、これからこの道を目指す上で必要な覚悟を示したかったのです。一通り読み、この風景に自分を重ねたいと思った人には、改めて今回の記事が進むべき方角を指し示してくれるでしょう。

2013/12/21 石橋雄毅

センター9割への道

倫理・政経世界史地理国語英語
物理化学生物地学数学
総括


list page 

ソーシャルボタン

公式Twitterアカウント