連載A級紙

【A級紙】 #04 重積分 ~高校数学で "重心" を眺める~

シリーズ「A級紙」は、皆さんが高校までで学習している内容が大学ではどんな風に現れるのか、また実際の研究でどのように使われているのか、生活にどのように溶け込んでいるのかといった話題を、東京大学の数学・物理・化学の入試問題に(無理矢理)絡めてちょっとだけでも知ってもらい、勉強をより一層楽しんでもらおうという連載です。

みなさん,こんにちは!
東大入試ドットコム 編集長の林俊介です。

「空間図形の体積を求めよ」というとき,受験生の皆さんが真っ先に思い浮かべる,むしろ真っ先に思い浮かべられるようになっておくべき解法は「適当な断面で切って面積を求め積分する」というものでしょう。
東大の理系数学でも頻出の考え方ですね(多項式関数であれば,稀に文系数学でもこの考え方が登場します。)。

難関大の受験業界においてはその他にも有名な解法がいくつかあります。
俗にいう “バウムクーヘン分割” もその中のひとつですが,そもそも受験業界にこの手法を初めて持ち込んだのはこの東大理系数学1989年第5問だという考えを聞いたことがあります。(どこの誰の意見かは覚えていないです。ごめんなさい。)

$f(x) = \pi x^2 \sin \pi x^2$ とする。$y = f(x)$ のグラフの $0 \leqq x \leqq 1$ の部分と $x$ 軸とで囲まれた図形を $y$ 軸のまわりに回転させてできる立体の体積 $V$ は $V = 2 \pi \displaystyle\int x f(x) \, dx$ で与えられることを示し,この値を求めよ。

1989年度 東京大学 理系数学 第5問 より

方々で耳にすることですが,ここからも確かに東大入試が日本の大学入試全体を牽引する役割を担っているといえますね。

空間図形の求積手法の一つとして,特に回転体の体積を求めるときに大いに役立つ有名な “裏ワザ” が存在します。
数学好きの方はご存知かもしれませんが,それが次の

Pappus-Guldinus の定理(パップス=ギュルダンの定理)

平面図形 $S$ を,$S$ を貫かない軸のまわりに 1 回転させたときに通過する領域の体積は,$S$ の重心が描く軌跡の長さと $S$ の面積の積に等しい。

です。
これを用いると大抵の回転体の体積はすぐに求まるのですが,高校範囲に収まらないため入試本番での使用がグレーゾーンといわれる,まさに “裏ワザ” です。

しかしせっかく便利なツールがすぐそこにあったら,使いたくなってしまうのが人の性。
入試では答案に正しい証明をキチンと書けば使ってよいといいますし(証明しないで使うと減点されるとの噂もあるが真偽やいかに),今回はまずパップス=ギュルダンの定理の理解に必要な “重積分” の世界から,ちょっと背伸びして覗いてみましょう。

高校で習う積分は,ある 1 つの軸の方向へ,微小な幅を持った長方形の面積を足し合わせていくイメージで紹介されたはずです。
その中で養われたであろう皆さんにとってのこの「インテグラル」という記号への認識は “その計算操作を表す単なる記号” というものでしかないとは思いますが,インテグラルの本質的な意味は本来この “微小なもの・連続的なものを足し合わせる” というところにあります。そもそもの話,「“ $\displaystyle\int_{0}^{1} f(x) \, dx$ ”は図形的にはどういう意味なのか?」を思い出してみると,“縦の長さが $f(x)$ ,横の長さが微小な値 $dx$ である長方形の面積 $f(x)dx$ を,区間 $[0,1]$ で足し合わせる”ということですよね。この意味を数式に落とし込んだのが,例の極限を使った式

$\displaystyle\int_{0}^{1} f(x) \, dx = \displaystyle\lim_{n \to \infty} \displaystyle\frac{1}{n} \displaystyle\sum_{k=1}^{n} f \left( \displaystyle\frac{k}{n} \right)$

となるわけですが,積分という操作自体は本来このようにシグマを使うのと似たようなことをいっているのです。

数学的に正確に書こうとするが故の,数列っぽい考え方の設定やゴツい式への極限の導入が,初学者である高校生にとって強烈なインパクトになってしまっているだけなんですね。
とりあえずここから先は,不連続なものを足し合わせるときは "$\Sigma$",連続的なものを足し合わせるときは "$\int$" くらいの違いなのだと割り切って読み進めてみてください。

では,さっそく次の問題を考えてみたいと思います。


$xy$ 平面上に 4 点 ${\rm O}(0,0), \, {\rm A}(1,0), \, {\rm B}(1,1), \, {\rm C}(0,1)$ を頂点とする正方形の板がある。この板の密度は一様ではなく,$x$ と $y$ についての 2 変数関数 $\rho (x,y)$ で次のように表される。

