【東大数学分野別解説】#05 昔の良問で学ぶ "積分"

この連載では,東大数学の過去問の中から学びの多そうなものを分野別に解説していきます。単に正解を述べるだけでなく,問題を解く際のアプローチや補足事項も添えるので,初見の問題への対応力も磨けることでしょう。

今回は 1983年 の東大理系数学 第6問 について,さまざまな解法を解説します。
問題自体はかなり古いですが,学ぶところの多い良問です。
最後に,積分で体積を求める問題についての注意点を述べます!

問 題

放物線 $y=\dfrac{3}{4}-x^2$ を $y$ 軸のまわりに回転して得られる曲面 $K$ を,原点を通り回転軸と$45^{\circ}$ の角をなす平面 $H$ で切る。曲面 $K$ と平面 $H$ で囲まれた立体の体積を求めよ。

東大 1983年 理系数学 第6問

初 手 (全 解 答 の 共 通 部 分)

曲面 $K$ の式は,$y=\dfrac{3}{4}-x^2-z^2$ である。また,平面 $H$ の方程式は $y=x$ としてもよい(このあたりは空間座標の基本的な知識が必要,東大を受験する理系なら短時間で突破したい)。

解 答 1 : 平 面 $z=t$ で 切 る

平面 $z = t$ で切った断面の面積 $S(t)$ を考える。曲面 $K$ と $z = t$ の共通部分は $y=\dfrac{3}{4}-x^2-t^2$ であり,平面 $H$ と $z=t$ の共通部分は直線 $y=x, \, z = t$ である。よって,この放物線と直線で囲まれた図形の面積が $S(t)$ である。放物線と直線の交点の $x$ 座標を $\alpha, \, \beta$ とおくと,$\dfrac{1}{6}$ 公式より

$S(t)=\dfrac{|\beta-\alpha|^3}{6}$

一方,$\alpha, \, \beta$ は 2 次方程式 $x = \dfrac{3}{4} - x^2 - t^2$ の解なので,解と係数の関係より

$$
\begin{align}
(\beta - \alpha)^2 &= (\alpha + \beta)^2 - 4 \alpha \beta \\
&=1 - 4 \left( t^2-\dfrac{3}{4} \right) = -4 t^{2} + 4
\end{align}
$$

となる。以上から $S(t)=\dfrac{4}{3}(1-t^2)^{\frac{3}{2}}$ がしたがう。

よって,求める体積($V$ とする)は

$V = \displaystyle\int_{-1}^{1} S(t) \, dt = \dfrac{8}{3} \int_{0}^{1} (1-t^2)^{\frac{3}{2}} \, dt$

(積分範囲は,$\alpha = \beta$ となるのが $t = \pm 1$ であるときであることからわかる。)

あとは $t = \cos \theta$ と置換して積分するのみ:

$$
\begin{align}
V &= -\dfrac{8}{3}\displaystyle\int_{\frac{\pi}{2}}^0\:\sin^3\theta\sin\theta d\theta \\
&= \displaystyle \dfrac{2}{3}\int_0^{\frac{\pi}{2}}(1-\cos 2\theta)^2d\theta \\
&= \dfrac{\pi}{2}
\end{align}
$$

最後の積分計算は少し省略しましたが,わりと簡単な計算です。

解 答 2 : 平面 $x=t$ で 切 る

平面 $x = t$ で切った断面の面積 $S(t)$ を考える。曲面 $K$ と $x = t$ の共通部分は $y = \dfrac{3}{4} - t^{2} - z^{2}$ であり,平面 $H$ と $x = t$ の共通部分は $y = t$ である。
放物線と直線の交点の $z$ 座標を $\alpha, \, \beta$ とおくと,$\dfrac{1}{6}$ 公式より

