連載理系のための東大文系数学

理系のための東大文系数学 2008年 第3問(条件をみたす点の軌跡)

東大数学の過去問には良問が多いですが,直前にセットで解く用に解かずに取っておく人は少なくありません。 ただ,東大模試の問題ももちろん悪くはないのですが,やはりオリジナルの問題は別格です。 そこで理系の皆さんは,東大入試で文系数学として出題されたものの中で,文系数学の問題を解いてみるのはいかがでしょうか? 出題範囲は 数学Ⅰ, A, II, B に限られますが,理系で出されてもおかしくない問題が結構ありますし,仮に出題された場合ちょうど合否を分けるレベルになっていることも珍しくありません。 少しでも本番に近い問題を解いて,東大合格に近付きましょう!

今回は「図形と方程式」の単元から 1 題ピックアップしました。
解法選択も一つの分岐点ですが,どのみちそれなりに煩雑な計算が待っています。
しんどい問題ですが,理系受験生であれば正答に辿り着いてほしいところです。

問 題

座標平面上の 3 点 ${\rm A}(1, 0)$, ${\rm B}(-1, 0)$, ${\rm C}(0, -1)$ に対し,

$\angle {\rm APC} = \angle {\rm BPC}$

をみたす点 ${\rm P}$ の軌跡を求めよ。ただし ${\rm P \neq A, B, C}$ とする。

2008年 東京大学 前期二次試験 数学(文科) 第3問

解 答

${\rm P}(x, y)$ とおき,$x$ と $y$ のみたすべき関係式を求める。まず ${\rm P \neq A, B, C}$ より $(x, y) \neq (\pm 1, 0), \, (0, -1)$ である。問題文の条件式は

$$
\begin{align}
\angle {\rm APC} = \angle {\rm BPC} &\Leftrightarrow \cos \angle {\rm APC} = \cos \angle {\rm BPC}\\
&\Leftrightarrow \frac{\overrightarrow{{\rm PA}} \cdot \overrightarrow{{\rm PC}}}{\vert \overrightarrow{{\rm PA}} \vert \vert \overrightarrow{{\rm PC}} \vert}=\frac{\overrightarrow{{\rm PB}} \cdot \overrightarrow{{\rm PC}}}{\vert \overrightarrow{{\rm PB}} \vert \vert \overrightarrow{{\rm PC}} \vert} \\
&\Leftrightarrow \left( \overrightarrow{{\rm PA}} \cdot \overrightarrow{{\rm PC}} \right) \vert \overrightarrow{{\rm PB}} \vert =\left( \overrightarrow{{\rm PB}} \cdot \overrightarrow{{\rm PC}} \right) \vert \overrightarrow{{\rm PA}} \vert
\end{align}
$$

と言い換えられる(この最後の式を (*) とする)。ここで

$$
\begin{align}
\overrightarrow{{\rm PA}} = (1-x, -y), \, \overrightarrow{{\rm PB}}=(-x-1,-y), \, \overrightarrow{{\rm PC}}=(-x, -1-y)
\end{align}
$$

を代入して整理すれば,

$$
\begin{align}
(*) &\Leftrightarrow (x^2-x+y^2+y) \sqrt{(x+1)^2+y^2 } \\
&{} \hspace{15mm} =(x^2+x+y^2+y) \sqrt{(x-1)^2+y^2 } \\
&\Leftrightarrow
\begin{cases}
x^2-x+y^2+y \, {\rm と} \, x^2+x+y^2+y \, {\rm が異符号でない} \\
xy(x^2+y^2-1)=0 \\
\end{cases}\\
&\Leftrightarrow
\begin{cases}
\left\{ \left( x - \displaystyle\frac{1}{2} \right)^2 + \left( y + \displaystyle\frac{1}{2} \right)^2 - \displaystyle\frac{1}{2} \right\} \\
\hspace{10mm} \cdot \left\{ \left( x + \displaystyle\frac{1}{2} \right)^2 + \left( y - \displaystyle\frac{1}{2} \right)^2 - \displaystyle\frac{1}{2} \right\} \geqq 0 \\
x = 0 \, {\rm または} \, y = 0 \, {\rm または} x^2 + y^2 = 1 \\
\end{cases}
\end{align}
$$

となる。以上より,条件をみたす点 ${\rm P}(x, y)$ の軌跡は次図の太線部のようになる。ただし点 ${\rm A, B, C}$ を除く。

コ メ ン ト

問題文の条件式は至ってシンプルなのですが,点 ${\rm P}$ の座標を $(x, y)$ として条件式をいざ立ててみると,思いの外計算が大変になります。
上の解説では条件式を整理する過程を省いているので,各自で計算してみてください。
想像以上に大変だと思います。

今回の解法は何も工夫をしていないため,すぐに答案作成に取り組むことができます。一方で無策といえば無策であるため,途中計算が大変になりました。
逆に,最初に面倒でもちょっと工夫をすることで,計算式の次数を下げられる解法もあります。
たとえば ${\rm PA} = a, \, {\rm PB} = b, \, {\rm PC} = c$ として $a, \, b, \, c$ を用いて同じように $\cos$ の条件式を立ててみると,早い段階で因数分解された条件式が出てきます。
これにより,式の次数を抑えつつ計算が進められるので多少楽です。

また,意欲ある受験生のみで構いませんが,この問題は複素数平面を用いた解法もあります。
興味のある人はぜひ試してみてください!

この記事の著者/編集者

林俊介 東大入試ドットコム 編集長 

東大入試ドットコムの編集長です。 東大生講師によるオンライン家庭教師の運営をしたり,登録者 17,000 人超えの YouTube チャンネルで大学入試問題の解説をしたりしています。 2019年 東大物理学科卒 Twitter: @884_96

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