$\rho(x, y) = y^2 e^{-x}$

(1) 板の質量 $M$ を求めよ。

(2) 板の重心 ${\rm G}$ の座標 $(X,Y)$ を求めよ。


初見で皆さんにこんなものを解いてもらうつもりはありません。(もちろん,自信のある人は取り組んでみてください!)
早速,先程述べた考え方でこの問題を解いてみましょう。

(1) の解説

まず,題意の正方形を縦の長さが微小な値 $dx$,横の長さも微小な値 $dy$ である微小な大きさの無数の長方形に切り分けます。
すると位置 $(x,y)$ に置かれたこの長方形の質量は,大体 $\rho (x,y) dxdy$ であるといえそうです。
この近似をもう少し正確に議論することもできなくはないですが,話が難しくなるので今回は正確な議論を無視していきます。
一応無視しても大丈夫である根拠を言っておくなら,高校で学ぶ積分の定義で長方形の面積の和と考えたときだって,本当は長方形が余る or 足りない部分があったでしょう?
しかし極限を取った先ではそれが無視できると考えました。これと同じことです。

さて,これを正方形の領域全体で全て足し合わせれば求める質量 $M$ が得られそうです。ここで,インテグラルは “微小なもの・連続的なものを足し合わせる”v記号であるということ,そして今までの積分 “$\displaystyle\int_{0}^{1} f(x) \, dx$” が “$x$ 軸というある1つの軸の方向へ,微小な幅を持った長方形の面積を足し合わせていく操作”を表していたことを踏まえると,次のような書き方・考え方は受け入れてもらえるのではないでしょうか?

$M = \displaystyle\int_{0}^{1} \int_{0}^{1} y^2 e^{-x} dx dy$

$x$ 軸方向,$y$ 軸方向の 2 方向について積分してしまう……これが「面積分(二重積分)」です。とりあえずこれを今までの積分の知識に照らし合わせてなんとなく(勘で)計算してみれば

$$
\begin{align}
M &= \displaystyle\int_{0}^{1} \int_{0}^{1} y^2 e^{-x} dx dy = \displaystyle\int_{0}^{1} \left[ - y^2 e^{-x} \right]_{0}^{1} \, dy \\
&= \displaystyle\int_{0}^{1} \left( 1 - \frac{1}{e} \right) y^2 \, dy = \left( 1- \displaystyle\frac{1}{e} \right) \int_{0}^{1} y^2 \, dy \\
&= \displaystyle\frac{e-1}{3e}
\end{align}
$$

となりますが,実際これで正解です。今回は特に $x$ と $y$ の間に依存性が無いので,ちゃんと極限を使って正確に議論したとしても結局今までの積分の定義式と同じような形になるであろうことが予想されます。
一方の文字についての積分の際に他方の文字を定数とみなして計算しただけの,こんな勘が通用してしまうのも妥当といえるでしょう。
上では $x$ から先に積分していますが,今回の場合は $y$ から積分しても,結果が上で見たのと同様に,それぞれの文字を含む部分で $\int$ を分けて別々に計算し積をとった

$$
\begin{align}
M &= \left( \displaystyle\int_{0}^{1} e^{-x} \, dx \right) \left( \displaystyle\int_{0}^{1} y^2 \, dy \right) \\
&= \left( 1 - \displaystyle\frac{1}{e} \right) \cdot \displaystyle\frac{1}{3} = \frac{e-1}{3e}
\end{align}
$$

となり変わりません。

そもそも表記からして統一されておらず,高校時代は積分操作といえば “$\displaystyle\int f(x) dx$” の形で書かなければ絶対ダメだと思い込んでいたものですが,上の例題の積分の式は,大学では “$\displaystyle\int_{0}^{1} \left\{ \displaystyle\int_{0}^{1} \rho(x, y) \, dx \right\} dy$” や “$\displaystyle\int_{0}^{1} \left\{ \displaystyle\int_{0}^{1} \rho(x, y) \, dy \right\} dx$” と書いても“$\displaystyle\int_{0}^{1} dx \displaystyle\int_{0}^{1} dy \, \rho (x, y)$”としても,考えている領域を暗黙の了解のうちに $S$ として”$\displaystyle\int \int_{S} \rho (x, y) \, dS$”と表現しても通じます( $S$ が面積を表すのは当たり前ということで,面積分ですら ”$\displaystyle\int_{S} \rho(x, y) \, dS$” と書くことも)。
使用するときも,慣れてきたら「とりあえずこの領域で全部足し合わせるんだから積分で~……」というくらいの感じで,高校時代ほど積分に対し慎重にならなくなりますね。

たいへん大雑把でしたが,面積分の実用は要するにこういうことです。
受験勉強中は「中途半端な理解で先を急ぐくらいなら,遅くても確実に理解してから進みなさい」とよくいわれますが,大学以降勉強が難しくなってきたときには逆に「とりあえずわからないままでも先に進んで慣れてみて,使い方が分かってきてから改めて理解しなおす」ということの方が大事になることも往々にしてあります。