$S(t) = \dfrac{|\beta-\alpha|^3}{6}$

一方,$\alpha, \, \beta$ は 2 次方程式 $t = \dfrac{3}{4} - t^{2} - z^{2}$ の解なので,

$|\beta - \alpha| = 2 \sqrt{-t^{2} - t + \dfrac{3}{4}}$

よって,求める体積は

$$
\begin{align}
V &= \displaystyle\int_{a}^bS(t)dt \\
&= \dfrac{4}{3} \int_{a}^{b} \left( -t^2-t+\dfrac{3}{4} \right)^{\frac{3}{2}} \, dt
\end{align}
$$

ここで,$a, \,b$ は $ - t^{2} - t + \dfrac{3}{4} = 0$ の解,つまり $a = - \dfrac{3}{2}, \, b = \dfrac{1}{2}$ である。

これを積分する必要があるが,解答 1 よりはかなり難しい。ルートの中が二次式であることに注意して置換積分を行う。
$t = - \dfrac{1}{2} + \cos \theta$ と置換すると,ルートの中身は $- \left( t + \dfrac{1}{2} \right)^2 + 1 = \sin^{2} \theta$ となるので,

$$
\begin{align}
V &= \dfrac{4}{3} \displaystyle\int_{\frac{\pi}{2}}^{0} \sin^{3} \theta \cdot (-\sin\theta) \, d\theta\\
&= \dfrac{8}{3} \displaystyle\int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \sin^4\theta \, d\theta
\end{align}
$$

これは解答1と全く同じ式である。以下解答1と同様に積分すれば,体積 $V$ を求めることができる。

解 答 3-1 : 平面 $y = x + t$ で 切 る

高校では習わない知識(正射影と面積の関係)を認めれば,平面 $y = x + t$ で切っても計算できます。$y = x + t$ で切った断面の面積 $S(t)$ を考える。曲面 $K$ と $y = x + t$ の共通部分は $x + t = \dfrac{3}{4} - x^{2} - z^{2}$,つまり $(x+\dfrac{1}{2})^{2} + z^{2} = 1 - t$である。

この式は $xz$ 平面における円の方程式を表す。つまり,断面を $xz$ 平面に正射影すると半径 $\sqrt{1-t}$ の円になる。よって,

$S(t) = \sqrt{2} \pi (1-t)$

したがって,求める体積は,

$\displaystyle\int_{0}^{1} S(t)\cdot\dfrac{1}{\sqrt{2}} \, dt = \dfrac{\pi}{2}$

解 答 3-2 : $y = x + t$ で 切 る

回転放物面と平面の共通部分が楕円になることを認めれば,正射影を考えなくても $S(t)$ が計算できます。
計算の詳細は省略しますが,$y = x + t$ で切った断面は長軸の長さが $2 \sqrt{2} \sqrt{1-t}$,短軸の長さが $2\sqrt{1-t}$ の楕円になるので,$S(t) = \sqrt{2} \pi (1-t)$となります。

補 足

本問で考えた立体を図示すると,次のようになります。


今回のまとめ:
積分で体積を求める問題について

  • 東大では積分を用いて立体の体積を求める問題が頻出です。この手の問題では切る方向が非常に重要になります。切る方向が不適切な場合,被積分関数が複雑な形となり,計算に苦労することになります。どの方向から切るべきなのか考える時間は長めに取りましょう。(時間がもったいないようですが,大抵の場合時間の投資回収ができるように思います。)
  • 立式しても終わりではありません。定積分の計算は非常にミスしやすいので,計算はかなり丁寧にしましょう。答案に途中式を細かく書くと検算もしやすいのでおすすめです。そして出てきた値が実際の立体の体積の値として妥当かどうかも確認しましょう

この記事の著者/編集者

林俊介   

東大生講師によるオンライン家庭教師の運営をしたり,登録者22,000 人超えの YouTube チャンネルで大学入試問題の解説をしたりしています。

2019年 東大物理学科卒
Twitter: @884_96

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東大数学分野別解説

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