これが受け入れられるようになると,拡張しただけの「体積分(三重積分): $\displaystyle \int \int \int_{V} \rho(x, y, z) \, dV$ 」を認められるようになるまでにそう時間はかからないことでしょう。また「それ以上の拡張もできるんだろうけど,4 次元以上なんて考えたところで使う機会無いんじゃないの?」という方は驚くなかれ。
例えばより厳密に理想気体の状態方程式を導くことなどのできる統計力学(“力学” といえど,化学でも分野によっては使います)では,なんと

$$
\begin{align}
Z &= \displaystyle\frac{1}{(2 \pi \hbar)^{3N} N!} \\
&{} \hspace{15mm} \cdot \displaystyle \int \int \cdots \int \exp \left( - \beta \sum_{i = 1}^{N} \left( \frac{\vec{p}_{i}^{2}}{2m} + U( \vec{x} ) \right) \right) \\
&{} \hspace{15mm} \cdot \displaystyle\prod_{i=1}^{N} dp_{ix} dp_{iy} dp_{iz} dx_{i} dy_{i} dz_{i}
\end{align}
$$

で表される $6N$ 次元積分なんて途方もないものをベースに話が進んでいったりしますよ(しかも,$N$ は分子数なのでアボガドロ定数と同じ $10^{23}$ のオーダーの数)。

積分に対する認識も大分変わってきたところかと思いますが,さらに極めつけ。
面積分の領域 $S$ は “平面” に限らずどんな “面” に対しても考えることができて,それは例えば “球の表面” や “円柱の側面”,果ては “原点を含む任意の立体の表面” なんかもOK。
高校物理でも習うガウスの法則は,大学では

$\displaystyle\int \int_{S} \vec{E} \cdot \vec{n} \, dS = \int \int \int_{V} \frac{\rho}{\varepsilon_{0}} \, dV$

などと表されます。道具としての自由度が増すことで,様々な現象が数式で表されるようになっていくんですね。

(2) の解説

問題を解くにあたって,まず重心の定義が必要です。
高校の物理の教科書では,まず 2 つの質点からなる系の重心について次のように説明されていることと思います。

位置 $\vec{x}_1$ にある質量 $m_1$ の物体 1 と,位置 $\vec{x}_2$ にある質量 $m_2$ の物体 2 からなる系の重心の位置ベクトル $\vec{x}_G$ は次のように表せる。

$\vec{x}_{G} = \displaystyle\frac{m_{1} \vec{x}_{1} + m_{2} \vec{x}_{2}}{m_{1} + m_{2}}$

そして東大を目指す皆さんの中には,これをもっとたくさんの質点からなる系に拡張した

$\vec{x}_{G} = \displaystyle\frac{\displaystyle\sum_{i=1}^{N} m_{i} \vec{x}_{i}}{\displaystyle\sum_{i=1}^{N} m_{i}}$

を知っている人も多いでしょう。
式の特徴をあえて言葉にするなら,分母をはらって

"(重心の位置ベクトル) × (系全体の質量の総和)" = "(各質点の位置ベクトル) × (その質点の質量の総和)"

とすると見やすいキレイな関係になるでしょうか。

さて,以上の話は質点という不連続なものについて考えてきたものでした。
今回は連続体の重心を考えようとしている訳ですよね……とここまでいえばもうお分かりでしょう。

そう,要は上の議論における $\Sigma$ さえ $\int$ に置き換えられたらよいのです。

いきなりベクトルと積分を同時に扱うと混乱するかもしれませんから,ここでは分かりやすさを優先し,ベクトルが成分ごとに計算できることを利用してそれぞれの成分で考えることにします。
(1) 同様に、縦の長さが微小な値 $dx$,横の長さも微小な値 $dy$ である,位置 $(x,y)$ に置かれた微小な長方形を考えます。
この重さが $\rho (x,y)\, dxdy$ であることに注意して,上の関係が成り立つように式を当てはめていくと……

$xy$ 平面上の領域 $S$ 内に存在する密度関数 $\rho (x,y)$ をもつ2次元の物体の重心の座標 $(X,Y)$ は次式で定義されます。

$$
\begin{align}
X &= \displaystyle\frac{1}{M} \int \int_{S} x \rho (x, y) \, dx dy, \\
Y &= \displaystyle\frac{1}{M} \int \int_{S} y \rho (x, y) \, dx dy
\end{align}
$$

ただし $M = \displaystyle\int \int_{S} \rho(x, y) \, dx dy$

これも,どんな次元であっても同様です。


※ちょっとした補足

ちなみに,"被積分関数がベクトル値の場合の計算は成分ごとに行う" ということを約束すれば,領域 $D$ 内の物体の重心の位置ベクトル $\vec{g}$ は,次元によらず同じ形

$\displaystyle\int_{D} \left( \vec{g} - \vec{x} \right) \rho( \vec{x} ) \, d \vec{x} = 0$

により定義できます。任意の次元で意味が通る式で書き表しているため,抽象的な $\rho ( \vec{x} )$ や $d \vec{x}$ といった表記に抵抗を覚えるかもしれません。その場合は,(あくまでここは補足なので)あまり気にしないでください。


これさえ分かってしまえばこの問題はもう単なる積分練習です。(1) と全く同様にして計算すれば重心が出るはずですから,ぜひ自身で計算してみてください。
定義式さえ与えてしまえば,あとはある意味ただの計算問題です。


解答

$$
\begin{align}
X &= \displaystyle\frac{1}{M} \int \int_{S} x \rho(x, y) \, dx dy \\
&= \displaystyle\frac{3e}{e-1} \int_{0}^{1} \, dx \int_{0}^{1} dy \, x \cdot y^2 e^{-x} \\
&= \displaystyle\frac{e}{e-1} \int_{0}^{1} x e^{-x} \, dx \\
&= \displaystyle\frac{e}{e-1} \left[ - xe^{-x} - e^{-x} \right]_{0}^{1} \\
&= \displaystyle\frac{e}{e-1} \cdot \frac{e-2}{e} = \frac{e-2}{e-1}
\end{align}
$$

$$
\begin{align}
Y &= \displaystyle\frac{1}{M} \int \int_{S} y \rho(x, y) \, dx dy \\
&= \displaystyle\frac{3e}{e-1} \int_{0}^{1} \, dx \int_{0}^{1} dy \, y^3 e^{-x} \\
&= \displaystyle\frac{3e}{4(e-1)} \int_{0}^{1} e^{-x} \, dx \\
&= \displaystyle\frac{3e}{4(e-1)} \cdot \frac{e-1}{e} = \frac{3}{4}
\end{align}
$$

$(X, Y) = \left( \displaystyle\frac{e-2}{e-1}, \, \frac{3}{4} \right)$


もし興味があったら,グラフソフトで本問の板や重心の位置を図示してみましょう。

以上,ここまで積分の新たな側面を見てきました。

このような考え方は理系学問のいたる所で必須となってくるので,今後の A 級紙の記事にも折に触れて登場してきます。
その際は今回を思い出してください。

それにしても “考えている領域で連続的に変化する量について和をとる” という操作,感覚的には単純そうなのですが,これを厳密に “領域の形が決まっていなくても式を作れる” ように便利な定義を作るとなるともう途方もない話ですよね。
尊い先人達が築き上げてきた偉大な理論的体系のありがたみをここでも感じます。
しかも,驚くべきことに積分にはもっとたくさんの種類・分類が存在していて,物理の位置エネルギーの考え方などで登場してくる「線積分」,実数の範囲にとらわれていると直接求めることができない定積分の値を複素数にまで拡張して考えることで求めてしまう「複素積分」,不連続な関数にすら定義できてしまう「Lebesgue 積分(ルベーグ積分)」……などなど,“和をとる” という操作に対し実に様々な考え方が開発されてきたのです。
皆さんが今学んでいるのは,その壮大な積分の世界への第一歩であるということを是非知っておいてください。

東大に合格するだけの積分の能力があるなら,あとは上のイメージを掴んでしまうだけで教養学部程度の物理科目の山はひとつ越えたようなものです。
逆に,このイメージを掴めば “断面積を求めて積分したら体積が出る” という高校内容についても理解が深まることでしょう。
以上の内容が高校生の皆さんにとって簡単に理解できるようなものだとは決して思っていませんが,興味のある方はぜひ,息抜きついでに何度も読み返してほしいです。

最後に,ここまで余裕でついてくることができた意欲的なみなさんへ。

一般的な高校生向けの積分計算の練習教材だと面白くないかもしれないので,上の内容をふまえ,数学Ⅲ の積分練習の足しくらいにはなるであろう問題を用意しました。
興味のある人はチャレンジしてみてください!


第 1 問

$xy$ 平面上に4点 ${\rm O}(0,0), {\rm A}(1,0), {\rm B}(1,1), {\rm C}(0,1)$ を頂点とする正方形の板がある。この板の密度は一様ではなく,$x$ と $y$ についての 2 変数関数 $\rho (x,y)$ で次のように表される。

$\rho (x, y) = \sqrt{\displaystyle\frac{1 + y^2}{1 + x^2}}$

(1) 板の質量 $M$ を求めよ。
(2) 板の重心 ${\rm G}$ の座標 $(X, Y)$ を求めよ。

第 1 問 ヒント

本文で出した問題の数値を変えただけなので,純粋な計算練習になるはずです。この積分計算,キチンとできますか?
東大入試において難しい積分計算は最近では 2019, 2011, 2004 年に出題されていますし,体積の計算も含めると計算量の多い積分は頻出です。
計算練習を侮って,いざというとき後悔することのないようにしましょう。
特に本問程度の計算は東大合格者の多くが入試までに経験していると思われます。

以下の解答では都合上途中計算を省略しますが,もし計算の方法がわからないものがある場合は,必ず自身で考えたり調べたりしてください。

第 1 問 解答

以下,次の積分計算を用いる。

$$
\begin{align}
\displaystyle\int_{0}^{1} \frac{x}{\sqrt{1 + x^2}} \, dx &= \sqrt{2} - 1 \\
\\
\displaystyle\int_{0}^{1} y \sqrt{1 + y^2} \, dy &= \displaystyle\frac{2\sqrt{2} - 1}{3} \\
\\
\displaystyle\int_{0}^{1} \frac{1}{\sqrt{1 + z^2}} \, dz &= \log (\sqrt{2} + 1) \\
\\
\displaystyle\int_{0}^{1} \sqrt{1 + w^2} \, dw &= \displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}} + \frac{1}{2} \log (\sqrt{2} + 1)
\end{align}
$$

(1)

題意の正方形を縦の長さが微小な値 $dx$,横の長さも微小な値 $dy$ である微小な大きさの無数の長方形に切り分けることを考える。
位置 $(x,y)$ に置かれたこの長方形の質量は $\rho (x , y) \, dxdy$ と表せるから。これをこの正方形内で全て足し合わせて

$$
\begin{align}
M &= \displaystyle\int_{0}^{1} \int_{0}^{1} \rho(x, y) \, dx dy \\
&= \left\{ \displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}} + \frac{1}{2} \log ( \sqrt{2} + 1) \right\} \log(\sqrt{2} + 1) \quad \cdots 答
\end{align}
$$

(2)

重心の定義より,

$$
\begin{align}
MX &= \int_{0}^{1} \int_{0}^{1} x\rho (x, y) \, dx dy \\
&= (\sqrt{2} - 1) \left\{ \displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}} + \frac{1}{2} \log ( \sqrt{2} + 1 ) \right\} \\
\\
MY &= \displaystyle\frac{1}{M} \int_{0}^{1} \int_{0}^{1} y\rho (x, y) \, dx dy \\
&= \displaystyle\frac{2\sqrt{2} - 1}{3} \log ( \sqrt{2} - 1)
\end{align}
$$

よって,

$$
\begin{align}
(X, Y) &= \left( \displaystyle\frac{1}{M} (\sqrt{2} - 1) \left\{ \displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}} + \frac{1}{2} \log ( \sqrt{2} + 1 ) \right\}, \right. \\
&{} \hspace{30mm} \left. \frac{1}{M} \displaystyle\frac{2\sqrt{2} - 1}{3} \log ( \sqrt{2} - 1) \right) \\
&= \left( \displaystyle\frac{\sqrt{2} - 1}{\log ( \sqrt{2} + 1 )}, \, \frac{(4 \sqrt{2} - 2) \log(\sqrt{2} - 1)}{3 \left\{ \sqrt{2} + \log ( \sqrt{2} + 1 ) \right\} } \right) \quad \cdots 答
\end{align}
$$


第 2 問

$p > 0, \, q > r$ とする。任意の三角形 ${\rm OAB}$ に対して,${\rm O}(0, 0), {\rm A}(p, q), {\rm B}(p, r)$ となるよううまく座標を設定できる。この三角形の重心を定義から求めよ。

第 2 問 ヒント

三角形の重心の位置ベクトルは各頂点の位置ベクトルの平均ですから,すぐに重心の座標を計算できます。
しかしここでは,今回扱った重心の位置の計算方法を適用してみましょう。

積分する領域が長方形のときは $x$ と $y$ それぞれで好き勝手に積分することが出来ましたが,それ以外の形になるとこの 2 つの変数が独立に自由な値を取ることができなくなります。
ここでは,一方の変数の積分区間に他方の変数を含めて順番に積分することを考えます。
つまり,今回積分する領域は不等式を用いて

$0 \leqq x \leqq p, \quad \displaystyle\frac{r}{p} x \leqq y \leqq \frac{q}{p} x$

と表せますから,次のように重積分すると考えてみればどうでしょうか。

$\displaystyle\int_{0}^{p} \left( \int_{\frac{r}{p} x}^{\frac{q}{p} x} \, dy \right) \, dx$

原理的にはこれを一つの式にまとめず順を追って別々に書いたものが,お馴染みの “軸に垂直な面の断面積を求めて積分” という手法ということになります。
つまり今回の場合では,まず積分領域を $x = \alpha$ の位置にある微小幅の長方形についてのみ着目して積分します。これが

$\displaystyle\int_{\frac{r}{p} \alpha}^{\frac{q}{p} \alpha} \, dy$

その $\alpha$ を $0$ から $p$ まで動かして足す。
この一連の流れをまとめてひとつの式にしたのが上式というわけです。

こう見ると,普段の学習内容からそれほど遠くはないことをやっているのだということが伝わるかもしれません。

第 2 問 解答

題意の通りに三角形を設定したとき,積分する領域は次の不等式で表される。

$0 \leqq x \leqq p, \quad \displaystyle\frac{r}{p} x \leqq y \leqq \frac{q}{p} x$

ここで

$$
\begin{align}
\displaystyle\int_{0}^{p} \left( \int_{\frac{r}{p} x}^{\frac{q}{p} x} \, dy \right) \, dx &= \int_{0}^{p} \frac{r-q}{p} x \, dx \\
&= \frac{r-q}{2} p
\end{align}
$$

であるから(これは密度を $1$ としたときのこの領域の質量,すなわち三角形の面積に等しい),積分の定義よりこの三角形の重心 $(X, Y)$ は

$$
\begin{align}
X &= \displaystyle\int_{0}^{p} x \left( \int_{\frac{r}{p} x}^{\frac{q}{p} x} \, dy \right) \, dx \div \frac{r-q}{2} p \\
&= \displaystyle\int_{0}^{p} \frac{r-q}{p} x^2 \, dx \div \frac{r-q}{2} p \\
&= \displaystyle\frac{r-q}{3} p^2 \div \frac{r-q}{2} p \\
&= \displaystyle\frac{2}{3} p \\
\\
Y &= \displaystyle\int_{0}^{p} \left( \int_{\frac{r}{p} x}^{\frac{q}{p} x} \, y \, dy \right) \, dx \div \frac{r-q}{2} p \\
&= \displaystyle\int_{0}^{p} \frac{r^2 - q^2}{2p^2} x^2 \, dx \div \frac{r-q}{2} p \\
&= \displaystyle\frac{r^2 - q^2}{6} p \div \frac{r-q}{2} p \\
&= \displaystyle\frac{q+r}{3} \\
\end{align}
$$

したがって $(X, Y) = \left( \displaystyle\frac{2}{3} p, \, \frac{q+r}{3} \right)$ となり,これは三角形 {\rm OAB} の 3 本の中線の交点である。$\quad \cdots 答$


第 3 問

クッキーの生地をこねて伸ばしたものを $xy$ 平面上の第 1 象限に広げ,4 点 ${\rm O}(0,0), {\rm A}(1,0), {\rm B}(1,1), {\rm C}(0,1)$ を頂点とする正方形の領域で切り抜くと,その高さ $z(x,y)$ は次式で表された。

$z(x, y) = - \displaystyle\frac{\log (y+2)}{x^2 + 2x - 24}$

このとき,この正方形のクッキー生地の体積 $V$ を求めよ。

第 3 問 ヒント

重積分を学ぼうと思って文献を漁ると,ほとんどの場合まず本問のように空間図形の体積を求める例題から解説されるものです。(その観点からすれば本記事は少々イレギュラー。)
しかし要領は今までの密度の話と一緒なので何ら問題ありません。

第 3 問 解答

題意の正方形を真上から見て,縦の長さが微小な値 $dx$,横の長さも微小な値 $dy$ である微小な大きさの無数の長方形に切り分けることを考える。

位置 $(x,y)$ に置かれたこの長方形の体積は $z(x,y) \, dxdy$ と表せるから,これをこの正方形内で全て足し合わせて

$$
\begin{align}
V &= \displaystyle\int_{0}^{1} \int_{0}^{1} z (x, y) \, dx dy \\
&= \displaystyle\int_{0}^{1} \int_{0}^{1} \frac{\log (y + 2)}{10} \left\{ \frac{1}{x+6} - \frac{1}{x-4} \right\} \, dxdy \\
&= \displaystyle\frac{1}{10} \left( \log \frac{27}{4} - 1 \right) \cdot \log \frac{14}{9}
\end{align}
$$

よって $V = \displaystyle\frac{1}{10} \left( \log \frac{27}{4} - 1 \right) \cdot \log \frac{14}{9}$ となる。$\quad \cdots 答$


第 4 問

(1) 半径 $a \, ( > 0)$ の半球 $x^2 + y^2 + z^2 = a^2, \, z \geqq 0$ の重心を求めよ。

(2) 半径 $a \, ( > 0)$ の八分球 $x^2 + y^2 + z^2 = a^2, \, x \geqq 0, y \geqq 0, z \geqq 0$ の体積を求めよ。

第 4 問 ヒント

第 2 問の応用です。計算のレベルも少し上がりますが,対称性を活かせればそんなに大変な事にはならないはず。
大学 1 年の積分や物理の試験でよく出題されそうな問題です。

第 4 問 解答

(1)

積分する領域を不等式で表すと,たとえば次のようになる。

$$
\begin{align}
- \sqrt{a^2 - y^2 - z^2} \leqq \, &x \leqq \sqrt{a^2 - y^2 - z^2} \\
- \sqrt{a^2 - z^2} \leqq \, &y \leqq \sqrt{a^2 - z^2} \\
0 \leqq \, &z \leqq a
\end{align}
$$

また,対称性より重心は明らかに $z$ 軸上にある。(※念のため重心の定義を確認しても,$x$ 座標・$y$ 座標の計算において被積分関数が奇関数となるため,計算結果は $0$ となります。)
よって,重心の $z$ 座標を $Z$ とすると,重心の定義より

$$
\begin{align}
&{} Z \displaystyle\int_{0}^{a} \left\{ \int_{-\sqrt{a^2 - z^2}}^{\sqrt{a^2 - z^2}} \left( \int_{-\sqrt{a^2 - y^2 - z^2}}^{\sqrt{a^2 - y^2 - z^2}} \, dx \right) \, dy \right\} \, dz \\
&{} \hspace{10mm} = \displaystyle\int_{0}^{a} z \left\{ \int_{-\sqrt{a^2 - z^2}}^{\sqrt{a^2 - z^2}} \left( \int_{-\sqrt{a^2 - y^2 - z^2}}^{\sqrt{a^2 - y^2 - z^2}} \, dx \right) \, dy \right\} \, dz \\
&{} \hspace{10mm} = \displaystyle\int_{0}^{a} z \left( \int_{-\sqrt{a^2 - z^2}}^{\sqrt{a^2 - z^2}} 2 \sqrt{a^2 - y^2 - z^2} \, dy \right) \, dz \\
&{} \hspace{10mm} = \displaystyle\int_{0}^{a} \pi z(a^2 - z^2) \, dz \\
&{} \hspace{10mm} = \displaystyle\frac{\pi}{4} a^4
\end{align}
$$

が成り立つ。これと

$$
\begin{align}
\displaystyle\int_{0}^{a} \left\{ \int_{-\sqrt{a^2 - z^2}}^{\sqrt{a^2 - z^2}} \left( \int_{-\sqrt{a^2 - y^2 - z^2}}^{\sqrt{a^2 - y^2 - z^2}} \, dx \right) \, dy \right\} \, dz = \frac{2}{3} \pi a^3
\end{align}
$$

(※これは半径 $a$ の半球の体積である)より

$Z = \displaystyle\frac{\pi}{4} a^4 \div \frac{2}{3} \pi a^3 = \frac{3}{8} a$

であるため,重心の座標は $\left( 0, 0, \displaystyle\frac{3}{8} a \right)$ となる。$\quad \cdots 答$

(2)

積分する領域を不等式で表すと,たとえば次のようになる。

$$
\begin{align}
0 \leqq \, &x \leqq \sqrt{a^2 - y^2 - z^2} \\
0 \leqq \, &y \leqq \sqrt{a^2 - z^2} \\
0 \leqq \, &z \leqq a
\end{align}
$$

よって (1) 同様に定義から計算すれば,重心の座標は $\left( \displaystyle\frac{3}{8} a, \displaystyle\frac{3}{8} a, \displaystyle\frac{3}{8} a \right)$ となる。$\quad \cdots 答$

(2) 物理的な別解

対称性より,重心は直線 $x = y = z$ 上の点である。

ここで,この八分球を $z \geqq 0 $の領域に計 4 つ,対称な位置に並べたものが (1) の半球であるが,4 つの八分球の重心が対称な位置にあること,複数の物体からなる系の重心はそれぞれの物体の重心の位置にある同質量の質点から求められることを考えれば,(1) の結果より求める座標は $\left( \displaystyle\frac{3}{8} a, \displaystyle\frac{3}{8} a, \displaystyle\frac{3}{8} a \right)$ となる。$\quad \cdots 答$


第 5 問

次の Pappus-Guldinus の定理(パップス=ギュルダンの定理)を証明したい。

Pappus-Guldinus の定理(パップス=ギュルダンの定理)

平面図形 $S$ を,$S$ を貫かない軸のまわりに 1 回転させたときに通過する領域の体積は,$S$ の重心が描く軌跡の長さと $S$ の面積の積に等しい。

以下の問いに答えよ。

(1) $g, \, p, \, q$ を $p > 0, \, g > q > 0$ をみたす実数とする。$xy$ 平面上の 4 点 ${\rm A}(p, \, g-q), \, {\rm B}(p, \, g+q), \, {\rm C}(-p, \, g + q), \, {\rm D}(-p, \, g - q)$ を頂点とする長方形 ABCD を $x$ 軸のまわりに回転させてできる立体の体積を求めよ。

(2) Pappus-Guldinus の定理 を証明せよ。

第 5 問 ヒント

いよいよ今回のメインディッシュです。
ここまでの積分のイメージがしっかりできていれば,(1) の誘導をどう使うかはもうわかるはず。
(1) では任意の長方形に対して Pappus-Guldinus の定理 が成り立つことを示していますから,今までと同様の考え方で......

第 5 問 解答

(1)

外側の円柱の体積から内側の円柱の体積を引けば,求める体積 $V$ は

$$
\begin{align}
V &= 2 \pi p(g + q)^2 - 2 \ pi p (g - q)^2 \\
&= 8 \pi g p q
\end{align}
$$

(2)

(1) の長方形の面積は $4pq$,重心が描く軌跡の長さは $2 \pi g$ であるから,(1) より回転軸に平行な辺を持つ長方形についてPappus-Guldinus の定理は成り立つ。$\cdots (*)$

いま,$x$ 軸と交わらない平面図形 $S$ を $x$ 軸のまわりに回転させることを考える。
S を,$x$ 軸に平行で長さ $dx$ の辺を持つ微小な長方形に分割する( $y$ 軸に平行な辺の長さは $dy$ とする)。
これを $S$ に含まれる領域で全て足し合わせれば $S$ の面積 $s$ になるから,

$s = \displaystyle\int \int_{S} \, dx dy$

また,重心を $(x, y)$ とする微小な長方形が $x$ 軸のまわりに回転することによってできる立体の体積は (*) より $2 \pi y \, dxdy$ と表せるが,これを $S$ に含まれる領域で全て足し合わせれば $S$ の回転体の体積 $v$ となるから,

$v = \displaystyle\int \int_{S} 2 \pi y \, dxdy$

ここで,$S$ の重心の座標を $(X,Y)$ とすれば,$S$ が回転するときに重心が描く軌跡の長さは $2 \pi Y$ であり,(1) 式,(2) 式と重心の定義から

$$
\begin{align}
v &= \displaystyle\int \int_{S} 2 \pi y \, dxdy \\
&= 2 \pi \displaystyle\int \int_{S} y \, dxdy \\
&= 2 \pi Y \displaystyle\int \int_{S} \, dxdy \\
&= 2 \pi Y s
\end{align}
$$

となり,これは $S$ の面積 $s$ と $S$ の重心が描く軌跡の長さ $2 \pi Y$ の積になっている。■

第 6 問

$f(x) = \pi x^2 \sin \pi x^2$ とする。$y = f(x)$ のグラフの $0 \leqq x \leqq 1$ の部分と $x$ 軸とで囲まれた図形を $y$ 軸のまわりに回転させてできる立体の体積 $V$ は $V = 2 \pi \displaystyle\int x f(x) \, dx$ で与えられることを示し,この値を求めよ。

1989年度 東京大学 理系数学 第5問 より

第 6 問 ヒント

高校範囲での一般的な模範解答(バウムクーヘン分割)は数ある参考書たちに任せ,ここでは先程示した Pappus-Guldinus の定理 を使います。
本問では計算が楽になったりという恩恵はありませんが,証明が(比較的)厳密に・機械的にできることを実感してください。

第 6 問 解答

問題の平面図形の重心の座標を $(X, Y)$ とすると,Pappus-Guldinus の定理 より

$V = 2 \pi X \displaystyle \int_{0}^{1} \left( \int_{0}^{f(x)} \, dy \right) \, dx$

となる。ここで,重心の定義から

$$
\begin{align}
X &= \displaystyle\int_{0}^{1} \left( \int_{0}^{f(x)} \, dy \right) \, dx \\
&= \displaystyle\int_{0}^{1} x \left( \int_{0}^{f(x)} \, dy \right) \, dx \\
&= \displaystyle\int_{0}^{1} x f(x) \, dx
\end{align}
$$

となり,所望の式を得る。■


幾何の問題が持つ難しさは皆さんも身をもって知っていると思いますが,その大きな原因は “他の分野と違って問題のパターン化が難しい” というところにあるでしょう。
例えば中学受験の算数における平面図形では,どこに補助線を引くかをその場で毎回考えなければならず,その難しさに苦労した人も少なくなさそうです。

逆に多くの問題は,作業がパターン化・形式化さえされればとても扱いやすくなるとも言えます。
立体図形の求積問題では,その形式化の手法として“断面積を求めて積分”という方法を高校で学ぶわけですが,実はこの方法でも「どの断面を考えるか」「断面はどのような図形か」といったところにまだ頭を使う余地があり,これが難しさの要因のひとつでした。
そのため,具体的な計算を必要とする場合の苦労はもちろんのこと,一般的な図形について議論をすることなど今までは到底考えられませんでした。

しかし重積分なら,この作業自体をひとつの数式に表現することができます。
さらに,上の第 5 問のように具体的な形が決まっていない,単に “平面図形” というものに対して議論することさえもできます。

結城浩さんの書籍『数学ガール』にもありますが,数学は議論を抽象化し無限まで扱う学問です。
その抽象化の威力は,特に上の第 6 問で実感してもらえたのではないしょうか。

数学の分野の中でも具体例に縛られがちな高校~大学初年度程度が扱うレベルでの図形問題。
これに対し,重積分というものがどれだけ役立つツールのひとつとなっているかを、ここまでの 6 問を通して少しでも理解していただければと思います!

この記事の著者/編集者

林俊介 東大入試ドットコム 編集長 

東大入試ドットコムの編集長です。 東大生講師によるオンライン家庭教師の運営をしたり,登録者 17,000 人超えの YouTube チャンネルで大学入試問題の解説をしたりしています。 2019年 東大物理学科卒 Twitter: @884_96

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